現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > バブルな日産「NXクーペ」はロールス・ロイスしかない装備を搭載! 未来志向の自称タイムマシンでした【カタログは語る】

ここから本文です

バブルな日産「NXクーペ」はロールス・ロイスしかない装備を搭載! 未来志向の自称タイムマシンでした【カタログは語る】

掲載 8
バブルな日産「NXクーペ」はロールス・ロイスしかない装備を搭載! 未来志向の自称タイムマシンでした【カタログは語る】

時代の先をいくスタイルとアイデアが満載だった

バブル期の国産車には自由な発想で作られた個性的なモデルが数多く存在していました。1990年1月に発売された日産「NXクーペ」もそのひとつで、残念ながらヒットには恵まれなかったものの、当時ならではの贅沢なつくりは今見ても魅力的です。当時のカタログで振り返ります。

「トレノ」じゃない90系「スプリンター シエロ」とは? 当時の営業マンでさえ売ったことがないと断言する「激レア車」で人生激変しました

「タイムマシンかもしれない。」肩の力の抜けたユニークなカタログ

NXクーペのカタログを久しぶりに眺めながら、そういえばこの時代に「かもしれない発言」が流行っていたのを思い出した。そんなこと聞いたことはないかもしれない……と思う人も多いかもしれない。

だが、折りしもバブル景気の混とんとした世の中を生きていく術(すべ)として、自分の意見を言ったり何かの答えや結論や見極めを求められたときに、あくまでも断定は避け、控えめに相手も自分も傷つけないようにしながら、ふんわりとした物言いで語尾に「……かもしれない」の言い回しを使う。まだ「対面」で人と合うのが当たり前だった時代ならではの処世術のひとつだ。

さしずめ今なら、メールでも何でも、ズバッと最小限の文字数で用件なり返事なりを伝えるのは割り切り、当たり前で、それは合理的だが世の中がやや殺伐としてきてしまった要因のひとつになっている気もするが……。

そこで日産NXクーペだが、このクルマのカタログはちょっとユニークなものだった。というのも、縦長のあまり見かけない判型(ということは資料室の棚からはみ出しやすい)であるうえ、昔のアナログEPレコードの両A面のように、赤と黄色の地色でどちらも表紙の体で作られていたからだ。

記憶が正しければ、当時の実車の記者発表会の席で手渡された封筒には、封筒の表面を自分に向けて中身を取り出したとき、赤い表紙のほうが自分に向いて中から出てきたから、てっきり赤いほうが正式な表紙なのだな……と筆者は判断していた。一応その方向で読み進めれば、最終の主要諸元表のページまで辿り着くことができる。そこからもう1ページめくるとページの隅に小さく「黄色い表紙へ・ワープ」と書かれていて、博物館の「順路」の立て札よろしく、そこでカタログをひっくり返して黄色い表紙のほうから見る……そういう仕組みになっていた。

どこで誰が考えた方式かは知らないが(ほかに同様の仕組みのカタログがあった気がするが具体例は思い出せない)、まあ、そういう仕掛けの肩の力の抜けたカタログだったということだ。

で、赤、黄いずれの表紙から開いても、最初の見開きに出てくるキャッチコピーが「タイムマシンかもしれない。」だった。そういえば当時のTV-CMもモーフィングを使いクルマがクネクネと曲がったりしながら動き回る、(後の映画『カーズ』のような)そんな映像だった……かもしれない。

あっけらかんとしたスタイルでTバールーフも選べた

NXクーペは1990年1月に「サニー」が7代目にモデルチェンジした際、同時にデビューした。先代の6代目サニー(トラッドサニー)の世代に「サニーRZ-1クーペ」が設定され、NXクーペはその後継車だったが、車名から「サニー」の名が外されたのが特徴。スタイリングもそれまでのサニークーペがセダンをベースにしながら2ドア化して差別化を図ってきたのに対し、NXクーペはパッと見た限りサニーのセダンとは2430mmのホイールベースが共通なだけで、あとはターンシグナルランプやドアハンドルに至るまで何ひとつ共通部品が見当たらないほど。いかにもバブルの時代の発想だが、だからこそここまで個性的なクルマが生まれたともいえる。

ちなみに丸みを帯びたスタイリングはまるで『スーパージェッター』(世代限定の喩え?)のようで、まさしく未来志向のタイムマシンのようだった。さらに贅沢にもフェアレディZまさりのTバールーフ仕様も用意された。NXクーペ(サニー)はもともと「セントラ」として北米市場にも投入され「セクレタリーカー」とも言われてきた。なのであっけらかんとしたスタイリングにしろ、Tバールーフにしろ、なるほどね、と思わせられる仕立てになっていた。

ドアの内部には傘の専用スペースも

一方でインテリアは、インパネなどはセダンのサニーとほぼ共通。ただし乗車定員はクーペということで4名、フロントシートはシェイプの深い専用デザインのスポーツシートを採用した。ハイテク感覚のデジタルメーター(カタログの表記より)なども備えた。

さらに改めてカタログを見ると、ドアを開けたところにフタを開けて傘を収めておける専用のスペースも。柄が真っすぐで長さも収まる専用の傘とセットという点がポイントで、じつはコレは1986年登場の3代目「パルサー」にも採用されていたもの。知人の欧州車好きは「ロールス・ロイスばりの装備」と感想を述べていた。

搭載エンジンは1.8L(SR18DE型)、1.6L(GA16DE型)、それと1.5L(GA15SD型)と、今から考えると比較的豊富に設定されていた。グレードはタイプS、B、Aの3タイプで、タイプSは1.8Lを搭載し、ハードサスペンションが標準、オプションで電子制御のスポーツオートサスが選べたほか、フロントビスカスLSDが標準装着となっていた。後期型においては運転席SRSエアバッグがオプション設定されるなどし、外観ではバンパーからボディに走っていたモールが黒からボディ同色化されるなどした。タイムマシンだったかどうかまでは当時の試乗では確認できなかったが、時代に対して少し先をいくスタイルがまあ特徴だった……そんなクルマだったのかもしれない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ベン・キーティングがWEC復帰、小泉洋史は外れる。コルベットZ06 GT3.Rのラインアップ確定
ベン・キーティングがWEC復帰、小泉洋史は外れる。コルベットZ06 GT3.Rのラインアップ確定
AUTOSPORT web
パイセンに続け!! 将来はトヨタで[WRC]のシートを掴むかもしれないラリードライバーの卵 
パイセンに続け!! 将来はトヨタで[WRC]のシートを掴むかもしれないラリードライバーの卵 
ベストカーWeb
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
レスポンス
クルマのホーンボタンには「ラッパのマーク」がないと違反! なんと「有名薬のラッパのマーク」を切り貼りしても「手書き」でもOKってマジか!!
クルマのホーンボタンには「ラッパのマーク」がないと違反! なんと「有名薬のラッパのマーク」を切り貼りしても「手書き」でもOKってマジか!!
WEB CARTOP
ブランドイメージ構築に課題? レクサスLBX 長期テスト(5) モデルの強みはNXと共通
ブランドイメージ構築に課題? レクサスLBX 長期テスト(5) モデルの強みはNXと共通
AUTOCAR JAPAN
[15秒でわかる]ブガッティの特別なガレージと展示台
[15秒でわかる]ブガッティの特別なガレージと展示台
レスポンス
実質約445万円で買える ホンダの燃料電池車[新型CR-V e:FCEV]は本気で買いたくなるほどのデキだったのか? 
実質約445万円で買える ホンダの燃料電池車[新型CR-V e:FCEV]は本気で買いたくなるほどのデキだったのか? 
ベストカーWeb
6速MTあり! ミツオカ最新「ビュートストーリー」がスゴい! 全長4m「ちょうどいいボディ」に超レトロデザイン×「豪華インテリア」採用! 「小さな高級車」どんなクルマ?
6速MTあり! ミツオカ最新「ビュートストーリー」がスゴい! 全長4m「ちょうどいいボディ」に超レトロデザイン×「豪華インテリア」採用! 「小さな高級車」どんなクルマ?
くるまのニュース
レッドブルのジュニアチームで5年目を迎える角田裕毅。ホーナー代表、2025年末で手放す可能性を示唆も、昇格も否定せず
レッドブルのジュニアチームで5年目を迎える角田裕毅。ホーナー代表、2025年末で手放す可能性を示唆も、昇格も否定せず
AUTOSPORT web
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
レスポンス
0-100キロ加速2.9秒! SL史上初PHEVのメルセデスAMG「SL 63 S Eパフォーマンス」は3350万円…日本仕様車は左ハンドルのみです
0-100キロ加速2.9秒! SL史上初PHEVのメルセデスAMG「SL 63 S Eパフォーマンス」は3350万円…日本仕様車は左ハンドルのみです
Auto Messe Web
新人コラピントは素晴らしいドライバーだ! 僚友アルボンが称賛。シーズン終盤にクラッシュ連続も「F1に相応しい存在」
新人コラピントは素晴らしいドライバーだ! 僚友アルボンが称賛。シーズン終盤にクラッシュ連続も「F1に相応しい存在」
motorsport.com 日本版
技術も力もいらない簡単装着! 持ってて安心な新タイヤチェーン「バイアスロン・イージーフィット」が雪道ドライブの最強の味方だった
技術も力もいらない簡単装着! 持ってて安心な新タイヤチェーン「バイアスロン・イージーフィット」が雪道ドライブの最強の味方だった
WEB CARTOP
制限速度を守ってる自分を抜かしていったクルマにオービスが光らないって納得いかん! なんで自動速度取締機は大幅にマージンをとってるの?
制限速度を守ってる自分を抜かしていったクルマにオービスが光らないって納得いかん! なんで自動速度取締機は大幅にマージンをとってるの?
WEB CARTOP
ミズノの「歩ける」ドライビングシューズ、新登場の高級モデル『ベアクラッチL』を試してみた
ミズノの「歩ける」ドライビングシューズ、新登場の高級モデル『ベアクラッチL』を試してみた
レスポンス
ホンダの新型ハイブリッドがすごい! しかも新開発!! 今のハイブリッドより圧倒的に楽しかった!!!
ホンダの新型ハイブリッドがすごい! しかも新開発!! 今のハイブリッドより圧倒的に楽しかった!!!
ベストカーWeb
ダカール挑戦のダチア、前哨戦モロッコでワンツーフィニッシュも「参戦してすぐに勝てるという前提はない」
ダカール挑戦のダチア、前哨戦モロッコでワンツーフィニッシュも「参戦してすぐに勝てるという前提はない」
motorsport.com 日本版
名神IC直結の「彦根お城トンネル」今日開通! 市中心部へ一気にワープ 名前に込めた意図とは?
名神IC直結の「彦根お城トンネル」今日開通! 市中心部へ一気にワープ 名前に込めた意図とは?
乗りものニュース

みんなのコメント

8件
  • あの頃の車には、夢があった。今は・・・
  • あの頃の日産は浮かれてたからなぁ。シーマ現象なんて言葉に酔ってたんだろう。「アリとキリギリス」のキリギリスのように気付いたらゴーンの喰い物にされてた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

113.6189.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
NXクーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

113.6189.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村