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『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』がイタリアで初勝利。今後は北米IMSAや中国にも参戦へ

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『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』がイタリアで初勝利。今後は北米IMSAや中国にも参戦へ

 従来モデル同様、イタリアのJASモータースポーツが開発を主導した新型モデル『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』が、地元TCRイタリア・シリーズで最初の勝利を記録。昨季TCRイタリア王者となったニールス・ラングフェルドが、新車デビューの週末となったミサノのレース1でトップチェッカーを受け、移籍先のMMモータースポーツとともに初優勝を飾ってみせた。

 これでTCR UKを皮切りに、今季より創設の新生TCRワールドツアーなど、続々と参戦カテゴリーを増やしている同車だが、今週末には北米大陸デビューも予定され、ラグナセカで開催の『IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジ』にもL.A.ホンダ・ワールド・レーシングからライアン・エバーズレー/マット・ポンボ組が初出場。

1時間耐久の週末はクプラ陣営のW2プロGPが勝利。カローラは3位表彰台に/TCRサウスアメリカ第3戦

 そして今季は海外ドライバーの大挙参戦が予定されているTCRチャイナ・シリーズでも、現地の東風・ホンダ・レーシング・チーム(東風ホンダ)と契約を結んだJAS開発ドライバーのジャック・ヤングが、シーズン中にも新しいFL5仕様に移行する計画を明かしている。

 本格デリバリー以降、世界のどこよりも早くFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRの実戦デビューを担当し、TCR UKシリーズでのタイトル防衛に挑むクリス・スマイリー(リスタート・レーシング)に続いて、イタリアでも5月5~7日の週末にFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRが実戦デビュー。

 ディフェンディングチャンピオンとして王座防衛に臨むオランダ出身のラングフェルドが、昨季までヒョンデを走らせたターゲット・コンペティションからホンダ陣営のMMモータースポーツに移籍し、初めてFL5型のステアリングを握った。

 路面温度が42度まで上昇する条件にて、セーフティカー(SC)の介入に悩まされたレース1では、昨季にも欧州域内最高峰のTCRヨーロッパ・シリーズでチャンピオンを獲得したフランコ・ジロラミ(アイコア・レーシング/アウディRS3 LMS 2)らが今季レギュラー参戦するなど、厳しい勝負が繰り広げられることに。

 すると、そのジロラミとポールシッターのマルコ・ブティ(ターゲット・コンペティション/ヒョンデ・エラントラN TCR)がスタート直後の鍔迫り合いによりメインストレートで接触し、ここでラングフェルドが労せずして首位に立つ。

 その後、レースは4周目、7周目と立て続けにアクシデントでSCが発動し、14周目にも3度目のSCがコースイン。再開の16周目からは残り1ラップ勝負となり、ホンダがアウディを抑え切ってフィニッシュ。「そう、僕らはやり遂げた! スタートが鍵だったが、レースは中断により神経を張り巡らせたタイヤ管理も必要だったから、簡単じゃなかったよ」と語ったラングフェルドが、新世代シビックのイタリア選手権初勝利の栄誉を手にした。

■イギリスのシビック・カップ王者にFL5型TCRの試乗権をJASが付与
 そんなイギリスのリスタート・レーシングや、イタリアのMMモータースポーツらと時期を同じくして、すでにこの2月には新型モデルの納入を受けていたアメリカのL.A.ホンダ・ワールド・レーシングは、すぐにレースには出場せずセブリングでのテストを選択。チームはJASや現地HPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)のエンジニアとともに新車のテストを続け、すべてのシステムが正常に動作していることを確認したという。

「キャリアのなかで、真新しいクルマをデビューさせるときはいつでも特別な瞬間だ」と語るのは、先代FK8型のTCR車両はもとより、ホンダ陣営のリアルタイム・レーシング(RTR)でアキュラNSX GT3や、独自開発のTLX-GTなどもドライブしてきたエバーズレー。

「2月にセブリングで行われたIMSA初テストで、このクルマのドライブとシェイクダウンの任務を担当できたことは光栄だったし、ラグナセカでの北米レースデビューを担えることにも、同じくらい興奮しているよ!」

 そのエバーズレーはポンボとともに土曜開催の2時間耐久に参戦。チームに所属するマイク・ラマーラとウィル・タリーにも、この6月には新型が納入される。

 そして同じく今週末に上海で開幕を迎えるTCRチャイナでは、過去2年間をTCRヨーロッパで過ごしたジャック・ヤングが迎えられ、地元ドライバーのマーティン・シェイ・シン・ゼー(謝歆哲)とともに2台体制でシリーズに挑む。

「TCRチャイナでレースできるこの機会に本当に興奮しているよ」と、まずは旧型のFK8でシーズンをスタートするヤング。「世界がふたたび開かれた今、東風ホンダのファクトリーサポートドライバーとして働くことができるのは、僕にとっても夢の実現のようなもの。ビルダーであるJASモータースポーツとのこの2年間の仕事は本当に素晴らしい経験だったよ」

 そのJASモータースポーツは、長年にわたってイギリスで開催されているグラスルーツのワンメイクシリーズ『ミルテック・スポーツ・シビック・カップ』にて、2023年のタイトル獲得プライズとしてFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのイタリアでの試乗権を付与すると発表した。

 シリーズのチャンピオン獲得者は2023年から2024年の冬にイタリアのJASモータースポーツに2日間招待され、ミラノ郊外にあるファクトリーで生産設備を見学したのち、半日間のシミュレーター研修も実施。2日目はコース上でJASが設計製造した最新のグローバル・ツーリングカーのステアリングを握って過ごす。

 そのJASでTCR開発プロジェクトの責任者を務めるマッヅ・フィッシャーは「スネッタートンで開催されたTCR UK開幕戦に参加したときに、シビック・カップを直接見ることができ非常に感銘を受けた」と、この施策の出発点を明かした。

「クルマの数とレースの質、双方の点で圧巻だったし、まさにツーリングカー・レースの次のスターが頭角を現し始める場所だったんだ。シビックのビルダーとして、我々はそのチャンピオンに世界中で最も先進的で最高のパフォーマンスを誇るシビックのツーリングカーを紹介し、彼らがホンダとともにレースのステップアップ・ラダーを昇れることを示すまたとない機会を手にしているんだ」

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