昭和のクルマ好きなら1度は試したことがあるカスタムを紹介
昭和という時代は何事にも全力だった気がする。もちろんクルマでも、だ。クルマを買うためなら、生活を犠牲にして、もやしを食べながらの耐乏生活も当たり前。買ってもガソリン代を捻出すべく、また、もやしを食べ……。そのうえで、カスタムについてはとても熱心だった。
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正確に言えば、カスタムなんていうオシャレな言葉はなく、当時は「改造」と呼んでいたが、いずれにしても、今にないモノやスタイルが流行していた。そんな昭和ならではのカスタムを振り返ってみよう。
オーバーフェンダー
禁止となって廃れてしまったが、リベット止めのオーバーフェンダーはとくにヤンチャ系に人気だった。由来はレースで、日産スカイラインGT-R(ハコスカ)やフェアレディ240Zなどのレース車両が、ワークスフェンダーと呼ばれる極太のものを付けていたのをクルマ好きは見逃さなかった。
純正でもハコスカのGT-RやチェリーX1-R、三菱のギャランGTOやギャランクーペFTOなどが装着しており、スポーツカーならではの別格感を出していた。ちなみに後付けのワークスフェンダーは違反とされ、切符が切られるリスクがあった。
ダミーのオイルクーラー
こちらも同じくレース車両由来で、フロントグリルの前にオイルクーラーを付けていたのを真似ていた。とくに街道レーサー系でお馴染みだったが、ダミーが当たり前で、配管は水道ホースをグリルに差しただけだった。
チンスポ
今で言えばエアロパーツと呼ばれるのだろう。チン、つまりアゴに付けるスポイラーで、バンパーの下に装着されていた。あと付け感バリバリで飛び出ているだけだったが、こちらもレース車両が付けていた、憧れの一品。ちなみにありとなしとでは、一応、走行中の安定感が異なる。
レーシングジャケット
言葉の響きからすると洋服のように思えるが、ライトに付けるカバーのこと。本来はレース車両がライトを外したのを隠すためのカバー。ただし、それではライトが使えなくなってしまうため、市販品は透明だった。透明でないものを付ける猛者もいたが、当然取り締まりの対象となった。
ドアミラー
今では当たり前すぎて、カスタムのカの字もないが、フェンダーミラーしか許されない時代は非常に憧れたものだ。フェンダーミラーを外して、ドアミラーにすると違反になるため、両方付けているクルマもいたほど。
ワイドホイール
現在であれば、ホイールのサイズは豊富に用意されているので、ワイドなものが欲しければそれに合ったサイズを買えばいい。しかし、昭和では今のように気軽にアルミホイールが買えるわけでもなく、そもそも社外ホイールとなるとデザインは限られ、種類もサイズもあまりなかった。ということで、行われていたのがスチールホイール、つまり鉄チンを使ったワイド化。真ん中で切って、輪っかを溶接して継ぎ足すことでワイドにしていた。軽自動車に多かった、ネジ止めの合わせホイールは簡単にふたつに割れたので、ワイド化は簡単だった。
シャコタン
今でも使われなくはないし、意味もわかる。問題はその方法で、車高調やショートスプリングなどはなし。それでもヤンチャな層を中心に車高を落としたいという気持ちは強く、そこで行われたのがスプリングのカット。鉄工所に行けば酸素バーナーで切ってくれた。何巻カットするかがこだわりで、やりすぎてノーサス状態のクルマもあった。跳ねるどころの騒ぎではなくて、突き上げる感じだったが、男気で乗りこなすのもまた一興。ちなみに車検は当然通るわけがなく、違法改造だった。
ハイフラ
ハイフラとはハイフラッシャーの略で、ウインカーの点滅を早くするカスタム。専用のハイフラリレーに交換すれば簡単にできたので、けっこうやっているクルマはいた。今からすれば電球が切れているんじゃないか? という感じで、なにに憧れてハイフラにしたのか謎ではある。
水中花
今でもトラックが付けているのを見かけるのが水中花のシフトノブ。透明な樹脂の中に花が封じ込められていて、ちょっとした工芸品的な雰囲気があったものだ。人気が出たため、京人形&博多人形や毛針、五重塔など、中身のバリエーションも増えていき、さらに東南アジアでも人気が出た。
ソレタコデュアル
最後は本格的というか、メカでの王道カスタムを紹介しよう。ソレタコデュアルと言われても呪文のようにしか聞こえないだろうが、ソレはキャブレターのソレックス。タコはタコ足のことで、エキゾーストマニホールドのこと。デュアルは出口がふたつあるデュアルマフラーのことで、レーシーなカスタムの定番というか、憧れのカスタムだった。
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