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少数派も大切に──新型BMW523d xDriveツーリングMスポーツ試乗記

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少数派も大切に──新型BMW523d xDriveツーリングMスポーツ試乗記

日本に上陸した新型BMW「5シリーズ・ツーリング」は、万能選手だった! サトータケシがリポートする。

セダンに続いて導入

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最近、とんと見かけなくなったのが、ネクタイとステーションワゴンだ。

NHKのアナウンサーもノータイだし、トヨタのホームページを開いて“ワゴン”のカテゴリーをクリックしても、ラインナップされているのは「カローラ・ツーリング」と「カローラ・フィールダー」の2モデルだけ。しかもフィールダーは、5ナンバーということで根強い需要があるために従来型の生産を引っ張っているだけだから、世界の大トヨタをしても実質的にステーションワゴンは1モデルだけしか存在していないことになる。

けれどもBMWは5シリーズのセダンの発表から約半年で、ステーションワゴンのツーリングも発表した。

日本に入ってくるのは、今回試乗した2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボ+マイルドハイブリッドシステムの523dと、2種類のBEV(バッテリー式EV)、そして4.4リッターV型8気筒ガソリンツインターボエンジンとプラグインハイブリッドを組み合わせたM5ツーリングの4モデル。

BMWにはBEV専用モデルも存在するけれど、エンジン車とBEVを同じプラットフォームで開発するのが基本路線。この5シリーズも、エンジン車とBEVは共通の基本骨格で構成されている。

実は、このディーゼルのツーリングに試乗する数日前に、BEVのi5 M60ツーリングに試乗していて、その完成度の高さに驚いたばかりだった。i5への感動が身体のなかに残っている状態で、直4ディーゼルターボを始動する。すると……。

ディーゼルターボのフィーリングは上質BMW523dは、思っていたよりガサついた音でアイドリングを開始した。「おや?」と、思って確認すると助手席側の窓が開いていて、窓を閉めるとガサついたアイドル音がシャットアウトされた。この現象からわかるのは、遮音対策がしっかりなされているということ。

走行中も窓の開け閉めをしながら確認すると、開いた窓から入ってくる生のエンジン音はわりと野卑だけれど、窓を閉めると耳に心地良い音だけが車内に響くようにチューニングされていることがわかる。

このディーゼルエンジンは、もともと1500rpmという低回転域から400Nmもの太いトルクを発生するうえに、マイルドハイブリッドシステムのモーターのアシストもあって、発進加速から力強く、滑らかに加速する。

昔は、回転フィールがスムーズなエンジンに対して、「モーターのように滑らか」という表現を使ったけれど、現代のエンジン車はホントにモーターと比べられてしまう。でも、i5と比べても遜色がないくらい、ディーゼルターボのフィーリングは上質だ。

重厚な乗り心地もi5と共通で、高速道路では3m近い長いホイールベースの恩恵で、動きが落ち着いている。ちなみに試乗車はオプションの可変ダンピングシステムを備えていて、タウンスピードでのしっとり感、高速クルーズでのフラット感に貢献していると思われる。

面白いのは、これだけのロングホイールベースで全長も5mを超えているのに、都内でもそれほど取り回しに苦労しなかったことで、これは後輪操舵のおかげだ。ワインディングロードで「My Modes」と、呼ぶようになったドライブモードを「Sport」にセットすると、ハイテク装備が足まわりやステアリングホイールの手応え、それにエンジンのレスポンスをグッと引き締めて、車体がひとまわりほどコンパクトになったように錯覚する。

操舵やアクセルペダル、ブレーキペダルへの入力に対する打ち返しがぴたっと正確で、原動機がなにであろうと、BMWはBMWだと改めて感心する。もし5シリーズの購入を検討しているとしたら、エンジン車とBEV、どちらにしようか真剣に悩むだろう。

重量物のバッテリーを床下に積むぶん、i5のほう少乗り心地のしっとり感がマシマシだった気もするけれど、現状の充電インフラを考えると「まだディーゼルかな……」と、心が揺れる。

クルマ好きのひとりとして感謝したいいずれにせよ、新しい5シリーズのツーリングは、文句つけようがない。xDrive、つまりフルタイムの四駆だから、タイヤさえきちんとしてものを選べば、ウィンタースポーツ愛好家や雪国のエンスージアストにも勧められる。

強いていえば、床下にバッテリーをぎっちり積み込むことを前提に設計されているため、少しデザインに無理が生じている。まず、全長が長くなり、特にフロントのオーバーハングがいままでのBMWより長いので、間延びした雰囲気になっている。

また、同じ理由から、腰高な印象があることも気になる。けれど、BEVとエンジン車でプラットフォームを共用することのネガが、これだけしかないとも言える。

人を乗せ、荷物を積むことを考えると、背の高いSUVのほうが有利であることは間違いない。ひと昔前だったら、「SUVよりステーションワゴンのほうが走りはいい」という意見もあったけれど、技術の進歩とはすばらしいもので、SUVだってよく走るようになった。

したがって、いま、あえてステーションワゴンを選ぶ理由は、そのスタイルが好きだから、ということしかない。こだわりの少数派に向けて、これだけ力の入ったステーションワゴンを開発するBMWには、クルマ好きのひとりとして感謝したい。

ありがとう、BMW!

文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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