バクー市街地で行なわれたF1第17戦アゼルバイジャンGPの予選では、なんといってもルーキー勢の活躍が目立った。共にF1参戦2戦目であるフランコ・コラピント(ウイリアムズ)とオリバー・ベアマン(ハース)が、経験豊富なチームメイトのタイムを上回って好位置につけたのだ。
ウイリアムズ育成ドライバーのコラピントは、シーズン途中で解雇されたローガン・サージェントの代役としてシートを得て2戦目。来季ハースからフル参戦デビューを果たすベアマンは、出場停止となったケビン・マグヌッセンの代役で、同じく代役としてフェラーリから出走したサウジアラビアGP以来のF1参戦となる。
■冷却ファンを取り付けたままコースインする大失態のアルボン、当時の状況を説明「トウを使うために、急いでピットを出てしまった」
ふたりは共にフリー走行でクラッシュを喫するなど、難易度の高いバクーでルーキーの洗礼を浴びたが、予選では躍動。コラピントはQ3に進出して9番グリッドを確保し、ベアマンも惜しくもQ3に届かなかったものの11番手につけた。それぞれ実績豊富なチームメイト(アレクサンダー・アルボンとニコ・ヒュルケンベルグ)の前から決勝をスタートするというのは、大金星と言っていいだろう。
ウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、2戦目ながらアルボンと張り合うパフォーマンスを見せているコラピントを称賛した。
「世界中の人々も、これで彼がシートを得るに値する人物であることが分かってくれれば嬉しい。彼は誇らしい存在で、本当に力がある」
ボウルズ代表はそう語る。
「彼にとっては初めてのコースで2度目のレースウィークということで、ミスもあった。彼に言ったのは、ミスをしても、起きたことは仕方がないし、それを早く学べるに越したことはないということだ。そういったことは成長に繋がるからね」
「ミスの後、彼は自分に求められていることをしっかりこなし、FP3に向けて調子を取り戻してくれた。そして予選はドライバーが輝く場所だが、しっかりと結果を残してくれた」
「城壁近くのセクションではコンマ3秒ほどロスするミスがあり、あれがなければかなり良いポジションを確保できただろうから、本人としてはガッカリしているだろう。ただそれにしても、F1キャリア2戦目でアレックスと張り合っているというのは、非常に素晴らしいと言える。これは称賛に値する」
また特筆すべきは、コラピントもベアマンも今季のF2ではタイトル争いに絡む存在ではないということだ。
今季がF2デビューイヤーだったコラピントは、ルーキーながらスプリントレースで1勝、フィーチャーレースで2位2回を記録するなど爪痕を残したが、F1参戦が決まる前の段階でランキング6位と、同じくルーキーであるガブリエル・ボルトレトやポール・アーロンのようにタイトル争いに顔を見せるほどではなかった。またベアマンも昨年はポールポジション3回にフィーチャーレース3勝を記録してランキング6位とその速さを存分に見せつけたが、今季は歯車が噛み合わずランキング15番手となっている。
これについてレッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、ワンメイクカテゴリーであるF2も純粋にドライバーの実力だけで勝負が決まるカテゴリーでないということを示しているのだろうと見解を述べた。
Sky Germanyのインタビューの中で、コラピントを「彼のパフォーマンスは非常に高く評価されるべき」と称賛し、ベアマンについても「彼の実力はフェラーリでの走りで既に証明されていたが、今回もそれが見られている」と語ったマルコ。彼はさらにこう続けた。
「ふたりとも大雑把な言い方をすると、F2のチャンピオン争いにはほとんど顔を出していない存在だ。ただ一方で、それはチームの差や……場合によってはエンジンの差など色々あることを示しているのだろう。これを言うとブルーノ・ミシェル(F2の代表)にまた怒られてしまうが、でもそういうものだろうからね」
「考えなければいけないのは、こういう若者たちにとってF1は別次元の存在なのだから、彼らにチャンスを与えなければいけないということだ。(シーズン終了後に)アブダビで若手ドライバー(によるF1スプリントレース)を見られるという案は、とても良いものだと思っている」
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