ドライブレコーダーやレーダー探知機を自分で付けたいなあと考える人は多いはず。ちょっとしたやる気さえあれば作業は難しくないのだが、ビギナーには「電源をどうやって取るのか」がさっぱり分からない。センターコンソールのシガーソケットから取れば簡単なのだが、電源コードが見えてしまう点がいまひとつカッコ悪い。
そこで覚えたいのが、ヒューズボックスから電源を取る方法だ。「ヒューズボックス」と聞いただけでめまいがする人もいるかもしれないが(笑)、お助けグッズを使えば、素人でも電源取りができる。今回はそんな「お手抜き電源取り」の方法を紹介しよう。
ドラレコを自分で付けたい そんなときクルマから電源を取るにはどうすればいいの?
※本記事は編集部員による体験談です。DIYによる電源取りが難しい車両もあります。作業は必ず自己責任で行ってください。
文/ベストカーWeb編集部、写真/エーモン工業、ベストカーWeb編集部
クルマはボディ全体がマイナス線になっている
まずは愛車の取扱説明書を引っ張り出して「ヒューズ」の位置を確認しよう
まずは愛車の取り扱い説明書(車検証といっしょにグローブボックスに入っているはず)を引っ張り出すことからスタートしよう。そこから「ヒューズ」という項目(最近は「トラブル」とか「故障したとき」といった章にあることが多い)を見つけ、愛車のヒューズボックスの位置を調べるのだ。たいていヒューズボックスはエンジンルームと室内にあるので、今回は室内のヒューズボックスを探す。ハンドルの付け根やグローブボックス周辺で見つかるはずだ。
ヒューズボックスが見つかったら、フタがされていることが多いのでそれをはずそう。ツメで停まっているだけなので素手でも外せるはず。中にはびっしりとヒューズが並んでいて、その接続先がフタの裏などに書かれている。そっとフタを閉じたくなる気持ちを我慢して(笑)、以下の要領で目当てのヒューズを探し出そう。
その前にちょっと脱線。小学生のころ、乾電池に豆電球を繋ぐときはプラスとマイナスに繋いだはず。その原理はドラレコでも変わらないのだが、クルマにはマイナス端子がない。いや、正確にいうとクルマはボディ全体をマイナス端子に使っているのだ。
だからクルマに電気製品を繋ぐときはプラス端子だけを見つけ、マイナス端子はボディから出ているネジ山やボルトなどを利用すればよい。今回はそのプラス端子をヒューズから取り出すわけだが、ヒューズボックスの近くにはほぼ必ず、マイナス接続に使えるネジ山やボルトが見つかる。それをマイナス端子として利用すれば電気回路が完成し、ドラレコなどが動くというわけだ。唯一注意したいのは、クルマの塗装は電気を通さないということ。見つけるネジ山は塗装や樹脂部分を貫通しているものを選ぼう。
キーをひねった時だけ電気が流れるヒューズを探す
取材車ではグローブボックスの奥にヒューズボックスが見つかった
ヒューズの探し方に話を戻す。ここで手に入れてほしいのがエーモン工業の「検電テスター」だ。こいつは「電気が流れるかどうか」をダイオードの発光で知らせてくれるもので、ネットショップやカー用品店で500円前後からみつかる。使い方だが、本体からコードが伸び、先にワニ口クリップが付いている。このワニ口クリップを先に述べたマイナス端(ネジ山やボルト)に固定し、本体にある針(プローブ)部分をヒューズ(プラス端)の頭の金属が露出している部分に当てて、電気が流れるかをチェックするわけだ。電気が流れればダイオードが光り、流れなければ光らない。
この仕組みで目当てのヒューズを探すわけだが、まずはエンジンを切った状態でそれぞれのヒューズにテスターの針を当ててみよう。この状態で検電テスターが光る(電気が流れる)ヒューズは、今回使わないので無視してよい。位置をメモしておけばいいだろう。
ここまで来たら立ち上がって深呼吸。運転席に座ってクルマをアクセサリー(ACC)モードにしよう。アクセサリーモードとは、エンジンはかかっていないけれど通電(ラジオやカーナビなどが作動)する状態のことで、エンジンスターターがキー差し込み型の場合はキーを1クリックだけ回す、プッシュボタン型の場合はブレーキを踏まずにボタンを押すことでこのモードにできる(これ以外の操作方法の場合もあります)。
クルマがアクセサリーモードにできたらそのままの状態で再びヒューズボックスへと戻り、「エンジンを切った状態では電気が流れていなかったヒューズ」の中から、以下の条件にあてはまるものを見つける(長時間アクセサリーモードにしておくとバッテリーが上がってしまうので注意)。
(1)アクセサリーモードだと電気が流れる(キーOFFだと流れない)
(2)ヒューズの頭に「15(A)」と書いてある
(3)接続先が「ECU(コンピュータ)」「A/BAG(エアバッグ)」と書いてあるものは避ける(「アクセサリー」や「ラジオ」といったヒューズが見つかればベスト)
(3)はヒューズボックスのフタや取り扱い説明書に書いてあるが、自信がない場合は、愛車を購入したディーラーなどに「電源が取れるヒューズ」を聞いてみるのがいいだろう。
電源を取り出した先にもうひとつシガーソケットを付ける
配線初心者の神グッズ、エーモンの電源ソケット(ヒューズタイプ)
お目当てのヒューズが見つかっただろうか。ここまでくればもうゴールは間近なのだが、ここでもうひとつ便利グッズの出番だ。エーモン工業の「電源ソケット(ヒューズ電源タイプ)1542」がそれ。1000円前後で入手できる。
このアイテムは、15Aヒューズから新しいコードを分岐させ、そのコードの先にシガーソケットのメス側が付いている。この15Aヒューズを、先ほど見つけた目当てのヒューズと差し替えるのだ。もう1本、先にC字型の接続端子が付いたコードがあるが、こちらがマイナス端子なのでさきほど検電テスターで使ったネジ山やボルトにしっかり繋ごう。シガーソケットのメス側にドラレコやレーダー探知機のシガーソケットを繋ぎ、余ったコード部分を束ねてフロアマット下などに隠せば、無事電源取りは完了というわけだ。
「なんだよ、結局シガーソケットかよ!」と思わないでほしい。用品取り付けのプロから見れば、もっと美しく、簡単に仕上げる方法はあるのだが、我々素人には配線の知識がない。そこであえてドラレコやレーダー探知機の電源コードとシガーソケット部分をそっくり使って(ここに機器を守る専用ヒューズも入っている)、リスクを回避しようというわけだ。ちなみに今回15Aのヒューズを選べと言ったわけは、エーモンの電源ソケットが、15Aヒューズに対応しているためだ。
配線の概念図(エーモン工業ホームページより)
いくつか注意点を上げると、まずはヒューズの種類だ。ヒューズには「平型」「ミニ平型」「低背」といったタイプがあるので、自分のクルマに合ったタイプを選ぶ必要がある。でも心配は無用。エーモンの電源ソケットにはそれぞれのヒューズが付属しているので、同タイプのヒューズに交換するだけでよい。ちなみにヒューズは素手では抜けないから、ヒューズボックスのフタなどに付いている「ヒューズ抜き」を使おう。見つからない場合はラジオペンチや毛抜きで代用できる。
もうひとつは電源取り用ヒューズを指すときの向きだ。エーモンのヒューズをよく見てみると、二股の片側からコードが分岐している。その側をヒューズボックス内の電源側(バッテリー側)に来るように装着するのだ。難しそうだが悩むことはない。ヒューズを抜いた状態でエンジンをかけ、奥にある2つの金属部分にそれぞれ検電テスターを当ててみれば一目瞭然。光ったほうが電源側だ。
また今回差し替えるヒューズは15Aだが、異なるアンペア数のヒューズへの差し替えは絶対行わないこと。最悪発火の原因にもなってしまう。
いかがだろうか。電源取りはいろんな作業に応用できるだけに、一度覚えておけば役立つシーンは多いはず。とはいえ繰り返しになるが、作業には多少なりともリスクが伴う。自信がない場合はプロに任せるのが賢明だ
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今後生産する車種には配線を埋設してすぐ接続できるようにすべき。