現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 16代目の新キャラクター。走って楽しい“スッキリ”クラウン/トヨタ・クラウン・スポーツHEV試乗

ここから本文です

16代目の新キャラクター。走って楽しい“スッキリ”クラウン/トヨタ・クラウン・スポーツHEV試乗

掲載 5
16代目の新キャラクター。走って楽しい“スッキリ”クラウン/トヨタ・クラウン・スポーツHEV試乗

 モータースポーツや自動車のテクノロジー分野に精通するジャーナリスト、世良耕太が『トヨタ・クラウン・スポーツ』に試乗する。クラウンシリーズの第二弾は躍動的なスタイルと俊敏な走行性能を武器にした“SPORT”(スポーツ)。パワートレインはハイブリッドとプラグインハイブリッドを揃える。今回は、ハイブリッドをチョイス。多様化するニーズに対応する新しいSUVという位置付けの『クラウン・スポーツ』の実力を深掘りする。

* * * * * *

トヨタ、新型クラウン・スポーツのPHEVモデルを発売開始。操る楽しさを味わうスポーティさを追求

 『クラウン・スポーツ』は「新しいカタチのスポーツSUV」を標榜する。見るからに躍動的なカタチが特徴で、スマホやパソコンのディスプレイに映った姿を見るよりも、実物のほうがずっと迫力がある。とくに、グラマラスなリヤフェンダーまわりは圧巻だ。

 そして、タイヤがデカイ。235/45R21のタイヤサイズは、『クロスオーバー』よりワンサイズ幅広で、そのため外径もひとまわり大きく745mmある。近くで見るとギョッとするほど大きさを感じる。『スポーツ』は『クロスオーバー』に対してホイールベースを80mm縮めているため(2850mm→2770mm)、大径タイヤがなおさら強調される(それを狙っている)。

 ボディサイズを記しておくと、全長は『クロスオーバー』より210mm短い4720mm。フロントのオーバーハングは30mm、リヤのオーバーハングは100mm短縮した。その結果、ギュッとしまった緊張感のあるプロポーションになっている。

 一方で、全高は『クロスオーバー』より25mm高い1565mmだ。1550mmの高さ制限がある機械式駐車場には入らない高さである。開発段階では「その15mm、なんとかならないのか」との議論があったそうだが、最終的には実用性よりも魅力的なクルマづくりを優先した。その意気に賛同である。

 パワートレイン横置きレイアウトは、『クロスオーバー』と共通。2.5リッターハイブリッド車の設定があるのも『クロスオーバー』と共通しているが、『クロスオーバー』にある2.4リッターターボハイブリッド車の設定は『スポーツ』にはなく、代わりにプラグインハイブリッド車(PHEV)の設定がある。

 クラウンシリーズは価値感の多様化に応えるべく、『クロスオーバー』、『スポーツ』、『セダン』、『エステート』(2023年度中に発売予定)の4つのボディタイプを設定。パワートレインも価値感の多様性に合わせる格好で複数のタイプを使い分ける。

 『クロスオーバー』にはなく、『スポーツ』に設定があるPHEVの特徴は、大容量の電池を搭載することにより、大きなモーター出力を出せること。「アクセルを踏むと一気に立ち上がるトルクフルな加速を感じていただきたい」と、開発を担当する技術者は語る。

 『プリウス』におけるハイブリッド車とPHEVの関係と似たような狙いだろう。そう聞くと期待は高まるが、PHEVの試乗は後のお楽しみにとっておくことにし、まずは2.5リッターハイブリッド車で『スポーツ』の味見をすることにする。

 『スポーツ』の2.5リッターハイブリッド車は、『クロスオーバー』と同様にリヤにモーターを搭載した電気式4WDであり、ダイナミックリヤステアリング(DRS)と呼ぶ後輪操舵システムを搭載している。基本的には、低速時に逆相に切って俊敏な動きをつくり出し、高速時は同相に切って意のままの走りを提供する考えで制御が構築されている。

 その制御が『クロスオーバー』と『スポーツ』では異なる。ドライブモードでNormalを選択しているとき、低速時(~60km/h)は逆相に切るが、『スポーツ』は『クロスオーバー』よりも少し強めに切る(切れ角が大きい)という。俊敏性を高めるためだ。

 『クロスオーバー』でSport+、『スポーツ』でSportモードを選択した場合、逆相に切る速度域の上限が高くなる(~70km/h)。70~80km/hの切り替え領域では、同相(80km/h~)とのつながりをなめらかにするため、『クロスオーバー』では同相/逆相を切り込み速度(舵角速度)に応じて判断しているいが、『スポーツ』では「動かさない」設定とした。

「より意のままに操れる感覚を重視したセッティング」だという。詳しく話を聞くと、切り替え領域で同相/逆相の制御をすると、舵角速度に応じて同相に切ったり、逆相に切ったりするためクルマの動きが同じにならず、サーキットを攻め込んだ際に違和感を感じることがあるのだという。

 自在に動くことがいいと限らないのはサスペンションと一緒で、『スポーツ』でSportモードを選択した際の逆相~同相切り替え領域はリジッドにした。

 話を伺ったときは何とも思わなかったが、「サーキットを攻め込んだ際に」って表現がスルッと出てくるところに、『クラウン・スポーツ』のキャラクターが表れている。筆者も富士スピードウェイのショートコースでスポーツのサーキット走行を経験済み。

 考えてみれば、サーキットを走って音を上げないどころか、走って楽しいクラウンって一体どういうことなんだと、今ごろになって驚きの念がジワジワとこみ上げてくる。

 もちろん、『スポーツ』を名乗るからといって『GRヤリス』や『GR86』のように走りに特化したキャラクターが与えられているわけではなく、カバー範囲の端っこにサーキットが入っているにすぎない(それでも驚嘆ものだが)。メインのターゲットは公道だ。上質な乗り心地を損なわない範囲でスポーツを感じさせる走りを作り込んでいる。

 3人いるテストドライバーのうちひとりは女性で、その女性ドライバーの目線で操舵力が重すぎないよう、電動パワーステアリング(EPS)の制御を煮詰めていったという。軽い、重いで評価するのはふさわしくなく、「スッキリしたフィーリング」と表現するのがふさわしいように思う。ステアリングの操舵に関してだけでなく、クルマ全体の動きがスッキリしている。

 自動車販売店やコンビニ、スーパーなどの駐車場から道路に向かって段差を降りるときにも、『クラウン・スポーツ』のスッキリした動きは体感できると思う。

 ダンパーの構成は『クロスオーバー』と同じだが、構成部品(具体的には、シート面を持たずリーフバルブがスウィングすることで油の流れを制御し減衰力を発生させるスウィングバルブの特性)を見直し、極微低速作動域での減衰力を20%程度上げているという。結果、タイヤが路面にしっかり追従し、動いた後は、その動きをすぐに収めるチューニングを施した。

 そんなチューニングの効果もあり、『クラウン・スポーツ』は石畳のようなザラザラした路面をあえて選んで走りたくなるような、柔軟な脚の持ち主になっている。スッキリした乗り味はタイヤ(ミシュランe・PRIMACY)の効果も大きいらしく、縦ばねは柔らかくしつつ、グリップはしっかり出す特性をタイヤメーカーと協力して作り込んだそう。

 『クラウン・スポーツ』ではなく“クラウン・スッキリ”とでも呼びたいくらい、気持ちいい乗り味が印象的だ。

こんな記事も読まれています

フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
AutoBild Japan
ついに始まった首都高「新ルート事業」の凄さとは 「箱崎の渋滞」も変わる!? 都心に地下トンネル「新京橋連絡路」爆誕へ
ついに始まった首都高「新ルート事業」の凄さとは 「箱崎の渋滞」も変わる!? 都心に地下トンネル「新京橋連絡路」爆誕へ
くるまのニュース
新型コンパクトSUV『EMZOOM』、世界市場で成功…中国広州汽車
新型コンパクトSUV『EMZOOM』、世界市場で成功…中国広州汽車
レスポンス
日本でまさかの拳銃を使ったタクシー強盗発生! キャッシュレス化で現金をもたない仕組み作りが一番の解決策
日本でまさかの拳銃を使ったタクシー強盗発生! キャッシュレス化で現金をもたない仕組み作りが一番の解決策
WEB CARTOP
本田宗一郎とイーロン・マスクに共通点があった? 稀代の経営者を支える「無知の知」とは何か
本田宗一郎とイーロン・マスクに共通点があった? 稀代の経営者を支える「無知の知」とは何か
Merkmal
全長5m級!トヨタが新たな「ラージSUV」まもなく発売!? 17年ぶり復活! 斬新フェイス&車中泊出来そう空間の「クラウン」 発売はどうなった?
全長5m級!トヨタが新たな「ラージSUV」まもなく発売!? 17年ぶり復活! 斬新フェイス&車中泊出来そう空間の「クラウン」 発売はどうなった?
くるまのニュース
伝統を継承するマッスルクルーザー! スズキが米北米市場で2025年型「ブルバードM109R」を発売
伝統を継承するマッスルクルーザー! スズキが米北米市場で2025年型「ブルバードM109R」を発売
バイクのニュース
フレキシブルウイング巡る論争が再燃。メルセデスに注目集まるも、今のところFIAは介入せず
フレキシブルウイング巡る論争が再燃。メルセデスに注目集まるも、今のところFIAは介入せず
motorsport.com 日本版
驚異のパフォーマンス向上! 最新スパークプラグの技術とその効果~カスタムHOW TO~
驚異のパフォーマンス向上! 最新スパークプラグの技術とその効果~カスタムHOW TO~
レスポンス
シボレー コルベット【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
シボレー コルベット【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-1「JB64のシートを移植しよう」
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-1「JB64のシートを移植しよう」
グーネット
【新車価格情報】軽自動車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年6月20日時点
【新車価格情報】軽自動車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年6月20日時点
カー・アンド・ドライバー
日産が新型「流麗セダン」初公開! “キラキラ”大型グリル&精悍ホイール! 最新機能モリモリの小型セダン「セントラ」ブラジルで発売!
日産が新型「流麗セダン」初公開! “キラキラ”大型グリル&精悍ホイール! 最新機能モリモリの小型セダン「セントラ」ブラジルで発売!
くるまのニュース
日本上陸が待ち遠しい! ジープ最小コンパクトSUV 新型「アベンジャー」の欧州での受注が早くも10万台突破 愛される理由とは
日本上陸が待ち遠しい! ジープ最小コンパクトSUV 新型「アベンジャー」の欧州での受注が早くも10万台突破 愛される理由とは
VAGUE
ケータハムが70~80年代の人気モデルに現代風のアレンジを加えた「スーパーセブン600」と「スーパーセブン2000」を発売
ケータハムが70~80年代の人気モデルに現代風のアレンジを加えた「スーパーセブン600」と「スーパーセブン2000」を発売
@DIME
トヨタ 新「プリウス”スポーツカー”」に大反響! “GT風”バンパー&重低音マフラー採用! ド迫力エアロの「ハイブリッドスポーツカー」7月発売へ
トヨタ 新「プリウス”スポーツカー”」に大反響! “GT風”バンパー&重低音マフラー採用! ド迫力エアロの「ハイブリッドスポーツカー」7月発売へ
くるまのニュース
【おもちのビート】レンタカーのS30Zで峠と高速道路を運転したら色々とヤバかった
【おもちのビート】レンタカーのS30Zで峠と高速道路を運転したら色々とヤバかった
月刊自家用車WEB
ランドローバーが日本文化からインスピレーションを得てデザインされた「レンジローバーSV ビスポーク1858エディション」が登場
ランドローバーが日本文化からインスピレーションを得てデザインされた「レンジローバーSV ビスポーク1858エディション」が登場
@DIME

みんなのコメント

5件
  • cor********
    マカンほしいと思ってたけどこれにしようかな
    そんなにクルマに金使ってられんしねしかしカッコいいな
  • 空売り豚
    カッコは良いと思うけど、クラウンの名前で買う気削がれる。違う名前にして欲しかった。こんなのクラウンじゃない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村