新型コロナウイルスのパンデミックにより、ここ2年は観客動員が制限されていたスペインGP。2022年は観客動員の制限もなく、チケットは完売。週末を通して延べ30万人のファンがサーキットに押し寄せた。
サーキットとその周辺施設は大勢の観客を処理するのに苦労したようだ。サーキット周辺はひどい交通渋滞に見舞われ、売店やトイレは大行列、公共交通機関もパンク状態となっていたと報告された。
■大渋滞にトイレには長蛇の列……F1、スペインGP主催側に「到底受け入れられない」アクセス問題の解決を促す
この状況についてF1側にコメントを求めると、彼らはmotorsport.comに「プロモーターに、これは容認できるものではなく、来シーズンに向けて修正しなければならないことだと伝えた」と語った。
カタルニア・サーキットのCEOであるホセ・ルイス・サンタマリアは、F1のステファノ・ドメニカリCEOから、観衆管理の改善を促す手紙を受け取ったと語り、改善の余地があることを認めている。
「F1の会長兼CEOから手紙を受け取ったが、その中で彼はスペインGPの週末を祝福し、F1の歴史におけるスペインGPの重要性を強調し、グランプリで経験した情熱を称えていた」
そうサンタマリアはmotorsport.comに話した。
「この手紙の中で、F1と我々が共に取り組まなければならないことがあると指摘している。ファンにとってより良い体験ができるように改善し続けることだ」
「ドメニカリは、F1とサーキットが週末全体をより良いものにするために、交通やその他の細かい問題などについて話し合う予定だと言っていた」
サンタマリアは、慣例的に地元のファンは土曜日以降にしか来場しないことが多いため、金曜日の観客数を過小評価していたと認めている。しかし土曜日以降も、サーキットとバルセロナ市内とを繋ぐ電車はパンク状態。大勢の人々への対応に苦慮していた。
「確かに、修正しなければならないミスはあった」と、サンタマリアは説明する。
「今回は、スペインGP史上3番目の動員数を記録したグランプリとなった」
「(バルセロナ市内と繋がる電車を運営する)RENFEによると、この週末にカタルニアへ移動するために同社の列車を利用した人は約7万5000人で、グランプリ参加者全体の約26%にあたる。この数字は、パンデミック前の最後のグランプリである2019年に電車で来場した人数の2倍になる」
「土曜日にはいくつかの問題があり、駅を空にするのに長い時間がかかったため、RENFEは列車の頻度と数を増やした。日曜日には市長から、すべてがうまくいっており、交通もスムーズに流れていると言っていた」
「金曜日に予想以上の人出があったのは事実だ。2万5000人と予想していたが、5万4000人が来場し、これだけの人数をさばくには、いろいろなところに手を入れなければならない。すでに交通局、移動局とも協力し、より良いサービスを提供できるよう取り組んでいる」
「観客が不快な思いをしていたことは理解している。問題がない人もいたが、かなり混雑しているところもあった」
会場内に入ると、多くのファンが軽食を買うために長蛇の列に並び、一部の売店では品切れが発生していることに不満を漏らした。気温36度となった暑さが状況をさらに悪化させた。
サーキット側は、軽食の屋台を増やして一晩で状況を改善しようとしたが、できることには限りがあったという。
「金曜日の気温は非常に高く、場所によってはかなりの行列ができた。我々は同じ日の夜、金曜日から土曜日にかけて対策を講じ、日曜日にオープンする予定だった45の販売ポイントを開店させ、さらに飲み物だけを販売するポイントを7箇所増やした」
「特筆すべきは、開封していない1.5リットルまでのボトルを入れたクーラーの搬入が認められたことだ。スポーツ会場では通常、キャップは必ず外されている」
「それにより、水が不足した一部のポイントで供給が可能となった。一日中補充され、他の飲み物も用意されていた」
「ただ気温はコントロールできなかった。来場者数に合わせて、すべてのサイズを決めていたが、気温が不利に働いてしまった」
こうした不備も、プロモーターにとっては嬉しい悲鳴だったかもしれない。スペインGPは年々観客動員数が減少し、開催継続が危ぶまれていたからだ。
しかし最近、F1への関心が高まっていることで、2026年までの開催契約延長にこぎつけることができた。
「スポーツレベルでは、グランプリは成功を収めている。個人的には長年観客数が少なく、直近後の2戦はほとんど空席だったグランドスタンドがすべて埋まったのを見て、とても興奮した」とサンタマリアは指摘した。
「F1が再び地元の観客の関心を集めていることを示している。しかも、ここ数年のレースで最も見応えのあるレースのひとつだった」
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