世界的に再び落札額が上昇傾向のフェラーリ
オークションにおいても常に高い人気と落札額を誇るフェラーリだが、2014年のバブル後には一時期下落して購入を希望する者を喜ばせた。しかし現在、世界的に再び上昇傾向となっている。
【画像】2023年第1四半期オークション高額落札フェラーリトップ5 全36枚
メジャー・オークションには新旧さまざまなフェラーリが数多く出品され、とりわけ人気の希少モデルは、開催されるたびに最高落札額を更新することが多くなってきた。
そこで2023年1月から3月(Q1/第1四半期)に行われたオークションで、高額で落札されたファン垂涎のフェラーリトップ5をご紹介しよう。
【第5位】1985年 フェラーリ 288GTO
グループBカテゴリーのGTレース用に開発されたのが288GTOだ。公認を得るために200台が生産される予定だったが、世界中からオーダーが殺到して最終的には272台が作られることになる。
しかし、グループBでのGTレースは他に参戦するメーカーが現れなかったため開催されず、288GTOは闘う場を失うことに。皮肉にもコレクターズカーとして人気を博すこととなった。
21世初頭の頃は30万ドル(約3300万円)ほどで取引されていたが、コレクターズカー・バブルが始まった2015年には275万ドル(約3億2450万円)まで上昇し話題となった。
その後一時期下落するものの再び上昇傾向となり、2022年になると新記録となる440万5000ドル(約6億349万円)で落札され世界の愛好家を驚かせた。
3月のRMサザビーズ・アメリアアイランド・オークションに出品された288GTOは、新車でアメリカにデリバリーされた個体で、走行は僅か7989kmという極みの一台だ。
バリエーション設定はない288GTOだが、新車時にレッド/ブラックのコンビシートとエアコンディショナー、パワーウインドウの装着は選択でき、出品車はすべてが備わった人気の高い仕様だった。
事前に発表された予想落札額は400-450万ドルと強気だったが、最終的に予想額に一歩及ばぬ396万5000ドル(約5億3924万円)で落札されている。とはいえ、その希少さと人気は今も健在だ。
【第4位】2003年 フェラーリ・エンツォ
フェラーリ社創立55周年を記念する限定モデルとして2022年に送り出されたのがフェラーリ・エンツォである。
前モデルまでのFに年号を組み合わせる命名法を捨て、創業者エンツォ・フェラーリの名を冠して発表され、愛好家の間で話題となった。
F50では性能を追求するあまり快適性が考慮されていなかったが、エンツォでは2ペダルのF1マティックやパワーステアリングが採用され、誰もが乗れる仕立てとされた。
ミッドに搭載される自然吸気V12エンジンは5998ccの排気量から660psを発揮し、最高速度は350km/h以上に達する。デザインは、当時ピニンファリーナに在籍していた奥山清行氏が担当した。
デビュー時は限定399台とされていたが、2005年にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がチャリティ・オークション用に注文した1台を加え合計400台が作られている。
トップ5の4位となったのは、2月に開かれたRMサザビーズ・パリ・オークションに出品されたブラックの外装色が存在感を放つフェラーリ・エンツォだ。
希少色ということもあり、これまでの最高落札額となる405万5000ユーロ/約5億7581万円で決着がついた。最近は乗りやすいエンツォやラフェラーリが上昇傾向にある。
【第3位】1995年 フェラーリ F50
フェラーリのプレミアムモデルの中で2年ほど前から注目を集めるようになってきたのが、ストイックにメカニズムを追求して開発された349台限定のF50だ。
基本コンセプトは公道を走るF1と謳われ、当時フェラーリが持つF1マシンのテクノロジーを惜しみなく投入して開発されたロードカーである。
カーボンモノコックを始め、ノジュラー鋳鉄シリンダーブロックをシャシー構造材とし、プッシュロッド式サスペンションを備えるなど、当時のF1マシンと同様の構成が特徴だった。
デビュー時は緩いスタイリングと、速いがマイルドなパワーフィール、キャビンの騒音から人気はいまひとつで、21世紀初頭は50万ドル(約5900万円)ほどで取引されていた。
世界的な電動化の波が広がるにつれ、伝統の12気筒を突き詰めた究極のメカニズムを備えたF50が、フェラーリ愛好家から改めて注目されることになったのである。
RMサザビーズ・アメリアイランド・オークションに出品されたF50は、ロッソコルサのヨーロッパ仕様。注目したいのは新車から2022年まで同じオーナーが所有し、走行距離はわずか1342kmにとどまる。
オークションを終えてみれば、走行1000kmで過去最高額の539万5000ドルには及ばなかったが、506万5000ドル(約6億8884万円)と高額で落札され、その人気の高さを示した。
【第2位】1951年 フェラーリ 340アメリカ・バルケッタ・トゥーリング
ここまで近代モデルがランク入りしてきたが、2位になったのは創業間もない1951年に登場した340アメリカ・バルケッタ・トゥーリング・スーパーレッジェーラだった。
排気量1995ccの166シリーズで始まったフェラーリだが、最大のマーケットであるアメリカの顧客から、モアパワー望む声が高まっていた。
そこでフェラーリは排気量を2341ccに拡大した195シリーズ、2562ccにスケールアップした212シリーズに進化し、1951年には4101ccの340アメリカが送り出された。
トップ5の2位となった340アメリカは、アールキュリアル・レトロモビル・オークションに出品されたトゥーリング製バルケッタでスーパーレッジェーラ(軽量)ボディを架装するS/N:0120Aである。
1951年のル・マン24時間レースや、1953年のセブリング12時間に参戦したヒストリーを持つ。2022年に2度目のレストアが行われ出品時は完璧な状態にあった。
事前に発表された予想落札額は500-800万ユーロで、最終的に570万6000ユーロ(約8億1026万円)で落札されたが、こちらも値上がり傾向にある。
製造台数23台という希少なコンペティション・モデルであることに加え、レーシング・ヒストリーを備え、完璧なコンディションに保たれていたことが評価されたといえる。
【第1位】1962年 フェラーリ 250GT SWB カリフォルニア・スパイダー
2023年第一四半期の最高落札額車は、1804万5000ドル(約24億5412万円)を記録した1962年 フェラーリ250GT SWB カリフォルニア・スパイダー(S/N:3099)だった。
日常使いができて、週末はサーキットでレースを楽しめる才色兼備な1台で、現代に至るまでフェラーリ愛好家にとって究極の1台として高い人気を誇るモデルだ。
車名の250GTが示すように、レース用に開発された250GTコンペティツィオーネ TdFや250GT SWBと変わらぬメカニズムを備え、必要とあれば同等の性能にできた。
250GTカリフォルニア・スパイダーは1957年から1960年までにホイールベース2600mmのLWB版が50台製作された。
その後250GTがホイールベース2400mmのSWBに進化し、カリフォルニア・スパイダーも1960年からSWB版に変更される。SWB版は1963年までに56台が作られた。
グッディング・アメリアアイランド・オークションに出品された250GT SWB カリフォルニア・スパイダーは、37台が作られたヘッドランプにカバーが付く人気のタイプだ。
この250GT SWB カリフォルニア・スパイダーは、1962年のニューヨーク自動車ショー用に、アメリカの代理店を経営するルイジ・キネッティの注文で製作された。
アズーロ・メタリツァートと呼ばれる華やかなボディカラーは、ショーカーとなるこの車両のためだけに塗られた特別色だった。
250GT SWB カリフォルニア・スパイダーの過去最高落札額は、2015年に記録した1628万8000ユーロ(約21億9888万円)。今回の予想落札額は1800-2000万ドルだった。
愛好家のもとで完璧な状態に保たれ、キャヴァリーノ・クラシックでSWBカリフォルニア杯を獲得したヒストリーもあり、過去最高となる1804万5000ドル(約24億5412万円)の落札額は順当といえるだろう。
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てか上位は1960年代レーシングカー