空冷エンジンのみをラインナップするロイヤルエンフィールドが、EICMA2022で新たに発表したのがクルーザーのスーパーメテオ650だ。クラシカルな雰囲気の中に新しさがあるのはこれまでのモデル同様。インドで開催された試乗会に参加してきた。
ライダーが選んだ”バイクで行きたい都道府県”ランキング2023 第1位は?
【テスター:小川勤】2022年、ヒマラヤ(バイク)でヒマラヤ(秘境)を走り、以来ロイヤルエンフィールドづいているフリーライター。WEBヤングマシン傘下のWEBミリオーレのディレクターでもある。
ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650 概要
―― 【ROYAL ENFIELD Super METEOR 650/Super METEOR 650 Tourer】■全長2260 全幅890(ミラー除く) 全高1155 軸距1500 シート高740(各mm) 車重241kg(装備) ■空冷4スト並列2気筒SOHC4バルブ 648cc 47ps/7250rpm 5.33kg-m/5650rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量15.7L ■タイヤサイズF=100/90-19 R=150/80B16 ●価格:未定 ●導入時期:未定
―― 【ライディングポジション】ポジションは小柄なライダーには大柄で、足着きは両つま先がベッタリ着く感じ。車両重量241kgはそれなりに重く、取り回しはビッグバイク並のコツが必要になる。[身長165cm/体重65kg]
癒やされる鼓動感と高いスポーツ性を併せ持つ
インドのラジャスタン州は砂漠の街だ。砂漠を切り開いた道を走っていると、空冷648ccエンジンが生み出す豊かな鼓動が全身に染み込む。この道がずっと続けばいいのに…ただ真っ直ぐ走ることが楽しくて、僕は今回の旅で何度もそう思った。
EICMA2022で登場したスーパーメテオ650は、ロイヤルエンフィールドが久しぶりに発表したミドルクラスのクルーザー。日本でも人気のメテオ350の兄貴分である。ライバルであるホンダのレブル500よりも大柄で重厚感があり、クラシカルな香りも強い。
エンジンは空冷パラレルツインで、シリンダーのフィンや丸みを帯びたクランクケースはクラシカルな雰囲気だが、中身は最新。270度クランクを採用した不等間隔爆発で、648ccとは思えない力強いトルクと、全域で気持ちよさを約束してくれる。さらに従来のコンチネンタルGT650などよりもローギヤード化し、エアボックスも拡大してフィーリングをクルーザーに合わせてきた。
このエンジンを搭載するのはイギリスの名門であり、今はロイヤルエンフィールドの傘下であるハリスパフォーマンス製のフレーム。高い剛性と、しなやかな乗り味の両立はまさに名門の味付けというにふさわしく、これは近年のロイヤルエンフィールドらしさの象徴でもある。
ポジションは少し大柄だが、走り出すと、足を前に投げ出すスタイルがリラックスさせてくれる。前後サスペンションはショーワ製で、インドの路面はギャップも多く砂も浮いているが、高い路面追従性を披露。国産車と比較すると設定荷重は高めだが、段差でも底付きはしない。
ブレーキは主にリヤでコントロールするクルーザーならではのスタイル。ボッシュ製のABSの作動性も良く、日本ではあまり使うことはないだろうけれど、犬の飛び出し時や砂地でのブレーキングも安心だった。
今回は2日間で370kmほど走ったのだが、走るほどにスーパーメテオ650の魅力に気付かされる。まずはそのハンドリングだ。クルーザーというと、スタイル優先で曲がらないバイクも多いが、スーパーメテオ650はワインディングで高いスポーツ性を見せる。前輪が遅れて追従してくる感じやカーブで膨らんでしまう不安がなく、とてもスポーティ。いわゆる一般的なネイキッドなどと同じ感覚で乗れるのだ。
また高速道路での振る舞いも見事だった。60km/hを超えていればトップギヤで走れ、どこまでも直進安定性が高い。80~120km/hでの巡航を難なくこなし、120km/hから全開にしてみたが、648ccとは思えない逞しい加速を披露。さらに回転が上がっていっても不快な振動が出ないのが良い。
初めて乗るのになぜか懐かしく、安心感があるスーパーメテオ650は、最新技術でトラディショナルなバイクらしさを追求するロイヤルエンフィールドらしい仕上がりだった。
「スーパーメテオ650は、ただ直線を楽しむクルーザーではありません。峠ではハンドリングを楽しめ、ロードスター的にも楽しめるダイナミッククルーザーなんです」試乗を終えると、以前に聞いた開発陣の言葉が妙にしっくりときた。
―― 砂漠の街の路面は決して良くないのだが、スーパーメテオ650はどこまでも快適だった。そして交通社会は動物たちとの共存でもある。高速道路でもラクダや牛、犬が散策する。
―― 【試乗会には開発陣だけでなく首脳陣も参加!】イギリスとインドのテックセンターから開発陣も大勢参加。アイシャー・モーターズ(ロイヤルエンフィールドの親会社)とロイヤルエンフィールドの首脳陣も、我々と一緒に300kmのツーリングに参加するバイク好きだ。[写真左:ロイヤルエンフィールド CEO B.ゴビンダラジャンさん/アイシャー・モーターズ マネージングディレクター シッダールタ・ラルさん]
◆ツアラーはシーシーバーとスクリーンを装備
高速走行時の快適性を向上させたスーパーメテオ650ツアラーもラインナップ。速度が上がっても風圧を感じさせないため、自然とリラックスすることが可能。ハンドルを押さえなくて良いため、疲労感が全然違うのだ。
―― 巨大なスクリーンは80km/hくらいからかなり効果がある。シートのシーシーバーはかなり頼れる形状。長距離移動とタンデムの快適性を重視するなら、迷わずスーパーメテオ650ツアラーを選びたい。
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