BMW i Hydrogen NEXT
BMW iハイドロジェン ネクスト
ベントレーとファナテック、実際のレースとゲームで使用可能な高機能ステアリングホイールを共同開発 【動画】
改めて注目される水素エネルギー
「脱炭素」時代に向けて世界中が急ピッチでエネルギーシフトを加速する中、いま改めて注目を集めているのが水素だ。川崎重工は世界初の液化水素運搬船を発表、エアバスは水素を燃料とした旅客機を開発し、シーメンスも水素で走る鉄道車両の完成を目指している。もちろん自動車業界もその例に漏れない。
車載タンクに充填した水素ガスを電気エネルギーに転換して走る水素燃料電池車(FCV)。その開発に世界の自動車メーカーが乗り出したのは数十年前だ。そして2014年、トヨタが世界初の一般向けFCVとして「MIRAI(ミライ)」を発売。2018年にはメルセデス・ベンツが燃料電池プラグインハイブリッド車「GLC F-CELL」の量産を開始し、ヒュンダイもFCV「NEXO(ネッソ)」を発表している。ステランティスやジャガー・ランドローバー、ルノーグループといった欧州連合も水素カーの開発に続々と乗り出した。
X5ベースのFCVを2022年に発売
BMWもかなり早い段階から水素を燃料する車両の開発に取り組んできたパイオニア的存在であり、2006年の時点で7シリーズをベースに水素を代替燃料に用いる「ハイドロジェン7」を発表していた。そして2021年、今度はX5をベースにした水素燃料電池車のプロトタイプを公道に送り込んだ。
「iハイドロジェン NEXT」と名付けられた新型車は、トヨタと共同開発した燃料電池システムと、BMWグループの第5世代EVパワートレイン「eDrive」を組み合わせて搭載するFCV。2022年後半に少量生産モデルとしての発売を予定している。
水素の充填時間は3~4分
水素をエネルギーとするFCVが、エコフレンドリーな次世代車両の選択肢のひとつであることは間違いない。これまでは水素ステーションの配備といったインフラ面の課題が立ちはだかってきたが、社会全体の水素シフトが進む兆しが見える今、再度注目を集めている。
従来の内燃機関搭載車の燃料タンクのように、水素用タンクへの“給水素”は3~4分で完了。ピュアEVのように充電に多くの時間を割くことがないのも利点だ。
水素でも「駆け抜ける歓び」を
2022年後半の市場導入を目指す「iハイドロジェン NEXT」は、すでに欧州エリア内においてプロトタイプの走行テストを実施している。燃料電池システムや水素タンク、バッテリー、車両コントロールユニットといった主要コンポーネントの試験は個別に実施済みで、試運転やベンチテストが幾度も繰り返されてきた。現在は運転やオペレーション機能全般を司るソフトウェアのチューニング作業を行っている最中だ。
公道でのプロトタイプテストでは、数千kmの走行を通じて実際の交通状況下での安全性や効率、利便性、信頼性などを検証。同時に、FCVであってもBMWらしい「駆け抜ける歓び」を実現できているかどうかに重点を置き、走りの質感を煮詰めているという。
最大6kgの水素を貯蔵
「iハイドロジェン NEXT」は、700barのCFRP製水素タンクを2つ搭載しており、最大6kgの水素を貯蔵することができる。パフォーマンス面は「お馴染みのドライビングダイナミクスを保証する」ものであるとし、BMWの最もパワフルな6気筒ガソリンエンジンの出力に匹敵する275kW(374hp)を発生。X5ベースのボディを力強く加速する。
BMWの開発担当役員、フランク・ウェーバーは次のように説明している。
「水素燃料電池技術は、持続可能性のあるドライブトレインの中でひとつの魅力的な選択肢になり得ます。燃料電池ドライブトレインを搭載したほぼ標準仕様の車両で行う公道テストは、我々の研究開発活動における重要なマイルストーンといえるのです」
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みんなのコメント
「人為的地球温暖化仮説」が継続し、クルマの選択肢がBEVかFCVが主流なったとすれば、家の近辺に1か所、および高速PAに充電ステーションが存在すれば間違いなくFCVを購入する。