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【後輪駆動が一番楽しい】ポルシェ・タイカンRWDへ試乗 475ps 最軽量のタイカン

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【後輪駆動が一番楽しい】ポルシェ・タイカンRWDへ試乗 475ps 最軽量のタイカン

タイカンで一番軽い後輪駆動

text:Matt Prior(マット・プライヤー)

【画像】ポルシェ・タイカン 増殖中 上級ブランドのEVモデル 全118枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


大きなピンク色のボディに、タイカンとだけ記されている。ポルシェ製純EVサルーンに追加された、グレードのリアエンドにあしらわれたエンブレムのことだ。

ターボSも4Sも付かない。ただのタイカン。英国での価格は7万690ポンド(1017万円)から。シンプルなモデルだが、ほかのタイカンに比べて魅力で劣るわけではない。

これまでのタイカンのフロントから駆動用モーターが取り外され、後輪駆動になっている。タイカンのなかでは、という前提付きながら、一番軽量なモデルでもある。

バッテリーの容量は2種類から選べる。グロス値で79.2kWh、利用可能容量で71kWhの標準バッテリーを搭載しても、車重は2050kg。やはりまだ2tは超えている。

今回の試乗車にはグロス値で93.4kWh、利用可能容量87.3kWhのオプション・バッテリーが積まれており、車重は2130kgになっていた。全長5mの電気自動車として重すぎることはないものの、同程度のボディを持つパナメーラより270kgは重たい。

4049ポンド(58万円)のオプションとなる、このパフォーマンス・バッテリー・プラスを選ぶとタイカンをよりパワフルにもできる。通常のタイカンでは、最高出力は326ps。ローンチコントロール使用中は407psを引き出せる。

87.3kWhのバッテリーを搭載すれば、通常走行時は380ps、ローンチコントロール時は475psまで高められる。タイカンでドラッグレースをする人は、少ないと思うけれど。

パワフルなタイカンより運転が楽しい

パワーウエイトレシオも改善する。標準のバッテリーなら159ps/tだが、パフォーマンス・バッテリーなら178ps/tに高まる。ただし、それでもフォード・フィエスタSTよりは小さい。

航続距離は、71kWhのバッテリーで431km、87.3kWhのバッテリーで484kmがうたわれる。数字の連続で、ちょっとややこしくなってしまった。

ドアを開き、美しく上品に仕立てられたインテリアに体を沈める。試乗日はとても寒く雨が降っており、バッテリーは満充電ながら、出発時点での航続距離は354kmが表示されていた。

筆者が試乗した限り、その距離へ届くことはできなかった。もし484kmをタイカンで走りたいなら、充電ケーブルをつないだまま車内のコンディションを整えておき、出発したら気張った運転はしない方が良いだろう。

一番手頃なタイカンで走り始めると、運転がとても楽しいことに気づく。よりパワフルなタイカンより楽しい。

停止状態からの加速力は爽快なほど力強く、しっかりポルシェらしさを感じる。後輪駆動だから、運転する手応えもより大きい。

主に駆動用モーターがなくなったことで、フロント側は約90kg軽くなっている。フロントタイヤに掛かる荷重が減り、ステアリングフィールは四輪駆動のタイカンより優れる。今まで試乗したタイカンもステアリングは正確だったが、どっしりした感覚があった。

後輪駆動のタイカンは、そこへ繊細さが加わっている。あえていうなら、もう少しポルシェ911に近づいた印象だ。

いま買える一番楽しい純EV

自動車エンジニアにモデル・ラインナップのなかで好みのグレードは何かと尋ねれば、大抵は一番軽量なクルマを選ぶ。それはタイカンでも当てはまるようだ。

ポルシェのエンジニアたちは、たとえ大きく重たいSUVのカイエンであっても、素晴らしいシャシーに仕上げてくる。同様に重いものの、より車高の低いタイカンなら、さらに秀でた操縦性を期待するだろう。しかも後輪駆動なのだから。

実際、その期待に応えてくれる。バランスに優れ、驚くほど俊敏で、アクセルペダルでの姿勢制御も極めてしやすい。

ブレーキの反応や効き方も自然。穏やかに減速する場合、回生ブレーキが機能し後輪だけでスピードを落としていく。強くブレーキペダルを踏むと、フロントのディスクブレーキが運動エネルギーを熱に変換し始める。

その推移はとても滑らか。どの程度の割合で働いているのか、筆者は感じ取ることはできなかった。

もちろん、タイカンはとても活発に走る。0-100km/h加速は5.1秒でこなす。だが普通に運転している限り、特に冬場の濡れた路面では、380psを召喚する場面はほとんどないだろう。それでも、充分以上に速く走れる。

筆者の場合、ステアリングホイールを握り、アクセルとブレーキペダルを踏むだけではもの足りない。運転するならシフトチェンジもしたいし、エンジンの唸り声も聞きたいのが本音。古いタイプのドライバーだ。

純EVは、運転に求められる操作や聞こえてくる音響体験が少ない。そんななかで、ポルシェ・タイカンはいま買える一番楽しい純EVだと感じた。

ポルシェ・タイカン・パフォーマンス・バッテリー・プラス(欧州仕様)のスペック

価格:7万4739ポンド(1076万円)
全長:4963mm
全幅:1966mm
全高:1381mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:5.4秒
航続距離:484km
CO2排出量:−
車両重量:2130kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
バッテリー:87.3kWhリチウムイオン
最高出力:380ps/475ps(オーバーブースト時)
最大トルク:66.7kg-m(オーバーブースト時)
ギアボックス:−

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