国民負担で肩代わり 財務省の借金「自賠責の運用益」
国土交通省は「自動車損害賠償補償法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」を、2022年2月下旬をめどに国会へ提出します。これまで自賠責保険の保険料運用益を財源としていた交通事故被害者救済事業の継続資金を、国民がさらに負担するという改正です。
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背景にあるのが、財務省の国交省に対する“借金”の問題です。1994(平成6)年から2年にわたり、国交省は財務省の求めに応じて、財政事情を助けるため自賠責保険料の運用益1兆1200億円を財務省に貸し出し、延滞が今も続いています。国交省は被害者救済事業が継続できなくなる可能性を考慮し、国民に新たな負担を求めます。
交通事故被害者の救済事業の財源は約7500億円。その大部分にあたる約6000億円は、財務省に貸し出され、一般財源に繰り入れられています。
救済事業がスタートした2002(平成14)年当時は財源を基金として運用し事業費を捻出する計画でしたが、超低金利政策が続き、思うような運用益が得られないとして2021年、国交省はこの仕組みは「破綻している」と判断しました。
そこで「安定的・継続的な財源確保」が必要となり、「賦課金」という新たな国民負担に踏み切ったのです。しかし、制度を議論する検討会では、根強い反対論もありました。
「一般会計へ繰り入れられた約6000億円は、税金ではなく自動車ユーザーから集めたお金であることから、優先順位はあって然るべきである」(2021年11月26日 今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会)
こうした議論を受ける形で財務省は、2022年度に54億円の返済を約束。この水準で2027年度まで返済を継続することを内容とした国交省と覚書を交わしました。この額だと完済までに100年以上必要ですが、2028年度以降の返済計画については、覚書には記載されませんでした。
え、国交省グル? 財務相の説明は
現在の被害者救済事業費は全体で1年あたり約175億円。賦課金導入後はこれが約200億円に膨らむと国交省は試算しています。
最初の借り入れから28年が経ちましたが、財務省はこのうち15年間は1円も返済しませんでした。2018年から返済は再開されたものの、財源の取り崩しは止まりません。それでも賦課金にまったく頼らず今後37年間、事業を継続できる財源が計算上は確保されています。
財務省が早期に全額返済、または事業費に相当する返済を行えば、賦課金は不要ではないか。財務省の認識を鈴木俊一大臣に聞きました。
「財務省が繰り戻しを一括または多額に行っていれば、賦課金導入の議論がなされなかったとは考えていない」(1月18日閣議後会見)
そもそも賦課金制度は、財源の運用ができなくなったことが前提にある、というのが国交省と財務省の見解です。
「賦課金の導入は、一般会計からの繰り戻しを前提としつつ、それでもさらに被害者救済対策事業を恒久的に持続可能な仕組みとするため必要なものとして、ユーザー団体を含む関係者の議論がされてきたと承知している」(同・鈴木財務相)
しかし、2002年の事業スタート当初に2%程度の運用益を見込んでいたことに、そもそも無理があります。日本銀行はその前年2月に公定歩合を0.35%に引き下げて、日本はその後、ずっと超低金利政策を続けています。運用は財務省が担当する財政投融資で行われています。
新たな負担を考える前に、財務省は状況を説明し、返済を前倒しする必要があります。国交省は破綻前に自動車ユーザーの保険料が財源となった資金を回収する責任があったはずです。しかし、財務省は行動しないばかりか、民間では当たり前の全額の返済計画という説明すら果たしていません。
自動車ユーザー団体は苦渋の評価
ある自動車ユーザー団体の関係者はこう話します。
「今回の大臣間の覚書で初めて、今後5年間の返済額の水準が示された。これまでは毎年の交渉がすべてで、返済額どころか、来年度の返済が実行されるかどうかも見通せなかった。そういう意味では、5年間だけでも返済するという覚書が交わされたことは進歩だ」
完済までに100年以上かかる返済計画は妥当なのでしょうか。鈴木財務相は言います。
「総合的な判断だと思う。今の厳しい財政事情を踏まえて、関係者、国交省と協議をした中で決められた覚書だと承知している」
5年後、再び両大臣の折衝で、未来の返済計画が決まることでしょう。一方、不足分を補う賦課金制度は着実に成立し、新たな負担だけが終わりなく続こうとしています。賦課金制度の内容は、今週末(2022年1月21日)にも検討会の中間とりまとめという形で公表されます。
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