Lexus NX
レクサス NX
ロールス・ロイスに「付属」する超高級時計。皇帝も愛したボヴェの名作タイムピースをペアで標準搭載
都内で一番よく見かけるレクサス
初代レクサスNXが登場したのは2014年のこと。ラグジュアリークロスオーバーSUVという新しい市場を開拓したRXよりもひとまわりコンパクトなサイズは特に大都市圏での使い勝手に優れると好評を博し、2021年4月末時点で世界の90以上の国と地域で累計100万台を販売するに至ったそうだ。実際、都内でもっともよく見かけるレクサスはおそらくNXだと思う。そんなNXが7年の歳月を経て、ついにというかようやくというかフルモデルチェンジを受けた。
RXとともにいまやレクサスの屋台骨のような存在となったモデルだけに新型NXにはトピックスが満載なのだけれど、まずはボディサイズを従来型と比較してみる。全長4660mm、全幅1865mm、全高1640mm、ホイールベース2690mmで、それぞれ+20mm、+20mm、+5mm、+30mm長く広く高くなっている。ここで注目すべきはホイールベース。2690mmはトヨタのRAV4やハリアーと同値であり、GA-Kプラットフォームを共有していることが分かる。
狙い通りの造形が実現できる理由
ただ、「プラットフォーム共有=中身は一緒」というのはもはや過去の話であり、現代のプラットフォームは汎用性が高く、それぞれのモデルに適した設計が可能となっている。一方でホイールベースやエンジン/フロントバルクヘッドの位置などいじれない部分があるのも事実。こうした諸元は当然のことながらデザインにも影響してくるのだけれど、新型NXのシルエットは紛れもないNXのそれであり、RAV4やハリアーの面影は微塵も感じられない。
デザイナーによると、リヤのオーバーハング部を後方に向かって絞り込もうとしたら12Vバッテリーがあって、それをわざわざ移動させて狙い通りの造形を実現したそうだ。自動車デザインとはデザイナーだけによるものではなく、場合によってはシャシー設計部やボディ設計部や生産技術部などの協力が不可欠であり、レクサスはそういった連携がうまくいっているようである。
頑強な骨格を作る万全の設計
前述のように新型NXはGA-Kプラットフォームを使っているが、サスペンションメンバー(=サブフレーム)などに補強ブレースや補強パネルを追加したり部分的に板厚を上げるなどして、レクサスにふさわしい走りやNV(騒音及び振動)性能が実現できるよう独自の改良を施している。
さらにエンジンフードにはレクサス初となるツインロック構造を採用し空気の乱れによる振動を抑制、ハッチゲートの開口部は環状構造や高剛性発泡剤の採用によりマッチ箱変形を抑えるなど、アッパーボディも構造から見直している。骨格の締結部には、レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤の他、あらたに開発したレーザーピーニング溶接を採り入れている。
レクサス初のプラグインハイブリッド
新型NXはレクサス初のPHEV仕様導入モデルとなった。レクサスは2021年3月末に「LEXUS Electrified」に基づく将来のポートフォリオを発表しており、NXのPHEVはそのオープニングドアとも言えるモデルである。
総電力量18.1kWhのリチウムイオンバッテリーをフロア下に置き、EVモードで約80kmの走行を可能としているという。ハイブリッド自体は2.5リッターの直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたTHS IIで、さらにリヤにもモーターを置いたE-Four(=AWD)の駆動形式となっている。前後の駆動力配分は100:0から20:80まで状況に応じて可変する。
自然吸気からPHEVまで6つの選択肢を用意
プラグインハイブリッドは欧州勢がずいぶん前から続々と導入しており、レクサスもここにきてようやく追い付いてきたという感じは否めないものの、個人的に驚いたのは用意されたパワートレインの数の多さである。
PHEVのAWDに加えて、ハイブリッドのFFとAWD、2.5リッターNAのFFとAWD、そして2.4リッターターボのAWDという計6種類で、さらにPHEV/HVのAWD(=E-Four)と2.4リッターターボのAWD(電子制御式フルタイム四駆)と2.5リッターのAWD(電子制御式スタンバイ四駆)はそれぞれ4輪駆動システムが異なる。新型NXは現時点で、レクサスでもっとも豊富なパワートレインが選べるモデルとなった。
2.4リッターターボは新開発
PHEVとハイブリッドと2.5リッターはいずれも既存のユニットだが、2.4リッターターボは新開発である。従来型のNX300は2.0リッターターボエンジン(8AR-FTS)を搭載していたが、今回のユニットの型式はT24A-FTSなのでまったくの別物。レクサス初のセンター噴射直噴システムやターボと触媒の近接配置などにより、世界各地の排気・燃費規制へ対応する。
トランスミッションは8速ATで「Direct Shift-8AT」と呼ばれるが、同じ名称の2.5リッターのトランスミッションとは異なり、2.4リッター用は高トルク対応型だという。フルタイム四駆の前後駆動力配分は75:25から50:50まで状況に応じて常時可変する。
2.5リッター自然吸気は、いわばPHEVやハイブリッドのユニットからモーターやプラネタリーギヤを取り去ったエンジンのみの仕様。スタンバイ四駆なので通常は前輪駆動がデフォルトだが、場合によって50:50の前後駆動力配分となる。
電動化モデルはペダルの操作質感を向上
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リヤがトレーリングアーム式ダブルウィッシュボーンで、形式こそ従来型とほぼ同じだがもちろん新開発である。ダンパーも新設計で、F SPORTには最新の電子制御式ダンパー(AVS)が標準で装備されている。現行ISで初めてお目みえしたハブボルトが新型NXにも採用されているのは嬉しい。
なお、このモデルからホイール&タイヤは20インチが装着可能となり(従来型は18インチまで)、20インチタイヤにはEMT(Extended Mobility Tire)が採用されている。EMTはパンクの際の走行可能距離がランフラットほどではないものの、サイドウォールの剛性はランフラットよりも若干低いので、乗り心地への影響が少ないと言われている。ステアリングのバリアブルラックギヤ(PHEVを除く)やPHEVとハイブリッドに装備されるペダル戻し減衰機構(=ペダルの抜き側の操作の動的質感を向上)はいずれもレクサスとして初めて採用された。
自慢の静粛性もさらにブラッシュアップ
レクサスの性能の要でもある静粛性に関しても、新型NXではさまざまな工夫が見られる。吸音/遮音材の最適化配置はもちろん、ボディの気密性を飛躍的に向上し、音圧レベルで対従来型比約15%のノイズ低減に成功したそうだ。
さらにオープニングウェザーストリップ(レクサス初)とフロントドアガラスラン形状をあらため、ドアのシール性も向上。フロントドアガラスには高遮音タイプを採用している。また2.4リッターターボ仕様車は「Active Noise Control」及び「Engine Sound Enhancement」と呼ぶサウンドシステムにより4気筒ターボ特有のノイズを除去したという。
危険を察知して「ドアを開けない」機能も
インテリアで目を惹くのは大型のセンターディスプレイ(14インチ)である。センターディスプレイの両側にあるダイヤル式スイッチはエアコンの温度調整用だが、それ以外のエアコンに関するコントロールスイッチはタッチ式パネルの中にすべて収まった。車載の通信端末を使ったOTAソフトウェアアップデート機能も備え、マルチメディアのメインシステムやオーディオのソフトウェア更新が可能となり、常に最新の状態を保てるようになったそうだ。
安全技術は過日発表されたLexus TeammateではなくLexus Safety System+が採用されたものの、スマートフォンを使ったリモート駐車機能やeラッチ(ドアのラッチ/アンラッチを電子制御で行う)とブラインドスポットモニターを連動させたドアオープン自動キャンセル(歩行者や自転車などがドア付近にいる場合にドアが開かない)なども備えている。
チーフエンジニアの加藤武明氏は「新型NXの開発はレクサスの新たな挑戦の連続でした」と語る。デジタル開発の積極導入やレーシングドライバーによる所見、駆動力コントロールによる操安性の向上など、聞けば確かにこれまでとは異なる開発アプローチであることが分かる。今回はまだスペックの詳細発表はなく、発売は2021年秋頃を予定しているそうだ。資料と写真からだけで軽々に判断できないけれど、従来型からのジャンプアップ率は性能面のみならずあらゆる部分でかなり大きそうである。
REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)
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みんなのコメント
価格も当然上がるだろうが現行RXとどう整合性を取るか注目。
オーナーとしてはFMCが近い次期RXにも大いに期待したい。