旬なクルマの情報を網羅した「モーターファン別冊 統括シリーズ」。今回は「Vol.108 2018-2019年 最新ミニバンのすべて」から「ホンダ・ステップワゴン スパーダ ハイブリッド」の一部を抜粋してご紹介。レポート=岡本幸一郎[本文]/小林秀雄[写真解説] フォト=平野 陽
一体感のある上質な乗り味 安全&快適装備は全部載せ
三菱エクリプスクロス:より高性能なバリエーションを期待させるほどの高度なデキ。三菱のこれからを予感させる意欲作
特徴的なデザインや「わくわくゲート」の採用など、ひときわユニークなミニバンになった現行ステップワゴン。そのマイナーチェンジを機に加わったハイブリッド車は、なかなかの実力の持ち主だ。
オデッセイと共通のアトキンソンサイクルの2.0ℓエンジンと2モーターを組み合わせたi-MMDによる動力性能は、同じクラスのライバルを寄せ付けないほどの圧倒的な速さを見せる。さすがは3.5ℓ級の自然吸気エンジンに相当するというだけのことはある。それでいて実走燃費がかなり良好であることにも感心させられる。ごくおとなしく流しているとエンジンが停止する時間が長く、EV状態でかなり粘るのが印象的だ。さらにガソリン車に対して各部が手当されたことも効いて格段に向上した静粛性の高さも競合に対する優位性を感じる部分である。
専用にチューニングされたフットワークの仕上がりも、マイナーチェンジで変更のなかったガソリンとは少なからず印象が異なる。よりフラット感が高く、引き締まっていながらも乗り心地に硬さは感じない。
走りに一体感があり、応答遅れがなくスッキリとしたステアリングフィールも気持ち良い。全体として非常に上質な乗り味に仕上がっている。これにはハイブリッド車の特権のひとつである、ホンダのミニバン初採用となるパフォーマンスダンパーも少なからず効いているに違いない。
電動サーボによるブレーキフィールも至って自然な仕上がりで、あまり気になることがない。また、マイナーチェンジを機に全車に標準装備された「ホンダセンシング」について、ハイブリッドには完全停止まで対応した渋滞追従機能付きACCが与えられるのもありがたい。
一方、室内では駆動用バッテリーの搭載により1列目シート周辺のフロアが盛り上がっているのがわかるが、それを逆手に取り新設された大型コンソールトレーの使い勝手が良く、ウォークスルーをさまたげることもない。2列目乗員の足元が見た目には少々狭くなったように感じるものの、フロアに角度がついたことでむしろ足を置きやすくなった。
ほかにもハイブリッド化に合わせたいくつかの専用装備が与えられているが、せっかく設定されたAC電源(1500W)が現状では最上級グレードのみというのは少々惜しい。
ホンダとしてはハイブリッド車の販売比率を3割程度と見込んでいたようだが、ガソリン車に対する価格差があるにもかかわらず、フタをあけてみると4割超で推移している背景には、お伝えしたような商品力の高さがあってのことに違いない。
ステップワゴン全体の月販台数も、2017年の半ばには3000台を切る状態が続いていたところ、9月のマイナーチェンジ以降は大幅に挽回している。これにはハイブリッド車の追加はもちろん、フェイスリフトが非常に効いていて、購入者の成約理由として挙げる中で最も多いのがフロントデザインとなっている。特に先代ユーザーから好評で、多くの代替につながっているという。
現状ではガソリン車のみ設定の「クールスピリット」がハイブリッド車でも選べるようになると、さらに販売が上積みされるかもしれない。
G・EX Honda SENSING
全長×全幅×全高(mm):4760×1695×1840
室内長×室内幅×室内高(mm):3220×1500×1405
ホイールベース(mm):2890
トレッド(mm) 前/後:1470/1485
車両重量(kg):1820
エンジン種類:直列4気筒DOHC+モーター
総排気量(cc):1993
エンジン最高出力(kW[㎰]/rpm):107[145]/6200
エンジン最大トルク(Nm[kgm]/rpm):175[17.8]/4000
モーター最高出力(kW[㎰]/rpm):135[184]/5000-6000
モーター最大トルク(Nm[kgm]/rpm):315[32.1]/0-2000
燃料タンク容量(ℓ):52(レギュラー)
トランスミッション形式:電気式無段変速機
駆動方式:FF
タイヤ・サイズ:205/60R16
最小回転半径(m):5.4
JC08モード燃費(km/ℓ):25.0
車両本体価格:355万9680円
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