11月2日、WEC(世界耐久選手権)最終戦バーレーン8時間レースが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)が優勝。トヨタは逆転でマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。
トヨタ勢は今回、マニュファクチャラーズ選手権首位のポルシェに対して10ポイント差で最終戦に臨んだ。これは優勝すれば自力で逆転チャンピオン獲得可能な差だ。トヨタは予選でフロントロウを独占。ポイント差を9に縮めて決勝を迎えた。
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一方、ドライバーズタイトル争いではポルシェ6号車が大差でリード。フェラーリ50号車、トヨタ7号車は数字上逆転チャンピオンの可能性を残すものの、ポルシェ6号車が惨事に見舞われなければ逆転は難しい状況だ。
現地時間14時に8時間レースがスタートすると、ポールのトヨタ8号車が首位をキープ。だが7号車は4番手までポジションを落とした。タイトルを争う50号車と6号車もスタート直後の混乱でともにポジションを下げた。
しかしレース開始から17分、首位を走るトヨタ8号車がTFスポーツ82号車コルベットの小泉洋史を1コーナーでオーバーテイクした直後、82号車から追突を受けてしまう。幸い8号車はレースに復帰したが、7番手までポジションを落とした。
これで首位に立ったフェラーリ51号車だが、最初のピット作業でジャッキダウンが早くタイムロス。この結果、ハーツチームJOTAの12号車が首位、トヨタは7号車が3番手、8号車が4番手で最初のピット作業を終えた。ポルシェ6号車は苦戦が続き、15番手付近での走行となった。一方、ポルシェ5号車は2時間経過を前にトヨタ8号車をオーバーテイク。4番手となった。
その後はフェラーリ51号車が首位に再浮上し、ポルシェ5号車が2番手、JOTAの12号車が3番手と、トヨタがトップ3からはじき出されることに。トヨタは4番手を走る8号車の前に7号車を出し、追い上げを目指した。
7号車に乗る小林可夢偉は、ターン8で12号車のオーバーテイクを決めるが、最終コーナーの立ち上がりで失速。8番手までポジションを落としたところでスピードを取り戻したが、痛いトラブルで後退することになった。
7号車の小林は諦めることなく猛追。コース上で3台を抜き、8号車の真後ろまでリカバリー。日が沈む中、7号車は12号車や5号車すらも交わして首位の51号車に襲いかかった。
長く続いた2台のバトルは4度目のピット作業で7号車がオーバーカット。これで7号車が首位となったが、トラブルが再発したかペースダウン。どんどんポジションを落としていった。
レース開始から5時間30分経過を前に、LMGT3クラスのプロトン・コンペティション88号車フォードがエキゾーストパイプ出口から出火。幸い大事にはならなかったものの、これでバーチャル・セーフティカー(VSC)が出され、このタイミングでほぼ全車がピットインを行なった。
その後セーフティカーに切り替わった後、JOTA12号車が首位でリスタート。だがターン1でオーバーテイクを仕掛けたフェラーリ51号車がトップを奪い返した。
4番手からリスタートしたトヨタ8号車は防戦一方。7号車も緊急ピットインでマシンをガレージに収めるなど、良くない流れが続いた。マシンを降りたニック・デ・フリーズは、燃料ポンプの問題が悪化し、セーフティモードに入ってしまったとトラブルについて説明。そのプロセスをキャンセルしようとしたもののうまく行かなかったとインタビューに語った。
コース上では、BMW15号車がポルシェ5号車をパスして2番手に浮上、ポルシェがチームオーダーで6号車を前に出して3番手とするなど、結果が読めない展開が続く。そんな中、プジョーの94号車にトラブル発生。コースサイドにマシンを止め、2度目のVSCとなった。
首位のフェラーリ51号車、3番手のポルシェ6号車はステイアウトを選択したが、その他の多くのマシンがここでピットイン。戦略が分かれることとなった。
その後のレースは荒れ模様。LMGT3クラスのアコーディスASPチーム87号車レクサス、プロトン・コンペティション77号車フォードが相次いでマシンを停めたことで、フルコースイエローが出された。
その解除後には、5番手のフェラーリ50号車とアルピーヌ36号車が接触。50号車はタイヤのパンクにより後退を余儀なくされた。この接触のデブリ回収で再びフルコースイエローとなった。
残り1時間というところでこのフルコースイエローが解除に。多くのマシンがここでピットインを行なった。ピットタイミングの関係で、燃料を余していたトヨタ8号車はこのピット作業時間が短く、同時にピットインしたポルシェ6号車を逆転。フェラーリ51号車すらオーバーカットした。
翌周にピットインしたポルシェ5号車も同様の戦略で、8号車の前でコースに復帰。しかし8号車に乗り込んだセバスチャン・ブエミが猛追を開始。1周2秒速いタイミングもあり、残り44分で完全に5号車のテールに張り付いた。
そして残り40分、8号車はサイドバイサイドのバトルの末、5号車のインに飛び込み、軽く接触しながらもオーバーテイク。ただ5号車をコース外に押し出したような形となったこともあり8号車は一度ポジションを戻したが、すぐさま再攻略。これでトップに浮上した。
その後も8号車は快走。最終的に27.539秒差をつけてトップでチェッカー。紆余曲折ありながらもポール・トゥ・ウインを決めたトヨタ8号車は、トヨタにマニュファクチャラーズタイトルをもたらした。
2位はポルシェ5号車。フェラーリ51号車とのファイナルラップのバトルに敗れて5号車は3番手でチェッカーを受けたものの、フェラーリ51号車はタイヤ使用制限違反があったとしてペナルティが出され14位に降着となった。
3位はプジョー93号車。2023年モンツァで3位になって以来、2度目の表彰台獲得となった。
トヨタ7号車がリタイア、フェラーリ50号車が11位に終わったことで、10位のポルシェ6号車のケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントール組がドライバーズチャンピオンに輝いている。
LMGT3クラスは、終盤のセーフティカーで大混戦に。ピット戦略も分かれ一進一退のバトルが繰り広げられたが、55号車フェラーリが首位を守りきりクラス優勝。2位、3位にはTFスポーツのコルベット勢が入り、82号車の小泉洋史にとってはWECでの初表彰台獲得となった。
佐藤万璃音が乗るユナイテッド・オートスポーツ95号車マクラーレンはクラス8位完、木村武史のアコーディスASPチーム87号車レクサスはリタイアとなった。Dステーション・レーシング777号車アストンマーティンはクラス12位で完走している。
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