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3名のカスタマーと4年かけて作り上げた究極のビスポークはまるでクルーザー! ロールス・ロイス「ボート・テイル」 を公開

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3名のカスタマーと4年かけて作り上げた究極のビスポークはまるでクルーザー! ロールス・ロイス「ボート・テイル」 を公開

何から何までがスペシャルに作り上げられたモデル

ロールス・ロイスは5月27日、同社のコーチビルドが手掛けたビスポークモデル「ボート・テイル」を公開した。その名の通りボートのフォルムが与えられ、多くの特別な装備が与えられたこのモデルは3名の顧客とともに作り上げられたモデルだという。

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この「ロールス・ロイス ボート・テイル」は、同社にとってこれまでになかった彫刻的な造りと、別格でありながら時折見せる遊び心ある機能性とのバランスがとれた新たな美学を表現しているという。その歴史に刻まれた伝説をロマンティックに物語るこの作品は、ボート・テイルのデザインを踏襲してはいるものの正確に模写したわけではなく、歴史的なボディ・タイプと徹底的に現代的なデザインを融合させている。




全長約5.8mのスタイルは、その伸び伸びとしたプロポーションと明快な面構成により、上品にくつろぐ姿勢を表現。正面から見ると、新たに手を加えられた、ロールス・ロイスの象徴でもあるパンテオン・グリルとライトを中心に据えたものとなっている。一方フロント・エンドの水平方向を強調したデザインと、深い位置に配されたデイタイム・ランニング・ライトによって、にらみを利かせるようなブロウラインをかたちづくりながら、クラシカルな丸型ヘッドランプを縁取っている。

サイドの眺めは、船舶を連想させるものが多く、左右に回り込んだウインドスクリーンはモーター・ボートのバイザーを連想させ、緩やかに後方へ傾斜するAピラー、広大ですっきりしたフロントのボリューム、そして後方に向けて細くなるリヤ・エンドは舳先を上げて海上を疾駆するモーター・ボートの姿のよう。ボディ側面下部の徐々にえぐられていくような造形は、ロールス・ロイスの代名詞ともいえる伝統的なランニング・ボードのデザインをもとに考案されたものだ。

リアビューでは、ボディは徐々に緩やかに薄くなっていき、フロント・エンドと同様、深い位置に配置された横長のライトが水平方向を強調している。また、車両後部には後甲板を意味する「アフト・デッキ」を採用。これは歴史的なボート・テイルの木製リヤ・デッキを現代風にアレンジしたもので、帯状の木の板を組み合わせたものだ。ここにはロールス・ロイスのエンジニアリングの粋を集めた「カレイドレーニョ・ベニア」が使われており、一般的にはインテリアに使うグレーとブラックの素材を、美観を損なうことなくエクステリアにも使用できるように特別な処理が施されている。

ちなみに、このオープン・ポアの材料は直線的な木目を特徴としており、ブラッシュド・ステンレス・スチール製のピンストライプのインレイによって細長さを強調、新旧問わずヨットの典型的な木製構造を彷彿とさせる。木目を合わせたブックマッチ構造としながらも、ボディ形状に合わせて収斂させており、ベニア処理は船尾にあたるトランサムの下部にも施されている。

また特徴的なのがリアのフィックスド・キャノピー・ルーフだ。これは彫刻的なフォルムに加えて、弧を描くルーフラインはリヤへ向かうにつれて華奢な構造体へとつながり、フライング・バットレス(飛梁 -とびはり- )を彷彿とさせるものだ。ルーフを外しているときに悪天候に見舞われた場合には、停まって一時的に雨宿りをするためのトノーも収納されている。

ボディカラーは、顧客のお気に入りの色である豊かで複合的な色調の青色で、塗装する際は塗料が完全に乾ききる前にボディ・ラインを指でなぞり、表面の凹凸を消すことで極めて滑らかな仕上がりを実現しているという。ホイールも華やかなブルーで仕上げており、丁寧に研磨したのちクリア・コーティングを施されている。

一方で、インテリアのレザーはボンネットの色を反映しており、フロント・シートはこのボート・テイルのドライバーを重視する姿勢を意識させる意味で濃いブルーを、リヤ・シートは薄いブルーを採用。また、細部のステッチやパイピングは車載時計の針に着想を得た、より強いブルーを使用して、ボディの下部には、航跡の波を正確に模した55度の角度で鮮やかなブリリアント・ブルーが織り込まれたテクニカル・ファイバーが配されている。

インストルメント・パネルの文字盤には、高級宝飾品や高級時計でよく見られる「ギョーシェ」と呼ぶ装飾技法を採り入れられ、エレガントな細身のリムを持つツートン・ステアリング・ホイールには、ブルーのテーマ・カラーを採用している。

オープン・ポアのカレイドレーニョの触感は、キャビンにも活かされていおり、アンスラサイトのベニアが現代的な強さと深みをもたらし、ソフトなライト・ブルーとメタリックな光沢とのバランスを図っている。木製の船体を彷彿とさせるこのウッド素材はキャビン下部とフロア部分にも使用しており、ここも進行方向に対して55度の角度で完璧にブックマッチ加工されており、左右どちらから見ても均一な外観が形作られている。

「このクルマはおもてなしの舞台となり、それにふさわしいものを提供しなくてはならない」

これが、「ロールス・ロイス ボート・テイル」の依頼者であるお客様の要望だったという。これに応えてお客様の個性を反映したリヤ・デッキには、これまでの自動車の世界には存在しなかった極めて野心的なコンセプトが、目立たぬように搭載。ボタンを押すと、このデッキは蝶の羽のように大きく開き、手の込んだ、広々としたおもてなしのホスティング・スイートが現れる。その凝った動きは、著名な建築家サンティアゴ・カラトラバ氏が追求したカンチレバー・コンセプトに着想を得ていまるとのことだ。

中央のラインにヒンジでつながれ、一糸乱れぬバレエのような動作でこのホスティング・スイートのリッドが開くと、可動する仕掛けの宝箱が、正確に15度の角度でホストに向けて差し出される。このさりげなく上品な動きのプレゼンテーションは、英国の典型的な奉仕の表現が反映されているそうだ。

この箱には、ロールス・ロイスのアルフレスコ・ダイニング(野外の正餐)を体験するのに最適な備品が用意されており、片側は食前酒用、もう片側は料理用で、「Boat Tail」と刻印されたパリのクリストフル社製カトラリーが収まっている。

このために開発された二重の冷蔵庫には、お客様のお気に入りのヴィンテージ・シャンパン「アルマン・ド・ブリニャック(Armand de Brignac)」が収められている。特定のサイズのボトルを収納するため、冷蔵庫内に極めて洗練された優美なゆりかごが仕込まれており、その周囲はボトルの色に合わせて丹念に磨き上げられている。

カクテル・テーブルが、アテンダント(接客係)の動きを模してエレガントに回転しながらホスティング・スイートの両側に開き、さらに、その下に収納された極めて現代的なミニマリストのスツール2脚が現れる。ロールス・ロイスがデザインし、イタリアの家具メーカーであるプロメモリア社が製作したこの細身の連結式スツールは、このクルマのエクステリアに使用しているのと同じテクニカル・ファイバーで制作。インテリアと合わせたブルーのロールス・ロイス・レザー製スツールは、快適な座り心地を実現している。

ダッシュボードには、ロールス・ロイスとボヴェ社が3年の歳月をかけて共同開発した「BOVET 1822」が装備。これは最も複雑なアマデオ・コンバーチブル・システムをリマスタリングしたもので、そのボヴェの技術力が見事に反映され、ビスポークのトゥールビヨン・タイムピースが自動車に搭載されることになったとのこだ。

このようにすべてがスペシャルメイドで制作されたロールスロイスのボートテイル、今後は招待制ながら、日本人もコーチビルド制度に参加することができるという。






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