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【996+997+991】ポルシェ911 GT3 3世代比較試乗 前世代の集大成を再確認 前編

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【996+997+991】ポルシェ911 GT3 3世代比較試乗 前世代の集大成を再確認 前編

過去3世代のGT3で一番イイのは

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】ポルシェ911 GT3 996型から991型 最新の992型も 全96枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


休日の朝、交通量の少ない郊外の道を飛ばすのに、ポルシェ911 GT3くらい気持ちの良いクルマはほかにあるだろうか。最近の10年ほど、GT3と同時並行でいくつかの素晴らしいクルマが売られていたが、GT3を超えるものはないように筆者は思う。

911 GT3はすこぶる良い。では過去のGT3なら、どれが一番イイいのだろう。最新992型のGT3が、先日発表されたばかり。この機会に、2015年に比較試乗した内容を振り返ってみたい。

筆者の前に、996型と997型、991型という過去3世代のGT3を取り揃えた。内容はどれも標準仕様。サーキット向けにチューニングされていながら公道でも乗りやすいという、ポルシェのビジョンを最も明確に表す世代はどれだろう。

最新のポルシェは最高のポルシェという言葉もあるが、それほど単純とは思えない。一般的なクルマの場合、必ずしもモデルチェンジ毎に良くなるとは限らない。

ジャガーEタイプの後期型は、初期モデル以上に良かっただろうか。最新のBMW M3コンペティションは間違いなく速いが、オリジナル以上にドライバーズカーとして優れているだろうか。

同様に最新のポルシェ911のGT3は、常に先代を超えるものだったのか。比較試乗する以外、確かめる方法はない。

まずは991型。9000rpmまで吹け上がるフラット6に、市場で最高のデュアルクラッチAT、PDKが組み合わされている。四輪操舵システムを備えるが、デメリットを抑えつつ、長くなったホイールベースのメリットを伸ばしている。

メツガー・エンジンを載せた996と997

完成度は非常に高く、とても扱いやすい。475psを効果的に解き放てる。手強い道でも操縦性は抜群。試乗評価では、満点といえる内容を得ている。

991型の先代となるのが、997型911をベースとしたGT3。発表は2006年と、時が進む早さを実感させられる。今回はその後期型を持ち込んだ。

エンジニアのハンス・メツガーが設計したレース用エンジンを載せる、最後のGT3でもある。通常の996型とはまったく異なるユニットで、それ以降のすべての911とも共有していない。

3.8Lから435psを発揮するが、同排気量の991型と比較すれば40psほど低い。そのかわり車重は35kg軽く、少しだけパワーウエイトレシオを改善してくれる。0-100km/h加速は4.1秒。991型のGT3より0.6秒遅い。

この数字の違いは、991型が搭載するローンチコントロールと、クイックなトランスミッションの影響が大き良い。実際のパフォーマンスのギャップは、もっと小さいはずだ。

997型の先輩に当たるのが、996型のGT3。排気量は200ccほど小さいが、こちらも380psのメツガー・ユニットを積んでいる。997型より55ps低く、991型と比べると95psもの違いがある。

3台では一番軽量ながら、997型と比べても15kgしか違わない。0-100km/h加速は4.5秒だ。

近年の価格を見ると、996型のGT3が一番手に届きやすい。それでいて、数は一番少ない。前期と後期に分かれるが、価格差はあまりないようだ。

997型の場合、前期と後期との間には小さくない価格差がある。近年の取引価格は高騰しており、新車を買って丁寧に維持していれば、出費は事実上なかったことにできる。

991型で注目すべきはコーナリング

991型のGT3は、GT3 RSの登場で少し影が薄くなったが、996型GT3の倍以上の値段が付くことも。それほどの差はあるのか、疑問ではある。

初めにステアリングを握ったのは、991型。今回の3台では一番新しく、ベンチマークとして評価基準を確認したかったからだ。

真っ直ぐな道を加速し始めると、息を呑むほどに良い。動的性能以上に、パワーやスピードが生み出される過程が素晴らしい。豊かなサウンドとトルク、弾くように素早い変速、9000rpmというレブリミット。

GT3自らが、特別な911であることを主張してくる。極めて高度な設計が施され、さらに、それ以上に煮詰められている。

特に注目すべきはコーナリング。リアエンジン・リアドライブというレイアウトが、従来以上の進化を遂げている。それまでの911も大きな興奮を与えてくれ、ドライバーのミスにも寛大だった。しかし991型には、大きな違いがある。

アンダーステア傾向は影を潜め、フロントノーズが上下に揺さぶられることもない。前世代までの、手を焼く癖が消えている。

きれいに旋回し、コーナーの頂点手前からフルパワーを加えていける。四輪操舵システムが仕事を終えると、ロケットダッシュのごとく加速する。これほどの能力と速度が与えられていながら、感嘆するほどに運転しやすい。

一方、GT3はどこまで親しみやすい存在であるべきか、ポルシェも自問しているようだ。GT3にMTが復活する流れは、ラップタイムを削るより911を積極的に操りたいという、深い一体感を求めるドライバーに向けられたものだといえる。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

1件
  • 996GT3が販売された頃を思い出します。値段は1260万円だったかな。カレラよりちょっと高いだけだったけどエンジンはカレラとは全く別物のGT1直系レーシングエンジン。アイドリングの音を聞いただけでただ物では無い雰囲気。ハンドリングもシャープで面白い。車高が低すぎて路面のわだちでブレーキダクトがガリガリと音を立てる凄いクルマでした。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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