昨年までスーパーGTとの共通レギュレーション”Class1”規定のマシンで争われていたDTM。しかしアウディが2020年限りで同シリーズからの撤退を決めたことにより、DTMはClass1規定を捨て、今季から新たにGT3マシンでの選手権とすることを決めた。
DTMのプロモーターであるITRは当初、GT3マシンの一部をアップデートし、”GTプロ”方式と呼ばれるマシンでのレースにすることを計画していた。しかしメーカー側はこれに反対。最終的には、既存のGT3でのレースとすることで落ち着いた。
■新生DTM、ベルガーは20台強がグリッドに揃うと予想。既に5チームが参加表明
ただ、GT3マシンを使ったレースは、ADAC GTマスターズをはじめとしていくつか存在している。そのため、DTMが他シリーズと差別化することができるのかという疑問が、ファンのみならず元DTMのドライバーたちからも噴出することになった。
しかしその疑問とは裏腹に、DTMにはこれまでのところ世界各国の有力チームや有名メーカーが参戦を表明。ニュルブルクリンク24時間やスパ24時間で優勝経験もあるBMWのロウ・レーシング、フェラーリのワークスチームとも言えるAFコルセ、メルセデスの有力カスタマーチームであるGruppeM、ウインワード・モータースポーツ、ハウプト・レーシングなどがそのラインアップに加わることになっている。
アウディ、BMW、メルセデスといったこれまでDTMに参戦していたメーカーは、いずれもファクトリー体制でシリーズに参戦することを約束しており、カスタマーチームへのサポートにも予算を割く予定であると言われている。
さらにアレクサンダー・アルボンやニック・キャシディ、クリスチャン・クリエンなど、F1をはじめとした他のシリーズで実績を残したドライバーたちが新たに参戦を予定。豪華なラインアップが揃う見込みだ。
DTMを運営するITRのゲルハルト・ベルガーは、GT3マシンへの移行にもかかわらず、DTMがプロのチームとドライバーのための選手権であることを、証明することができたと語る。
「DTMとは、マシンにプロのドライバーが乗り込んでいるシリーズだということを証明できた」
そうベルガーは語る。
「つまり、最高レベルのドライバーたちが、GTマシンによるレースに参加することになる。そして最高のチームもいる。参戦エントリーのリストを見ると、各カテゴリーで活躍する最高のチームだ」
「例えばアウディを見て欲しい。彼らにはアプトがいる。これは、Class1の時にも全く同じだった。それが、彼らにとってのファクトリーチームだ。フェラーリにはAFコルセがいる。これも、彼らにとっての最強のファクトリーチームだ」
「メルセデスも最高のチームが参戦する。そのためDTMは、このレベルのカテゴリーでは、最も競争力のあるシリーズと言えるだろう」
ベルガーによれば、GT3マシンでのレースとなったとしても、Class1時代とはラップタイムはそれほど変わらないと予想している。そしてこの新たなレギュレーションにより、さらに多くのメーカーが参戦することをベルガーは期待している。
BMWが2012年に参戦を開始したことで、DTMではそれ以降3メーカーによる戦いが繰り広がられた。しかしメルセデスが撤退、その後を受けたアストンマーチンを走らせるR-モータースポーツも、1年で撤退することになった。その結果参戦メーカーは2チームのみとなり、さらにアウディが撤退を表明したことでBMWのみが残るという状況となってしまっていた。
「Class1は素晴らしいレギュレーションだった。私は、それが大好きだ」
そうベルガーは語る。
「私がそれを気に入っている理由は、BpP(バランス・オブ・パフォーマンス)がなくても、激しい競争とホイール・トゥ・ホイールの戦いが見られるということだ。それは、ファンが求めているモノだろう」
「BoPは、我々の誰もが好きではないモノだ。しかし様々な類の概念、そして技術的なコンセプトがある場合は、どうしてもそれが必要だ。だから、Class1を好む人がいるということも理解している」
「しかし結局のところ、マシンの見た目は同じように見えるので、違いは小さいだろう。GT3になれば、メルセデスはメルセデスに、BMWはBMWに、そしてアウディはアウディに見えるだろう。これまではそれは欠けていたものだ」
「そして何年もの間我々が求めていたことは、我々のプラットフォームにはもっと多くのブランドやメーカーがいなければならないということだった。ラップタイムに関しては、Class1の時と非常に近くなるだろう。我々は3~5秒差になるだろうと話しているが、見る限りはそれほど変わったようには見えないだろう」
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みんなのコメント
ステファンラテルの提唱するGT3の存在意義に照らし合わせますと。
GT3はセミプロ向けのクルマであり。
世界のミリオネア達が持つ莫大なマネーを呼び込むための目玉商品でもあります。
クルマが速いかは存じませんが、逃げ足だけは滅法早かったことは確か。