■フォード100周年を記念したスーパースポーツ、フォード「GT」
フォードが創立100周年を迎えた2005年、それを記念する魅力的なスーパースポーツが誕生した。かつてル・マン24時間レースで、宿敵であるフェラーリを抑え、1-2-3フィニッシュを飾ったフォード「GT40」。そのレトロなスタイルを現代に復活させたフォード「GT」がそれだ。
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このフォードGTは2005年と2006年の2年間に限定して生産されたが、それからさらに10年を経過した2015年、フォードGTはより魅力的な新型へと生まれ変わる。2017年から生産を開始した2代目GTの登場だ。
この両モデルは、いずれもアメリカの、いや世界のフォード・ファンにとっては究極のコレクターズ・アイテムともいえる。その2台が前後して、「オープンロード・ノースアメリカ」、「シフト・モントレー」という、RMサザビーズのオークションに登場。その落札価格には大いに注目が集まった。
●2005 フォード「GT」
まずはGT40を容易に連想させるレトロスタイルの初代GTの概要から解説を始めよう。
この初代GTが2005年と2006年の2年間のみに生産されたことは前でも触れたが、フォードと密接な関係にある、サリーンに委ねられた生産は、最終的には4033台を数えるに至った。
リアミッドに搭載されるエンジンは、5.4リッターV型8気筒といかにもアメリカ車らしい仕様で、これに6速MTを組み合わせることで、0-60マイル(約96km/h)を3.3秒で加速。また最高速は205マイル(約328km/h)を記録したという。これはもちろん、当時のスーパースポーツの第一線に並ぶパフォーマンスといえるだろう。
まだ新車時の輝きを残すボディカラーは、100周年記念のホワイトで、ブルーのストライプがボディの前後を貫く。
鮮やかなレッドに塗装済みのブレーキキャリパーや、鍛造アルミニウム製のホイール、マッキントッシュのオーディオなどは、当時オプション設定されていたものだ。
これらをすべて装備するほか、新車時からのメンテナンス・ノートやオーナーズマニュアル、ボディカバー、消火器等々が、すべて揃っているのも、新しいオーナーには嬉しい。
そしてさらに大きな魅力は、このGTは新車時からワンオーナーで、わずかに1929マイル(約3086km)の走行距離を刻むのみのモデルであることだ。
このあたりを高評価したRMサザビーズは、予想落札価格を28万5000-32万5000ドル(邦貨換算約3000万-3400万円)と設定。結果は29万1500ドル(同3080万円)での落札となった。初代GTの人気はまだまだ高い。
■ル・マン24時間レースでクラス優勝した「GT」の落札価格は?
一方のシフト・モントレーに姿を現した2017年式GTは、予想落札価格が80万-95万ドル(邦貨換算約8400万円-1億円)と相当に高額。
そもそもフォードは、このモデルのオーナーを決定するにあたって、長期間所有することを条件としていたが、2020年までの3年間でこの車両オーナーへの条件はクリアされたということなのだろうか。
●2017 フォード「GT」
初代GTと比較すると、第2世代のGTは、エッジの効いたエアロダイナミクスをさらに最適化したボディワークを実現していることが分かる。
正式に発表されたのは2015年のNAIAS=デトロイト・ショーだが、誰もがその美しさと前衛的なフォルムに一瞬息を飲んだのは紛れもない事実だった。そしてフォードがまだ、世界の頂点を極めるスーパーカーを作り出すことができるメーカーであることを証明した瞬間でもあった。
この2代目GTの設計と生産は、フォードの高性能車部門である、フォード・パフォーマンス・ヴィークルズと、さまざまなメーカーに最新の技術を提供するマルチマティック社との共同でおこなわれた。
生産もマルチマティック社が担当し、実際には2017年からその生産が開始されている。参考までにこの年にデリバリーされたGTは、250台を計画したものの、わずかに138台だった。
リアミッドのエンジンも時代を反映している。搭載されるのは3.5リッターV型6気筒ツインターボ(エコブースト)で、最高出力は656psを達成。組み合わせられるトランスミッションは7速DCTだ。このパワーパッケージで、0-60マイル(約96km/h)加速3秒未満、最高速は216マイル(約346km/h)を実現したのだ。
2代目のGTは、レースにも積極的に参戦した。特筆すべきは2016年のル・マン24時間レース。ここでフォードGTは、あの1-2-3フィニッシュからちょうど50年後に、LM-GTEクラスで優勝を飾ったのである。
走行距離は1300マイル(約2080km)未満という出品車。実際の落札価格は85万8000ドル(邦貨換算約9060万円)と予想を裏切らなかった。フォードGTはいつの時代も、アメリカの誇りであり、象徴的な1台なのだ。
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みんなのコメント
どんどんレトロスタイル復活してほしいです、
なんせ明らかに60~70年代の車の方がかっこいいんですから。