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ロータス・エヴォーラよ永遠に MR 2+2のグランドツアラー 500kmの旅 前編

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ロータス・エヴォーラよ永遠に MR 2+2のグランドツアラー 500kmの旅 前編

エヴォーラでエラン渓谷を目指す

本来なら、エヴォーラ渓谷を目指したいところだった。熱心なロータス・ファンとして。だが、英国にそんな地名は存在しない。かわりに選んだのは、エラン渓谷までのロードトリップ。生産終了を迎えるエヴォーラを惜しむ場所として、悪くないだろう。

<span>【画像】生産終了を迎えるロータス・エボーラ GT410 エリーゼとエキシージも 全92枚</span>

実際のところ、英国西部に位置するウェールズ地方の渓谷は、ロータス・エランとも直接的な結びつきはない。厳密には発音のアクセントの位置も異なる。

しかし、その名前は一致するELANというスペルを持ち、理想的な道が縦横に延びている。筆者は過去にもロータスで聖地巡礼というべき旅をしたことがある。エラン渓谷の中心にはラアアデルという街があり、国道A44号線とA70号線が交差している。

バーミンガムやロンドンなどの日常的な喧騒とは、かけ離れた土地だ。冒険的な気持ちを持った旅行者にとって、心と体を休ませるオアシスのような場所といえる。いささか感傷的な始まりだが、エヴォーラとお別れする思いの表れだと思って欲しい。

今日の旅の最初のミッションは、ラアアデルから少し離れたB4518号線で、フォトグラファーのマックス・エドレストンと落ち合うこと。ダムの建設で誕生した、巨大なカバンコッホ貯水池のそばで。

筆者の自宅は、ロンドン中心部から120kmほど西に離れた、コッツウォルズにある。そこからカバンコッホ貯水池までは、さらに西へ100kmほどの旅。グーグルマップによれば所要時間は2時間半だというから、朝の6時に出発した。

ミドシップで2+2の珍しいレイアウト

外は暗い。キーフォブのボタンを手探りで押し、盗難防止アラームを鳴らさないように注意する。筆者はこれまで個人的にロータスを何台か所有してきたが、アラームが不意に鳴ることが何度もあったのだ。

スタートボタンを押す。静かに3.5L V6エンジンが目を覚ました。高い位置から伸びるアルミ製のシフトレバーをスライドさせ、1速に入れる。しずしずとエヴォーラは早朝の公道へ出た。

1年ほど前にロータスのイベントで短時間の試乗をしたが、筆者がエヴォーラと長時間過ごすのは、恐らく10年ぶり。だが、暗がりの道とは違い、気を使うような馴染みのなさは感じられない。

乗った直後から快適で素直に走る。狭い車線でも扱いやすい。しかし、ヘッドライトとフロントガラスのデフロスターは、少々時代遅れ感がある。結果として慎重にならざるを得なかった。

大きく湾曲したフロントガラス越しに、遠くを見つめる。ランチア・ストラトスで感じた厄介さを思い出す。

エヴォーラがロンドン・モーターショーで発表された時、筆者が強く関心を抱いたのは、ミドシップで2+2という珍しいレイアウトだった。過去にはフェラーリ・ディーノ308 GT4や、モンディアルといった例はあったけれど。

ロータスといえば2シーターのスポーツカー、という概念を破っていた。新しい名前と、高めの価格を正当化するものだった。動力性能や操縦性、乗り心地など、ブランドの特長はすべて受け継いでいた。後に、リアシートを省いた2シーターも選択可能となったが。

最終的に436psを獲得したGT410

当初搭載していたエンジンは、トヨタ由来の3.5L 4カム自然吸気V型6気筒。ロータスのチューニングで最高出力280psを発揮し、アルミ押出成形材を用いた素晴らしいシャシーに搭載された。

背の高いV6エンジンは軽くなかったが、シャシー中央にマウント。優れた走行性能は、全長4390mmの小さなボディと、比較的長い2575mmのホイールベースというプロポーションが裏付けしていた。

技術者が時間を注いだのが、シャシー開発。恐らく、英国の殆どのワインディングは、ロータスの技術者が開発時に攻め込んでいる。

その成果として、ドライバー・フレンドリーなエヴォーラが誕生した。極めて高いコーナリング性能と、完璧といえるステアリングを実現させている。

ロータス・エリーゼと、固定ルーフのエキシージは、サーキットで賞賛を得るために開発された。一方のエヴォーラは、グランドツアラーとしての能力を高めてある。

エンジンは滑らかに回転し、豊かなトルクを発揮。6速MTは高めのレシオで、巡航時に不足ないパワーをタイヤへ伝える。

2011年には、スーパーチャージャーを搭載したエヴォーラ Sが登場。最高出力は355psへ向上し、よりサーキットとの親和性を高めた。従順なテールスライドを引き出しやすくする一方、最高速度は273km/hへ引き上げられた。

スーパーチャージャー仕様は、最終的に436psを獲得。価格も大幅に上昇してしまったが、エヴォーラとして主力の地位を得ていた。運転しやすく、控えめなエアロパーツも魅力だった。今回の試乗車も、そのGT410だ。

この続きは後編にて。

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