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【試乗】ソルテラは、気持ちよーくツボを押さえたBEV。だからこそ「スバルらしさ」というスパイスに期待大

掲載 更新 11
【試乗】ソルテラは、気持ちよーくツボを押さえたBEV。だからこそ「スバルらしさ」というスパイスに期待大

スバル初のBEV(バッテリー電気自動車)「ソルテラ」に、あらためて乗る機会を得た。発売されてから8カ月ほどが過ぎたが、その印象を再確認しておきたい。

BEVとしての性能に不満はない。航続距離も十分か
ここのところ、試乗するクルマはほとんどがBEVやHV(ハイブリッド車)、そしてPHEV(プラグインハイブリッド車)など、電動車であることが多い。ついには、自分のクルマも電動車になったのだが、これについてはいずれ報告することにしよう。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

さて今回の試乗車は、スバル初のBEV「ソルテラ」。グレードは2モーター4WD(スバルはAWDと呼ぶが)の上級モデル「ET-HS」だ。じつはソルテラは、2022年冬の雪上試乗会へ鈴木レポーターと同行して少しだけ試乗したが、ドライの公道は初めて。まずは乗ってみてのインプレッションから。

コクピットに着くと、ステアリングホイールの上からメーターパネルを見る、独特のレイアウトが特徴的だ。だが、さほど違和感はなく、むしろ慣れてしまえばけっこう見やすい。センターダッシュの大きなタッチパネルなど、やや近未来的な雰囲気が既存のエンジン車とは違うことを意識させるが、最近のインポートBEVほど「飛んだ」デザインではないから、普通のクルマから乗り換えても気にはならないだろう。

ドライブフィールは、BEVならではの魅力に富む。アクセルペダルをジワッと踏めばスッと発進し、さらに踏み込めば極低速域からトルクが立ち上がるBEVらしい加速を見せる。ドライブモードは「エコ/ノーマル/パワー」の3モード(FWD車は2モード)あるが、市街地走行のレベルでは、それほど大きな違いは感じられない。それでも「パワー」でベタ踏みすると、瞬間的に血の気が引いていくようなハンパではない加速を見せる。

高速ツーリングでは、優れた安定性と安心感を実感
前述のように今回の試乗はオンロードのみで、都市高速と市街地での走行を半々くらい。天気も良く、またワインディングロードを走ることもなかったので、2モーター4WDの恩恵を感じる機会は少なかった。それでも、高速時の直進安定性の良さはAWDのおかげかなと思わせてくれた。

ご存じのようにソルテラはトヨタとの共同開発車ということもあって、先進運転支援システムはスバル自慢のアイサイトではなく、トヨタ セーフティセンス(呼称はスバル セーフティセンス)となるが、もちろん性能的に不満はない。レーダークルーズコントロールをはじめとする各種機能は的確に作動し、セーフティドライブをサポートしてくれる。

「Sペダル ドライブ」と呼ばれる、いわゆるワンペダル機構も備わっており、しかもその加減速(とくに減速)の度合いが適切なので市街地走行では便利だ。完全停止はしないが、安全面を考えるとその方がベターだと思う。

カタログ上の航続距離は487kmだから、エアコンなどを使用した実質的な航続距離は350kmくらいかなと思われる。今回の試乗は100km程度だったからまったく問題はなく、都心から箱根往復くらいのドライブなら無充電でこなせるだろう。

独特のスタイリングは世代によって好みが分かれるかも
BEVとしてのハード面には好印象を得たソルテラから降りて、あらためてクルマをジックリと見る。いわゆるクーペSUV的なスタイリングなので、サイズは比較的コンパクトなのかなと思っていたのだが、実寸はけっこう大きい。全長や全幅は、フォレスターよりわずかに大きいくらいなのだ。

ディテールでは、六角形のフロントグリルやCシェイプに光るランプなど、最近のスバル車に共通のアイデンティティは与えられているが、全体的なデザインは、スバルよりもトヨタのイメージが強いようだ。

また、これも最近のスバル車の新たなアイデンティティなのかもしれないが、前後のフェンダーは無塗装の黒い樹脂製で大きなオーバーフェンダーが与えられている。とくにフロントのフェンダーはヘッドランプやフロントバンパーとも連続したデザインだ。しかも今回の試乗車のようにボディカラーが白だと、コントラストが強すぎるような気がした。

もっともデザインに絶対的な「良い、悪い」などないはず。極論すれば、「好きか、嫌いか」ということにいきつく。今までに何度も紹介しているが、ソルテラのスタイリングには、これが当てはまる。

おそらく世代によっては、近未来的なインパクトに心躍ることだろう。一方でちょっと派手すぎるかな・・・と感じる場合もあるかもしれない。それはある意味、自動車という嗜好性の強い工業製品が抱える、永遠の課題に他ならない。

広がり始めた選択肢。だからこそ「もう一歩」の踏み込みに期待
視界の良いインテリアには、しっかりスバルらしさを感じる。試乗車はヒーター&ベンチレーション内蔵の本革シートをはじめ、インテリアはタンカラーでブルーステッチのアクセントも効いており、なかなかオシャレだ。運転中は外観よりもインテリアを常に目にしているわけだから、ボディカラー同様にインテリアのカラーも重視したい。

それにしても、500~600万円台のSUVタイプBEVは今、がぜん面白いことになっている。国産、輸入車ともに種類が増える一方で、絶対的なパフォーマンスではかなり拮抗している印象がある。裏返せばこと走りに関しては、どれを選んでも思い切り失望させられることは少ない、ともいえる。

そうなれば選ぶ基準は、とってもシンプルだ。よりカッコいいと思えるエクステリアだったり、より心地よく過ごせるインテリアだったり、使いやすさを実感できる機能性だったり・・・クルマ選びの目線としてはとってもわかりやすく、普遍的になっていく。

こだわりのある自動車ファンからはともすれば「家電的」に思われがちかもしれない。けれど、実はBEVを選ぶのはそうとうワクワクする。そういう時代がいつの間にか、けれど確実に訪れている。裏返せば、本当に価値ある1台にターゲットを絞り込むのは、なかなかに悩ましい。

そう考えていくと、ソルテラはひとつの大きな「強み」を持っている。それが「スバル」というブランドが持つ独特のオーラであることは言うまでもない。トヨタbZ4Xと兄弟車であることは確かなのだけれど、たとえばGR86とは違う個性をBRZがまとっているように、そこにはソルテラならではの価値を訴えかける個性が与えられているはずだ。

あえてそれを「スバルらしさ」と呼ぶのなら、ソルテラにはぜひもう一歩、踏み込んだ表現や味付けを期待したい。なにしろBEVとしての完成度は十二分に高いのだから。だからこそその先に「やっぱりこれだよね!」と思わずほくそえんでしまうようなスパイスをふりかけてもらえれば、ますます「食欲増進」につながることは間違いないのだから。(写真:井上雅行)

スバル ソルテラ ET-HS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1860×1650mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:2030kg
●モーター:交流同期電動機×2
●最高出力:80kW/4535-12500rpm+80kW/4535-12500rpm
●最大トルク:169Nm/0−4535rpm+169Nm/0−4535rpm
●バッテリー総電力量:71.4kWh
●WLTCモード航続距離:487km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:235/50R20
●車両価格(税込):682万円

[ アルバム : スバル ソルテラ 試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

11件
  • ダイハツが作ったレックスだってスバルらしさなんて
    皆無だろ
    トヨタが作ったソルテラもそういうこと
  • もう少し欲しい?
    水平対向エンジンでも積んどく?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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