価格見直しでXEのライバル関係に変化
執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
<span>【画像】同価格帯サルーン比較 ジャガーXE BMW M235i アウディS3 全88枚</span>
撮影:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ジャガーXEは、実際の売れ行き以上に、われわれは高い評価を与えてきた。2021年にマイナーチェンジを受け、アップデートされるとともに価格を改定。販売として、その効果は表れているようだ。
英国ではエントリーグレードとなるディーゼルエンジン版の価格を、ジャガーは4000ポンド(62万円)以上も引き下げた。その結果、XE S D200は想像以上にお手頃なクルマとなっている。
3万ポンド(465万円)をわずかに超える予算があれば、英国ではXEを自宅に連れて帰れる。それでいて、内装や装備が見直され、20psのパワーアップも果たしている。
英国人がこの価格帯で新車を考えている場合、フォルクスワーゲン・ゴルフのディーゼル版や、フォード・フォーカスSTのディーゼル版などが候補ではないだろうか。それとほぼ同じ金額で、ジャガーXEを契約することもできるのだ。
大幅な価格改定によって、従来以上に競合モデルが増えたことになる。BMW 3シリーズなどだけではなくなった。
英国で提供されるXEのラインナップは発売当初より削られ、現在選べるエンジンは2種類のみ。203psの4気筒ディーゼルターボ、D200と、300psを発揮する4気筒ガソリンターボのP300で、いずれも後輪駆動となる。
こちらのP300は、D200以上に英国価格が引き下げられ、Rダイナミック HSEのグレードで5000ポンド(77万円)もお手頃になった。その結果、アウディS3 サルーンやBMW M235i xドライブ・グランクーペと価格で並んでいる。
均整の取れたプロポーションのXE
恐らく、お互いに想定していなかった対戦相手ではないだろうか。S3やM235iを選ぶドライバーは、XE P300を視野に入れてこなかったと思う。
BMW 3シリーズが主力の市場へジャガーが挑むべく、縦置きフロントエンジンのリアドライブというレイアウトで開発されたXE。ところが新しい価格では、セグメント下のFFベースのモデルも比較対象になってくる。
予定では3年後に新しいXEが登場するが、その時は3シリーズの価格帯でジャガーは再び勝負をすることになるはず。こんな比較は、今回限りかもしれない。
ドライブトレインを表面的に確認すると、この3台は内容が近い。ともに搭載するエンジンは2.0Lの4気筒ターボガソリンで、ATを搭載し四輪を駆動する。とはいえ、違いは存在する。操縦性を左右する部分で。
ウェールズ地方のワインディングからそれた駐車場で、アウディS3とBMW M235iを観察する。好みはそれぞれだと思うが、ジャガーXEのルックスの良さを、改めて実感させられる。
筆者が思うに、サルーンのスタイリングは、均整の取れた実践的なプロポーションが鍵となる。ジャガーXEのサイドビューは、長めのボンネットから続くルーフラインがクラシカルだが、紛れもなく美しい。
他方、アウディとBMWは装飾的な造形が少し過多な印象。ボディには何本ものラインが入り、あえてパンプアップしたような、肉付きの良い面構成で仕上げられている。フロントグリルやバンパーのエアインテークも、誇張気味ではないだろうか。
レイアウトが生むデザイン上の制限
ボンネットやウエストラインは、ジャガーより高い。フロント・オーバーハングは長い。XEと並ぶと実際以上に全高が高く、幅が狭く見えてしまう。購入者層には受ける形なのかもしれないが、スポーツサルーンの体勢とは感じにくい。
エンジンを横に積んだFFレイアウトを選ぶと、自ずとトランスミッションとフロントタイヤの位置関係が決まってくる。その構造を受け入れて、サイズの小さなサルーンをデザインすることになる。
縦置きエンジンのFRならフロントアスクルは前方に配置でき、パワートレインも低く搭載できるため、ボンネットやウエストラインの高さを抑えられる。3ボックスのサルーンとして、バランスの取れた優雅なプロポーションを作りやすくなる。
S3とM235iは、実際ルーフラインがXEより若干高い。エンジンの搭載位置が低くない都合で、すべての位置を充分に下げることが難しくなるためだ。AUTOCARの読者なら、いわずもがな、かとは思うけれど。
筆者の感覚では、デザインでの苦労をより感じるのはBMW。ボディが豊満で、18インチのホイールは小さく見えてしまう。アウディもラインが少々煩雑な印象ながら、見る角度によってはそれほど悪くはない。
全長が長いこともあり、ジャガーXEは本来望まれるべきサルーンのフォルムを備えている。低くワイドで凛々しい。
デジタルなアウディと、慣れた雰囲気のBMW
ジャガーXEのインテリアは、数年前ならアウディA4を比較相手に持ち出し、知覚品質の不十分さを指摘していただろう。だがマイナーチェンジを経て、大幅に改善されている。
2020年にモデルチェンジしたアウディA3は、インテリアの質感で先代を超えてはいない。デジタル技術による視覚的なアピールと引き換えに、触覚的な体験を犠牲にしていると感じる。
ダッシュボードには、ピアノブラックの黒いプラスティックが沢山。造形は立体的で、3次元ポリゴンのように見える。アウディ流の、近未来を表現するデザインなのだろう。
作りの良い内装パネルやトリム類には、感心させられる。質感で優れた部分も多い。そこに、傷の付きやすそうなプラスティックが、織り交ぜて用いられている。
S3のインテリアが安普請だと感じることはないし、見た目も悪くない。だが、アウディというブランドに期待するほどともいえないと思う。
BMW 2シリーズのインテリアは、より従来のイメージ通り。見た目や肌触りに優れ、使い慣れた、実際に押せるハードボタンも多く採用されている。運転環境はアウディよりシンプルだ。
ただし、試乗車のツートン・レザー内装は好みが分かれるところ。英国では1150ポンド(18万円)のオプションだが、筆者はブラック1色でも充分気持ち良く過ごせそうだ。
ジャガーのインテリアは水準が1つ上。レザーとクロームメッキ、わずかに残るプラスティックという組み合わせは、明らかに上質で高級感が高い。目で見ても、手で触れてみても。
この続きは後編にて。
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