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動かさないと寿命が短くなる矛盾!? クルマは長く乗らないとココが悪くなる!

 クルマを長い間乗らないでいるとどうなるのか? 1週間に1回乗るか乗らないか、1ヵ月に1回エンジンをかけるだけ、下手すると、走行するのは1年に2、3回という人いませんか?

 知り合いに新車で購入してから32年間で走行距離3万kmという極上車のメルセデス・ベンツ560SELを所有している人がいる。

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 走行距離は極端に少ないため、見た目はかなり綺麗な状態なのだが、実は3ヵ月ごとに1回エンジンをかけて少し乗るだけ。車検は2年ごとに受けているものの、走行距離が少ないため、あまり部品は交換していないという。

 先日、久しぶりに遠出したところ、エンジンの調子が悪く、途中で止まってしまい、JAFにお世話になったという。

 整備工場に入庫すると整備士に、「あちこちの部品を交換しなければいけない、放ったらかしが一番悪い。クルマは長く乗らないのはよくない。ほぼ毎日乗っているクルマのほうが調子がいいよ」とたしなめられたという。

 ということで、クルマを長く乗らないと、具体的にどこが悪くなるのか、部位ごとに解説してもらった。

 これを教訓に、いかにクルマに長く乗らないということが、クルマにとってどれほどダメなことなのか、理解していただき、クルマに大切に乗ってほしいと思う。

文/鈴木伸一
写真/Adobe Stock(トビラ写真:Kesuku@Adobe Stock)

【画像ギャラリー】半年以上クルマに乗っていない人は要確認! 傷みやすい部品をギャラリーでチェック!!

■距離を走っていないからコンディションがよいということはない!

この時代のメルセデス・ベンツはブッシュ類やエンジンマウントを含め消耗部品を交換すれば長持ちすることを証明している

 トップアスリートは日々のトレーニングを欠かすことはない。1日でもトレーニングをさぼると、元のペースに戻るまでそれまで以上の努力が必要となるからだ。

 これは機械物でも同様。コンスタントに動かし続けた方が調子よく、たまにしか動かさないという使い方をしていると無用のトラブルに見舞われやすくなる。

 例えば、ペンチやニッパーといった支点軸を中心に開閉する工具。プロは日常的に利用しているため、注油を怠っても多少動きが渋くなる程度。定期的に注油(メンテナンス)していれば、常にスムーズに動く状態を維持することができる。

 しかし、一般ユーザーは持っていたとしてもたまにしか使わず、ほとんど保管したままだろう。それでも保管場所が湿気のない冷暗所ならまだしも、外気や湿気に晒されれる場所だった場合、摺動面(金属が日擦れ合う面)の油分が落ちて動きが渋くなり、最後にはサビて固着。開くことすらできなくなる。

 そんな単純なツールでさえ、長期間放置したり雑に扱ったり、メンテを怠ればスムーズに動かなくなる。それだけに、様々なパーツの集合体であるクルマにおける放置プレーは致命的。数え切れないほどの摺動面が存在するからだ。

 しかも、経年劣化するゴム・樹脂パーツも各部に大量に使われている。このため、走行距離が短かったとしても、年数が経過すれば確実に劣化は進行。

 メンテを怠れば、さらにコンディションは悪化してしまうため「距離を走っていないからコンディションがよい」とは、単純に判断することはできないのだ。そこで、放置プレーで起こりやすいトラブルを、部位別にまとめてみた。

■エンジン&トランスミッション:半年以上乗らずに放置は避けたい

エンジンオイル交換を行わないと、エンジン内部にこのようにスラッジが溜まった悲惨な状態になる(jozefklopacka@Adobe Stock)

 川の水は常に流れているから澄んで透き通っているのであって、流れが止ると澱んで濁ってしまう。

 エンジンオイルやミッションオイル、冷却水といった油脂類も同様。循環しているからこそ一定のコンディションを維持できており、適度に流れているから必要なときにキッチリ機能してくれる。

 例えば、エンジンオイル。長期間、動かすことなく駐車しておくと潤滑を必要とする摺動面から流れ落ちてしまうため、エンジンの回りが重くなり、無理に回せば摺動面を傷つけることも。駐車環境によってはサビてしまうこともある。

 ゴム製のホース類も熱が加わって柔らかくなり、絶えず伸び縮みすることで弾力を維持できている。このため、多少走行距離が伸びたとしても、コンスタントに走らせていたクルマの方が調子はよい。

 また、エンジンやミッションのように潤滑のためのオイルがケース内に貯められた部位から、クランクシャフトやドライブシャフトといった回転軸が引き出されている部分には、オイルが漏れ出すのを防止するゴム製のシール(オイルシール)が組み付けられている。

 このゴムシールも熱が加わり、かつシャフトの回転によって揉まれることで柔軟性を維持しているため、冷えた状態で長期間、動かさずに置いておくと硬化してオイル漏れを起こしやすくなる。

 平成以降、ゴムパーツの耐久性は格段に向上し1~2ヵ月、放置したからといってただちに問題になることはない。

 しかし、半年や1年といった長期間となると話は別。「半年以上」乗らずに放置は極力、避けたい。特に、駐車場所が雨ざらしの屋外で、さらに路面が湿気のこもりやすい未舗だった場合、注意が必要だ。

エンジンオイルは走っていなくても長期間置きっぱなしでも劣化する。エンジンオイル交換はドレンプラグを外した下抜きで行いたい(Adobe Stock@eleonimages)

■タイヤ:荷重がかかった状態で放置、3年以上たったタイヤはいわゆる「風邪を引いた」状態

できればひと月に一度は空気圧チェックを行いたい。タイヤの空気圧は走り心地にはもちろん、燃費にも影響する要素だ(chaiyasit@AdobeStock)

 ゴムを主成分とするタイヤも、路面からの衝撃で伸び縮みを繰り返すことで柔軟性が維持されており、駐車して一点に加重がかかった状態で長期間、放置すると変形してしまう。

 タイヤが変形してしまうとホイールバランスが崩れ、振動が出たりハンドルを取られたり、走行中に異音が出たりする原因となる。

 しかも、変形が始まったタイヤは自然に元に戻ることはなく、いつ起きるとも限らないトラブルの種を抱えた状態にある。異常に気付いたならただちにプロに点検を依頼したい。

 また、空気圧不足によるタイヤが潰れた状態だった場合、当然、その変形の度合いは大きくなる。走る距離が短く、駐車期間が長くなればなるほど、空気圧チェックも疎かになりがち。

 タイヤの素材であるゴムは空気を透過する性質があるため乗らなかったとしても「1ヵ月に1度」は空気圧のチェックを。そして、必要に応じて補充することで適正な空気圧を維持することが大切だ。

 注意すべき点はまだある。屋外での利用が一般的なクルマは、問答無用でかなりの「紫外線」を浴びる。

 この「紫外線」、タイヤの主成分であるゴムにとって大敵。古くなった輪ゴムは弾力がなくて引っ張っただけで切れてしまう。

 これは大気中のオゾンや酸素、日光に含まれる紫外線で引き起こされる「経年劣化」で生じる現象で、硬化と共にヒビ割れも生じる。

 年数が経過するとタイヤにもこのような現象が生じ、表面が硬化したところにたわむ力が加わることで、表面に細かな無数のヒビ割れを生じてくる。

 しかも、荷重がかかった状態で長期間、放置したり、空気圧が少ないと側面が必要以上にたわんだ状態となるため、よりヒビ割れも起きやすくなるので注意!

 業界用語では「風邪を引いた」と言われる状態で、製造から3年以上経過したタイヤで、このような状態になっていたら要交換だ。

 側面が劣化したということは、トレッド面(接地面)にも劣化が及んでいる証拠。溝は十分残っていたとしても、グリップ力は確実に低下してしまっているからだ。

ゴムは保管しておくだけでも少しずつ劣化する。細かなひび割れや表面の乾燥は劣化のサインだ(YK-image@AdobeStock)

■バッテリー:乗らずに放置すると5年の寿命が3年に!

最近では、コンスタントに走らせているクルマなら、バッテリーの寿命は5年ほど持つというが、ほったらかしにしているとこのように緑青や硫酸塩の粉が吹いている場合が多い(Songkhla Studio@Adobe Stock)

 バッテリーはまったく電気を消費しなかったとしても、貯められている電気の量が自然に目減りしていく。「自己放電」と呼ばれる現象が生じるからで、放置期間がながくなるほど放電量は多くなる。

 また、補機用に12Vを発生する車載バッテリーは「鉛バッテリー」と呼ばれる極板に鉛を使用しているバッテリーで、バッテリー液(電解液/希硫酸)と極板との間に生じる化学反応によって電気を貯めたり、放出する働きをしている。

 が、そのバッテリー液を注入した時点から劣化は始まり、実質的な容量(電気を溜めておける量)が徐々に減少していく。

 このため、年数が経過するほどにバッテリー上がりを起こしやすくなる。しかも、劣化すると内部抵抗が増加して電気が流れにくくもなるため、回転時、瞬間的に100A以上もの大電流を流れるセルモーターの回りが弱々しくなったり、回し続けられる時間が短くなったりもする。

 新車時の車検が3年に延長されて以降、バッテリーの耐久性も伸びており、エンジンさえ回ってしまえば充電されるため、コンスタントに走らせていればヘタリを感じることなく5年くらいは使うことができる。

 しかし、乗らずに駐車しておく期間が長いという利用状況なら、3年過ぎたら確実にバッテリー上がりを起こしやすくなっているので注意! 

 もしも、セルの回りが弱々しかったり、一瞬止まるなど息付きする状況が頻繁に起こるようなら、ただちにプロにバッテリーチェックの依頼を。そして、もしも「要交換」という診断がでたなら、迷うことなく交換したい。

サルフェーションはバッテリーの起電力を低下させてしまうので、月に数度程度しかクルマに乗らないのであれば、パルス充電機能のあるバッテリー充電器でバッテリーを補充電してやると、バッテリーの寿命はグンと伸ばせる

■ブレーキ:ブレーキパッド交換の目安は4~5年、これ以上経過したものは残量が十分あったとしても交換したい

クルマから「キーキー」と音が鳴れば、ブレーキパッドの交換時期が近づいた証拠(Pongmoji@Adobe Stock)

 ブレーキパッドにはこれ以上、使うことはできないという摩耗限界が設定されている。一般に2.5mmで、それ以上の厚みが残っていたなら基本的に交換する必要はない。

 しかし、十分な厚みが残っていたとしても、年数が経過したものはこの限りではない。

 ブレーキパッドはブレーキローターに擦り合わせることで生じる摩擦によって制動力を得ており、制動時には200~300℃という高温に晒される。このため、峠道などでブレーキを使いすぎるとライニング(摩擦材)の表面が焼けて炭化。効きが悪化してしまう。

 経年劣化によっても硬化するため、使用年数が経過すると、やはり効きが悪くなってくる。摩耗しにくくなることでブレーキローターへの食いつきが悪くなるからだ。

 さらに、ホイール内にむき出し状態で組み付けられているという、路面から跳ねた雨水や湿気に晒されやすい環境にあるため、年数が経過すると裏板が錆び、酸化物ごとライニング(摩擦材)が剥がれてしまうことも。

 つまり、残量が大切なものの、年数や使い方で考える必要もあるわけ。目安は4~5年、これ以上経過した物は残量が十分あったとしても交換したい。

 また、ブレーキペダルの踏み力の伝達という重要な役割を担っている「ブレーキフルード」は湿気に弱く、1年も経過すると水分を取り込んで劣化。徐々に茶色く濁ってくる。そして、2年以上使い続けると混入した水分でマスターシリンダー内壁がサビて液漏れを誘発。

 吸水すると沸点が下がってべーパーロックなどのトラブルも起こしやすくなるので要注意! 走行距離が少ないからといって、交換を怠ってはならない。できれば1年毎、遅くとも車検毎の交換が必須だ。

【画像ギャラリー】半年以上クルマに乗っていない人は要確認! 傷みやすい部品をギャラリーでチェック!!

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