アルゼンチンを代表する人気ツーリングカー選手権であり「南米最高峰の技術的カテゴリー」を標榜する2023年のTC2000(旧スーパーTC2000)に向け、ホンダ陣営のプーマエナジー・ホンダ・レーシングが体制を一新。新たに3台体制となったチームは、地元の国有石油企業YPFを迎え入れ“YPFホンダRVレーシング”へと変貌し、ホンダ・シビックSTC2000は爽やかなホワイト&ブルーのスキームとなった。
長年にわたって袂を分かっていた旧TC2000シリーズとの和解が成立し、再出発を迎えた新生TC2000だが、派生シリーズとして2009年より続いてきたSTC2000での2冠を誇るエース、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)の残留に加え、昨季まで所属したシボレーYPFチームからベルナルド・ラヴァーを獲得したホンダ陣営が、心機一転の2023年参戦体制発表会を実施した。
未定だった4戦の開催地確定。ホセ-マニュエル・サパーグがトヨタのシートを獲得/TCRサウスアメリカ
現地2月16日に開催されたラウンチイベントには、チームのジェネラルディレクターであるロベルト・ヴァッレ代表と、昨季までプライベーターとしてシトロエンC4ラウンジを走らせてきたFDCモータースポーツで技術主任を務めたハビエル・チャバッタリ、さらにYPFのマーケティングディレクターやホンダ・モーター・アルゼンチンのコマーシャルディレクターら主要ボードメンバーに加え、3名のレギュラードライバーも姿を見せた。
「このプロジェクトはごく短期間にまとめられた。私個人としても、ホンダやYPFの隣にパートナーとして立てることを心より光栄に思う」と語ったヴァッレ代表。
「今季より技術提携を結んだFDC代表のハビエルがチームの技術部門を統括し、もちろん最高のドライバーとともに、高いレベルのエンジニアリングを備えた最強の組織が完成したと思っている」
同じく、昨季までTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのタイトルスポンサーを務めていたYPFのマーケティングディレクター、レアンドロ・カルーソも「世界でもっとも重要な自動車会社のひとつであるホンダとの、新たなステップと緊密な提携を発表できたことを本当に誇りに思う」と挨拶した。
「この2023年より、シリーズのすべての車両がYPFインフィニアの推奨燃料を使用して戦うことになる。このTC2000は非常に要求の厳しいチャンピオンシップであり、数日後に開幕の日を迎え、トラックに登場する最も技術的なカテゴリーであるTC2000の現場にて、このジョイントが我々を代表する『YPFホンダRVレーシング』のチームを紹介する最良の方法になるだろう」
将来的に「SUVをベースとした競技車両の技術開発と製造」に取り組む方針を示しているTC2000だが、いち早くそのコンセプトへのコミットを表明し、シリーズ参戦継続の意思を示したホンダ現地法人のヴィクトル・プルヴォアも「これは多くの期待を生み出し、チャンピオンシップの開始に向け我々を興奮させる」と、新体制への期待を込める。
「アルゼンチンのモータースポーツにおいて高度な技術を持つ同カテゴリーで、ロベルト・ヴァッレが率いるホンダのような高品質でプロフェッショナルなチームとともに、YPFとの提携が現実になったことをうれしく思っている」と続けたプルヴォア。
「ホンダのDNAは、昨年YPFがスーパーバイクでチームのサポートに参加したことから始まった、スポーツ活動のすべてのプロファイルに付随するものだ。これが我々をモータースポーツの世界に導き、この強力なチームと一緒にTC2000チャンピオンシップのために戦えると確信している」
■アウドゥソとラヴァーが意気込み語る
2022年初頭には、ホンダ現地法人とYPFとの間で再生可能エネルギー供給に関する業務提携も結ばれており、多くのベクトルがこの提携と新体制を導いたとも言えそうだが、かつてルノー・スポール・カストロール・チームで2017-18年シリーズ連覇を果たしたアルドゥソも、引き続き83号車のホンダ・シビックSTC2000を任されることに「すべての欲望と情熱を注ぎ込むつもり」だと意気込む。
「まずは2009年末にスタートした美しいカテゴリーであるTC2000で、こうしてキャリアを継続できたことがうれしいよ。ロベルト・ヴァッレが3年連続で代表するブランドであるホンダと関わり続けることに関し、僕を信頼してくれたことは誇りの源泉だ」と、現在34歳の元チャンピオン。
「今日、YPFはこの素晴らしいチームに加わることで栄光を手にし、素晴らしいワークグループが形成された。今季のチャンピオンシップがこの手に収められるよう、全力で挑むつもりさ」
そしてアルドゥソの新たな僚友に就任したラヴァーも「ふたつの大きなモータースポーツ企業を代表する機会を与えてくれたホンダとYPF、そしれ信頼を寄せてくれたヴァッレ代表やTC2000のディレクターらに感謝を申し上げる」と、改めての謝意を述べた。
「僕は今季、ここにいない可能性が非常に高かった。だからこそ、幸せが2倍になるような感覚だ」と、今季のTCRサウスアメリカ・シリーズではTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)が新たに投入する『トヨタ・カローラGRS TCR』のエースドライバー契約を結んでいるラヴァー。
「一刻も早くホンダ・シビックのステアリングを握り、トラックに出てトップレベルのチームの一員であることを示したいと思っている。前に進むためのすべてを持っているし、チャンピオンシップのために戦わなければならないね」
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