現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 安心の運転を助ける「知られざる工夫」! 高速道路の「車線の幅」は車線によって異なる場所があった

ここから本文です

安心の運転を助ける「知られざる工夫」! 高速道路の「車線の幅」は車線によって異なる場所があった

掲載 更新 10
安心の運転を助ける「知られざる工夫」! 高速道路の「車線の幅」は車線によって異なる場所があった

 この記事をまとめると

■高速道路は3車線では中央車線、2車線では追越車線が少し広くなっていることがある

【わずかな速度違反も許さない体制が敷かれた!】劇的な変化が起きている知っておくべきオービスの最新事情6つ

■その理由はドライバーに圧迫感を与えないようにするため

■人間の視野と速度の関係について解説する

 ドライバーが目を動かさずに見える範囲は注視点から5度

 私たちが普段、なにげなく走っている高速道路には、ドライバーが安心して運転できるよう、たくさんの工夫や技術が詰め込まれています。高速道路の車線がすべて同じ幅員になっていないところがあるというのも、そんな工夫の一つ。じつは、3車線あるところでは中央車線、2車線のところでは追越車線が少し広くなっているところがあるのですが、皆さん気づいていましたか? その理由はなんでしょうか。

 そもそも道路の幅員や車線数は、1919年に制定された「道路構造令」によって決定されています。時代とともに幾度もの改訂が行われ、2020年にも歩行者利便増進道路に関する規定の追加などの改訂が行われたばかりです。そのなかで、道路の幅員について定められている標準値は、おおむね一般道では3.0~3.5m、高速道路では3.5m。そして車線数は、道路構造令に定められた設計基準交通量(道路の構造や交通条件などから、1日に通すことのできる交通量を定めたもの)と、計画交通量(1日に通行すると推定される交通量)との対比で決定されています。

 このことから順当に考えると、高速道路の車線は均等に3.5mの幅員になっているはずなのですが、交通量が多い片側3車線の区間では、中央の車線(第2走行車線)だけ、3.75mと25cmほど広くしている区間があり、片側2車線の区間では右車線(追越車線)のみ、やはり3.75mにしている区間があるとのこと。

 その理由には、人間の視野と速度の関係が関わってきます。クルマを運転している時に得られる情報は、じつに約90%が「視覚情報」であると言われています。運転中にドライバーが目を動かさずに見える範囲は、注視点からわずかに5度。ドライバーは注視点で物体の詳細な動きを捉えていて、その周辺で路面や背景の流れを捉えて走行状況を認識していると言います。

 視覚的に圧迫感を与えないよう配慮されている

 また、動きながらものを見たり、動いているものを見たりする場合の視力を「動体視力」と言いますが、遠方から直線的に近づいてくる物体の見え方を計測すると、速度が高まるほど動体視力が低下する傾向にあります。そして視野そのものも、速度が高くなると狭くなります。40km/hのドライバーの視野を100度とすると、130km/hの視野は30度にまで狭くなり、路肩の障害物やほかの危険性を認識する能力がかなり減ってしまうのです。

 視野が狭くなると道路の幅も狭く感じるものですが、3車線の高速道路では、左車線には路肩があり、右車線には中央分離帯があることで、視覚的な余裕があります。でも中央車線にはそういった余裕がないため、視覚的に圧迫感を与えてしまうことがないように配慮して、中央車線のみ幅員を広げているという理由があったのでした。

 ちなみに、中央分離帯についても道路の種別によって細かく幅員の基準値が定められており、制限速度80km/h以上の区間では4.5mが基準値。その理由は、万が一クルマが逸走して中央帯に入ってしまった場合でも、幅員が広ければコントロールを回復する余地があり、事故の重大化が防止できる可能性が高まるから。100m以上のトンネルや50m以上の橋、高架などによりやむを得ない場合は幅員を縮小できますが、こうしたところまで配慮して設計されているんですね。

 何にも考えずに走っていると、なぜか中央車線を走っていることが多い、という人もいますが、もしかすると無意識のうちに、幅員の広さが視覚的にも精神的にも余裕をもたらしてくれているのかもしれません。こうした工夫に感謝しつつ、安全運転を心がけて走りたいものですね。

関連タグ

こんな記事も読まれています

久々の優勝もマクラーレンはまだまだ慎重。ステラ代表「レッドブルと互角に戦うためには、もう1回アップデートが必要」
久々の優勝もマクラーレンはまだまだ慎重。ステラ代表「レッドブルと互角に戦うためには、もう1回アップデートが必要」
motorsport.com 日本版
[音のプロが推す“超納得”スタートプラン]まずはスピーカーを換え、可能なら最新ナビorアンプDSPを追加!
[音のプロが推す“超納得”スタートプラン]まずはスピーカーを換え、可能なら最新ナビorアンプDSPを追加!
レスポンス
目指せ100色! 電動モビリティブランドWOが「wonkey」のニューカラーとハイパワーモデルを発売
目指せ100色! 電動モビリティブランドWOが「wonkey」のニューカラーとハイパワーモデルを発売
バイクのニュース
初見殺しの難所「海老名JCT」どう攻略!? 東名・圏央道・小田原厚木道路の「謎分岐」に翻弄される人々 鬼門の「厚木IC」とは
初見殺しの難所「海老名JCT」どう攻略!? 東名・圏央道・小田原厚木道路の「謎分岐」に翻弄される人々 鬼門の「厚木IC」とは
くるまのニュース
マクラーレン アルトゥーラ/アルトゥーラ スパイダー【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
マクラーレン アルトゥーラ/アルトゥーラ スパイダー【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
【SCOOP!!】ヤマハWRが200ccの水冷DOHCで復活?! 本格オフのWR200Rとモタード版WR200Xを大胆予測!!
【SCOOP!!】ヤマハWRが200ccの水冷DOHCで復活?! 本格オフのWR200Rとモタード版WR200Xを大胆予測!!
WEBヤングマシン
トヨタ新型「エスティマ」!? 斬新「タマゴ型」×スポーティデザインが超カッコイイ! 「超静音モデル」化予想のCGが公開
トヨタ新型「エスティマ」!? 斬新「タマゴ型」×スポーティデザインが超カッコイイ! 「超静音モデル」化予想のCGが公開
くるまのニュース
カワサキ「Ninja 650」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
カワサキ「Ninja 650」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
メインスペースは大きなボックスシート! フルフラットへの切り替えも簡単なトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
メインスペースは大きなボックスシート! フルフラットへの切り替えも簡単なトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
国産車にない[大胆デザイン]で登場!! ヒョンデの実力がスゴイぞ! これからのクルマに必要な事って?
国産車にない[大胆デザイン]で登場!! ヒョンデの実力がスゴイぞ! これからのクルマに必要な事って?
ベストカーWeb
GRヤリスがついに240万円に!? [本当の]GRヤリス購入に注意したいコト
GRヤリスがついに240万円に!? [本当の]GRヤリス購入に注意したいコト
ベストカーWeb
プライベーターのポルシェが首位躍進。トヨタ2台はペナルティで相次ぎ後退【WEC第3戦スパ/前半レポート】
プライベーターのポルシェが首位躍進。トヨタ2台はペナルティで相次ぎ後退【WEC第3戦スパ/前半レポート】
AUTOSPORT web
【途中経過】2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン 決勝3時間後
【途中経過】2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン 決勝3時間後
AUTOSPORT web
[新常識]走行距離の短すぎはキケン!? マジでオススメの意外すぎる[良品車]って?
[新常識]走行距離の短すぎはキケン!? マジでオススメの意外すぎる[良品車]って?
ベストカーWeb
マルティンが独走でポール・トゥ・ウイン。バニャイアはスプリントで2連続リタイア/第5戦フランスGP
マルティンが独走でポール・トゥ・ウイン。バニャイアはスプリントで2連続リタイア/第5戦フランスGP
AUTOSPORT web
後席ドアを開けたら後ろから来た自転車とドカン! 「後席にもミラーがあれば」と思ったらAmazonで売ってた!
後席ドアを開けたら後ろから来た自転車とドカン! 「後席にもミラーがあれば」と思ったらAmazonで売ってた!
ベストカーWeb
ボルボEX30 詳細データテスト 高い動力とほどほどの操縦性 物足りない乗り心地 厄介な監視機能
ボルボEX30 詳細データテスト 高い動力とほどほどの操縦性 物足りない乗り心地 厄介な監視機能
AUTOCAR JAPAN
中古車を狙っている人必見!! 約10時間&450kmの東京-静岡往復でわかった初代アウトランダーPHEVの実力
中古車を狙っている人必見!! 約10時間&450kmの東京-静岡往復でわかった初代アウトランダーPHEVの実力
ベストカーWeb

みんなのコメント

10件
  • 前方ばかり注視しないで、後ろや左右(のミラー)も見ながら走って頂きたいです。
  • いくら道路に工夫を凝らしても乗り手の意識が変わらなければ事故は減らない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村