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ペダル踏み間違い事故をデータ分析から見る考察 その1

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ペダル踏み間違い事故をデータ分析から見る考察 その1

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ペダル踏み間違い事故の考察

ペダル踏み間違いが原因の事故、特に店舗に突っ込んだりした事故は、相変わらずニュースや新聞で取り上げられている。現在の、緊急自動ブレーキ、誤発進抑制装置などの普及を図る2017年以降の政府の活動である「サポカー/サポカーS」普及運動は、こうしたペダル踏み間違いによる重大事故が続いたことがきっかけだった。
※関連記事:「セーフティ・サポートカー」とは何??


「サポカー/サポカーS」運動のきっかけに

「サポカー/サポカーS」という名称は一般によく知られるようになったとは言えないが、政府は高齢運転者の交通事故防止対策の一環として、「セーフティ・サポートカー(サポカー)」や「セーフティ・サポートカーS(サポカーS))」の愛称をつけ、官民連携で普及啓発に取り組んでいる。

この「サポカー/サポカーS」の区別で、サポカーは自動緊急ブレーキを装備したクルマのことで、サポカーSは自動緊急ブレーキに加え、誤発進抑制装置を装備したクルマを意味し、特に高齢者に推奨するクルマとされている。詳細は以下のように区別される。

●サポカーS・ベーシック:低速自動ブレーキ(対車両)、誤発進抑制装置付きのクルマ
●サポカーS・ベーシック+:自動ブレーキ(対車両)、誤発進抑制装置付きのクルマ
●サポカーS・ワイド:自動ブレーキ(対車両+歩行者)、誤発進抑制装置、車線逸脱警報、自動切り替えヘッドライト付きのクルマ

こうした活動は、高齢者によるペダル踏み間違いなどが原因とされ、内閣府が主導して先進安全システム車両の普及を図り、自動車メーカーは販売車両にこれらの装備化を進めている。さらに先進安全システムを周知させるために、全国で体験試乗会を開催するようになっている。

しかしながら、そもそもなぜ、ペダル踏み間違い事故が起きるのかという分析はきちんと体系的に行なわれていないのは問題で、高齢者の運転は危険で、極論として高齢者の運転免許証の自主返納運動につながっているのは不合理に見える。

ペダル踏み間違いの分析

2018年2月に、交通事故総合分析センター(ITARDA)から初めて「アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故」に関する分析レポートが発表された。

ITARDAの調査によれば、アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故において、全体の占める割合を年齢別に見ると、65歳以上のドライバーのうち、特に75歳以上のドライバーでその割合が高くなっている。そしてこの傾向は10年前と変わらず、加齢の影響が運転能力の低下をもたらしていると考えられ、高齢ドライバーに特徴的な事故形態の一つになっているとしている。


運転免許証を持つ高齢ドライバーはこの10年で約2倍に増加し、今後も社会の高齢化に伴いさらに増加する傾向にある。そのため、高齢ドライバーによるペダル踏み間違いが原因となる事故が増加する懸念があるわけだ。現在では安全サポート車(「サポカー/サポカーS」)も登場しているが、これらのクルマが十分に普及するには時間を要するので、普及活動と並行して事故防止のための研究や対策も重要なのはいうまでもない。


ここではアクセルとブレーキペダルの踏み間違いが原因となった事故に焦点を当て、事故発生の危険性が高い場所や、ドライバーの運転行動に関する分析と、事故を分析しペダルの踏み間違いを防ぐための注意すべき点などを考えてみよう。

駐車場などでの典型的なペダル踏み間違い事故

ペダルの踏み間違いはどのような場所で起きやすいのか。ペダルの踏み間違い事故の発生件数を64歳以下、65歳~74歳、75歳以上の3つの年齢層別に、10年前と現在を場所別に比較すると各年齢層ともに平坦な一般道路が最も多く、高齢者層になるほど駐車場などでの事故も増加している傾向にある。

高齢者層が駐車場などでのペダル踏み間違い事故が多い傾向は10年前も現在も同じだが、事故割合が低い非高齢者でもペダルの踏み間違い事故は駐車場などで発生する比率が高く、年齢層を問わず場所的には交差点などより公道ではない駐車場などで発生しやすいことは注目すべきだ。

ペダル踏み間違いが起きやすい駐車場などでの事故の類型的なパターンは、次のようなものが挙げられる。

駐車場などでのペダル踏み間違い事故の割合を2012年~2016年の事故データから年齢層別、行動別に分析してみると、どの年齢層でも発進時、直進時が多いという結果となっている。特に高齢者層にはその割合が高い。逆にどの年齢層でも左右折や、後退時の事故割合は発進時や直進時より少ない。

では駐車場などでの発進時、直進時のペダル踏み間違い事故とはどのような状況なのか? 高齢者層は単独事故、家屋やフェンスなどへ衝突する割合が高くなる特徴があり、逆に車両対車両の事故は非高齢者の方が割合は高くなり、歩行者対車両の事故は年齢層による割合の違いは見られないというデータになっている。

駐車場での発進時、直進時の事故の形態では、駐車中にクルマの位置を調整するために発進する、クルマの位置を調整した状態から前向きに駐車するなどが多く、限られたスペースでの駐車で、クルマの切り返し操作、小刻みなアクセルとブレーキの踏み変え操作が行なう状況でペダル踏み間違いによる急発進事故となることが想定される。

もうひとつは駐車場内で直進している時の事故では、駐車場の駐車スペースに向かう途中、あるいは駐車場への出入り口に向かう途中で発生しやすいことも想定されている。

クルマは直進状態で移動中だが、歩行者や他車の存在があり、またドライバーは駐車スペースを探すために視線を動かしている状態で、こうした直進時にはブレーキによる減速、アクセルを踏んでの加速など、スピードの微調整が繰り返される状況が重なり、パダルの踏み間違いが起きやすいと考えられる。また歩行者を注意するあまり、脇見運転状態になり、急に歩行者を確認した場合は急ブレーキ操作をすることでペダルの踏み間違いを誘発することも考えられる。

ペダル踏み間違いのドライバー側の要因

ITARDAの持っている全年齢層の事故データから、どのような状況でクルマの操作ミスが発生しやすいのか、ペダル踏み間違い、ハンドル操作、ブレーキ操作などの運転操作に及ぼした人的な要因を分析すると・・・・・・この3種類の不適切な運転のいずれもが「あわてる」、「パニックになる」ことが操作ミスを引き起こす最大の要因になっており、これらの心理的な動揺が運転操作に大きく影響することがわかる。

ドライバーは何らかの危険を察知し、その回避操作を行なう際にあわてたり、パニックになり、結果的に操作ミスをすることで事故が発生するということだ。ペダルの踏み間違いは高齢者層に多くなる傾向があるとはいえ、日頃乗り慣れていないクルマ(レンタカーなど)であったり、不安感を持ちながらの運転の場合、あわてる、パニックになるというケースが多いことも想定すべきである。

次回は、着座姿勢とペダル操作についてより詳しく考察してみたい。

交通事故総合分析センター 公式サイト

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