デイトナを彷彿とさせるFRのスタイリング
フェラーリを象徴するような、12(ドーディチ)チリンドリが遂に姿を現した。V型12気筒エンジンをフロントに搭載し、リアタイヤを駆動。812 スーパーファストの後継に当たる、2シーターのグランドツアラーだ。
【画像】フロントはデイトナを彷彿 フェラーリ12チリンドリ 実は黄金期?「超」高性能モデルたち 全146枚
812 スーパーファストは、ハイパーカーへ近い立ち位置にあった。だがSF90が登場したことで、次期モデルに対する要件は若干緩くなったはず。12チリンドリは、角の取れた仕上がりにあると想像できる。
基本的なパッケージングは、前世代と似ている。サスペンションの取り付け部分やドアの開口部などが強化された、アルミニウム製シャシーを採用。6.5L自然吸気ユニットが、エンジンルームの低い位置、フロントタイヤの中心軸より後方に載っている。
トランスミッションは、8速デュアルクラッチ。トランスアクスルで、前後の重量配分は48:52だという。
寸法は全長が4733mm、全幅は2000mm、全高が1292mm。812より76mm長いが、ホイールベースは2700mmで20mm短い。オーバーハングが長く見えないのは、アルミホイールが20インチから21インチへ拡大したこともあるだろう。
スタイリングは、フェラーリ自らが最も美しい時代だと捉える、1950年代や1960年代のモデルへ影響を受けている。筆者も、その考えには同意する。
特にフロントノーズは、365 GTB/4 デイトナを彷彿とさせる。受ける情感的なものまでは、表現されていないとしても。812とは、まったく異なる佇まいだ。
リアにアクティブウイング 最高出力は830ps
ルーフはブラックで、ガラス面積が大きい。シンプルで張りのある面構成は、フェラーリの主張通り近未来的。モーガン・スーパー3へ似た雰囲気もある。
テールゲートを挟むリアの両端には、アクティブウイングが備わり、一定の速度や加速度で立ち上がる。手動で動かすことはできない。覗かないと見えないボディ底面には、アクティブフラップが備わる。
情報によれば、249km/hでの走行時に、ウイングは50kgのマイナスリフトを生むとのこと。それ以外のダウンフォースなどは、明らかになっていない。リアの中央部分にはウイングが備わらず、テールゲートを軽くしている。
巨大なワンピースのボンネットを開くと、V12エンジンが後方へ押し込まれているのがわかる。フロントタイヤも顕になり、レーシングカーっぽくもある。
812 コンペティツィオーネからの進化版で、最高出力は830ps/9250rpm。レッドラインは、圧巻の9500rpmに設定される。最大トルクは、1.3kg-m低い69.0kg-m/7250rpmだ。
車重は非公開だが、乾燥重量は1560kg。トランスミッションが8速化され、僅かに重くなったらしい。ちなみに前世代をガソリン満タンで計測したところ、1725kgだった。
ギア比はSF90と同値。0-100km/h加速は2.9秒で、0-200km/hは7.9秒。これは、812 スーパーファストと同値。2本のリアタイヤが830psを受け止めるから、これ以上縮めるのは難しいのだろう。
3速と4速で調整されるトルクカーブ
公道へ出れば、パワー感やキャラクターは、812 コンペティツィオーネと同様に極めて異彩。自然吸気のV12エンジンは内部が軽量化され、颯爽と9500rpmまで跳ね上がる。
当たり前だが、秘めた全力を公道で解き放つことはできない。そしてフェラーリの技術者は、日常的な範囲でも楽しめるべきだと判断した。3速と4速にある時、2000rpmから5000rpmのトルクカーブが調整され、リニアなレスポンスを叶えている。
最大トルクに変化はなく、ダイレクト感は素晴らしいのヒトコト。低回転域では図太い音が響くものの、重々しくは聞こえない。走行時の中心となる中回転域では、調律されたハーモニーを鑑賞できる。
高回転域では、圧巻のクレッシェンドを披露するが、ここへ到達できる時間が公道では限られる。あっという間に速度は上昇し、右足を緩めざるを得ないのが残念だ。
8速デュアルクラッチATは、過去にないほど変速が速く滑らか。電子制御のリミテッドスリップ・デフと合わせて、ドライブモードに応じて、ECUが統合管理している。バイワイヤのブレーキシステムと、アクティブ後輪操舵、スタビリティ・コントロールも。
タイヤは、フェラーリF50以来となるグッドイヤー。12チリンドリ専用開発の、イーグルF1スーパースポーツを履く。これは主にサーキット用で、長距離旅行用にミシュラン・パイロットスポーツ S5も設定される。
ドライバーを軸に旋回 磁性流体で快適性も優秀
812 スーパーファストの操縦性は、電光石火といえるほどシャープだった。ミドシップモデル水準の敏捷性を得るため、幅の広いフロントタイヤを組みつつ、ドラマチックさを高めていた。
かくして12チリンドリは、それ以上。シリアスさは強化されていなくても、運転の魅力は薄れていない。ステアリングのレシオは、812 スーパーファストと同じ。ロックトゥロックは2回転もないが、神経質でも過敏でもない。
ステアリングホイールには適度な重さがあり、反応は流暢。落ち着きすら感じさせる。ホイールベースが短くなり、シートはリアアクスル側へ近づいているが、そんな感覚も伴わない。フロントフェンダーの峰が、運転中の視界に入るからかもしれない。
フェラーリの技術者は、ドライバーの腰の辺りを軸に旋回するように感じるはずだと話していた。確かに、少し離れたフロントノーズは鋭敏に反応するが、クルマの後ろ側に座っているような印象はない。
フェラーリの乗り心地が良いことは、12チリンドリでも共通している。磁性流体を用いだ可変ダンパーが組まれ、マネッティーノ・ダイヤルを回すだけでソフトになる。姿勢制御も素晴らしい。ドライバーズカーの高度な技術として、最高峰の1つだと思う。
タイヤサイズは前が275/35で、後ろが315/35と、肉厚ではない。それでも、出色の衝撃吸収性に唸ってしまう。長距離走行時は、従来以上に快適といえる。同時に、ワインディングでは直感的に振り回せるだろう。
至高のエンジンを管理下に収めるシャシー
何より感心した事実は、世界最高水準にレスポンシブで830psもの馬力を繰り出すパワートレインを、シャシーが管理下に収めていること。カーブが連続する区間では、3速と4速のトルクが丁度良い感じで丸められていることも、効果的だった。
とてつもないほど、充足感に浸れる。至高のエンジンを搭載した、高速なフェラーリ・ローマのようにも思えた。それでいて異次元の速さと操縦性は、ミドシップ・フェラーリを想起させる。なんと素晴らしいモデルなのだろう。
過剰なほどのパワーではなく、運転の一体感や落ち着きをフェラーリは選択した。まさに、望ましいグランドツアラーだ。
英国価格は、33万6500ポンド(約6461万円)から。オプションをふんだんに盛り込まない限り、ディーラーは商談に応じてくれないだろう。しかし過激さが適度に削がれ、素晴らしいフェラーリへ仕上がったという事実は紛れもない。
フェラーリ12チリンドリ(欧州仕様)のスペック
英国価格:33万6500ポンド(約6461万円)
全長:4733mm
全幅:2000mm
全高:1292mm
最高速度:339km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
乾燥重量:1560kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:830ps/9250rpm
最大トルク:69.0kg-m/7250rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
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