トヨタは2021年10月29日、スバルとの共同開発EVを「2022年の年央より世界各地で発売する」と公式リリースを発表。今回公開されたSUVのEV「bZ4 X(ビーズィーフォーエックス)」を皮切りに、4年後の2025年までに7車種(!)、フルラインアップで用意するという。トヨタ、本気だ…と驚きもつかの間、このたび日本仕様とおぼしき右ハンドルモデルの「プロトタイプ」も公開された(後述するがすでにウィンドウに認証マークがあり、量産体制まで整っていることがわかる)。あきらかにトヨタは純EV(BEV)に本腰を入れだしている。今回の発表内容と、「プロトタイプ」とはいえ完成度が非常に高い実車を見た担当者がレポートをお届けします。
文/ベストカーWeb編集部
写真/佐藤正勝、TOYOTA、SUBARU
[gallink]
■サイズはほぼRAVでもホイールベースはランクルなみ
これまでトヨタは、ハイブリッド車のトップランナーだったことや水素エンジン(FCV)開発に熱心だったこともあり、一般的に「純EV(BEV)ジャンルの開発や販売には一歩で遅れているのでは…」というイメージがあった。
トヨタ関係者にその点を尋ねると、「うちはいろいろやってますので」と答えるばかりで外部からは判定のしようがなかったが、今回公開された、日本仕様とおぼしき右ハンドル仕様の「bZ4 Xプロトタイプ」を見ると、間違いなくその「本気度」が伝わってくる。以下、ざっくり紹介したい。
トヨタbZ4 Xプロトタイプ。先日公開された広報写真は左ハンドルだったが、今回の実車はきっちり右ハンドルで、ウィンドウに認証マークも付いていた
今回公開されたトヨタbZ4 Xプロトタイプは、トヨタとスバルが共同開発した純EV(BEV)専用プラットフォームを採用する(トヨタ初)。全長4690×全幅1860×全高1650mmと、ボディサイズはミドルクラスSUVでRAV4と同程度だが、純EVらしく(フロントにエンジンを置く必要がなく動力(モーター)ユニットを比較的コンパクトにできるため)ホイールベースは2850mmとランクル300なみのサイズ。
これにより室内長1940mm(室内1515mm)と広大なキャビンを確保。また、バッテリーは薄型大容量電池パックを床下・平置きで配置したことで、室内高1160mmを達成。ざっくりいうと、ガソリン車なみの室内と乗降性をしっかり確保している。前後シート間距離も1000mmを確保しており、Dセグメントセダン(レクサスIS)なみのゆったり感。
内装もしっかり作りこまれたかたちで公開された。このまま市販されそう
今回公開された右ハンドル仕様の内装をじっくり見ると、このクラスのSUVにしてはステアリング径が小さくまとめられており、メーターをステアリングホイールの上側を通して見えるよう配置したトップマウントメーター(トヨタ初)を採用。視線移動が少なくてすむよう遠視点化し、見やすさを重視した設計となっている。
これはステアリングホイールとタイヤの間にメカニカルな結合のないステアバイワイヤを採用したことによる恩恵で、Uターンや車庫入れ、ワインディングロード走行時などでのハンドル操作のドライバーの負荷を大きく低減している。
注目の「ワンモーショングリップ」(F1マシンのようなグリップタイプのステアリング)は、後発で用意されるもよう(半年~1年後くらいに追加設定か)。
こういう「新しさの演出」も実にトヨタらしい。
こちらは広報写真。F1マシンのようなワンモーショングリップタイプのステアリングも設定されるそう。こちらはやや遅れて設定される(おそらくオプション設定)
■2022年夏からトヨタのEV発表ラッシュ開始
バッテリー容量は71.4kWhで、気になる航続距離(一充電走行距離/WLTCモード)は、FFで500km前後、4WD車は460km前後。ほぼ同時に公開された兄弟車であるスバルのソルテラは530kmと発表されたことから、その程度までは引き上げられると予想する。ちなみにこの11月に正式注文が開始される見込みである日産アリアのバッテリー容量は66kWhと91kWhの2種類が用意され、一充電走行可能距離は430~610km。
快適装備や安全装備も当然かなり気合が入っている。
ワイパーやエアコンなどが音声認識機能で動作させることができ、登録したスマホを携帯していれば画面操作なしでロック、アンロック、システムスタートが可能。安全装備は進化したToyota Safety Senseが搭載され、全トヨタ車のなかでもトップレベルのデバイスが装着されることが決まっている。
プロトタイプながら実車を見た個人的な印象としては、「デザインがどことなくテスラ(モデルX)っぽいな…」。EVは車体前面にラジエターを設置する必要がなく、フロントグリルが不要となり、その点がガソリン仕様車との最大の違いとなる。この点を現場のトヨタ関係者に(失礼ながら「テスラっぽくないですか?」と)聞いてみたところ、「空力アイテムが織り込まれたコーナー部と上下に薄いバンパー形状により、純EVの独自性を表現しました」とのことだった。
「顔」(フロントフェイスの「口」にあたる部分)が空力を最優先してデザインされると、どことなくシュルンとして、マスクをしているように見えました。
上述のように、トヨタによるとこの「bZ4 X」が発売されるのは「2022年の年央」。当初、トヨタの公式リリースでは「世界各地で順次発売」とされていたことから「中国や北米が優先されて、日本は2023年頃かな…と予想していたが、今回公開されたプロトタイプの完成度(ウィンドウのガラスを見るとすでに認証済みマークが貼られていた。これがあるということは量産体制が構築されているということ)を見ると、あと半年程度で充分発売可能な仕上がり。おそらく来春には具体的なスケジュールが公開されるだろう。
■気になるお値段と補助金は?
最大の関心事となる車両本体価格だが、真っ向からのライバルとなる日産アリアの車両本体価格が消費税込み660万円(「B6 limited」2WD、66kWh)であることを考えると、この「bZ4 X」も約650万円程度と予想する。これに(自治体によって異なるが)80万円程度の補助金(自宅をV2H仕様に改造するとさらに40万円程度の改築補助金が上積みされる)が付与され、環境性能割や重量税の免税分(最大30万円分)が加味されることになる。実質販売額は500万円台前半~中盤といったところだろう。
先日発表された新型レクサスNXのPHEV仕様が車両本体価格7,140,000円(バージョンL)だということを考えると、バーゲンプライスであり、つまり「勝負に出た価格」といっていい。
冒頭に紹介したとおり、2022年夏にこのbZ4 Xを発売したのち、トヨタは2025年までに7車種のEVを段階的に発売していく。約3年間で7車種ということは1年に2車種ずつEVの新型車が発表されていくわけで、これは(トヨタ以外のメーカーではとても不可能といえる)大変なペースといっていい。
トヨタの本気の純EV、すさまじい競争力を身につけて、一気に市場を席捲する勢いで乗り込んできた。発売が楽しみです。
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みんなのコメント
なんだコリャ?って思うのはもうオジサンな訳で、
電気で走る車の世界は、すぐそこにあるのだと
実感させられる。