「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ FJクルーザーだ。
トヨタ FJクルーザー(2010年:北米仕様)
今(編集部註:2010年当時)でこそ、「新興国」での旺盛な自動車需要に応えることが、そのメーカーの業績を左右する重要なキーポイントになっている。だがしかし、ほんの少し前まではそうした鍵を握るのは、間違いなくアメリカだった。理由は簡単だ。世界トップの自動車普及国であるアメリカというのは、それほどまでに巨大なマーケットでもあったからだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
たしかに、最近は新興国の台頭が著しいとは言いつつも、アメリカ市場の巨大さを過去形で表現するのは当たってはいまい。なぜならば、2009年に「世界最大の自動車市場」の座を中国に明け渡したとはいうものの、それでも日本の倍以上の台数を販売できるのがアメリカの自動車市場であるからだ。かくしてトヨタは、そんなアメリカで徹底したフルラインアップ攻勢を仕掛けている。
前置きが長くなった。今回、トヨタは以前に紹介したプロトタイプのほかに、日本未発売の海外販売車に試乗する機会を与えてくれた。ここで紹介するのは、トヨタ ブランドの「FJクルーザー」だ。1960年にデビューしたFJ40型ランドクルーザーにオマージュを抱いたレトロなデザインがユニークなSUVだ。アメリカでは2006年から販売されて好評を博している。
全長は4.6mあまりだが全幅は1.9mオーバー、全高も1.8mを超える、日本で乗るには少し大柄なサイズだが、じつはこのFJクルーザー、ベース車は従来型のランドクルーザー プラドなのだ。ラダーフレームのシャシはプラドと共通だが、ホイールベースは100mm短縮されている。車重も100kgほど軽い。
見た目はファニーだがオフ性能は本格派だ
搭載されるエンジンは、最高出力276psと最大トルク38.8kgmを発生する4L V6ガソリンの1GR-FE型。組み合わされるトランスミッションは5速ATで、駆動方式は2WD(FR)とパートタイム4WDが設定されている。今回の試乗車は後者だった。
前述のように車重がプラドより軽くホイールベースも短いせいもあるのか、走りっぷりは思ったより軽快だ。4Lという比較的大排気量のエンジンながら、レッドゾーンの5500rpmまでストレスなく吹け上がってくれる。車高はけっこう高いし、ワインディングを走って楽しむクルマではないが、少し速いスピードでコーナリングを試みても、ロールは思ったよりも抑えられていて安定している。
そのスタイルからファニーカーのように思われがちだが、オフロード性能の高さもけっこう侮れないものがある。このクルマで本格的なクロカン4WDのようなオフロード走行をしようとする人は少ないだろうが、ちょっとしたラフロードなら問題なく走破できるだろう。
ユニークなルックスだけでなく、観音開きドアを採用して乗り込めるリアシートは大人でも無理のないスペースが確保されているし、ラゲッジスペースも十分な広さがある。実用性は、けっこう高いのだ。
このFJクルーザー、どうやら日本発売が決まったらしい(編集部註:2010年12月に販売開始)。その売れ行きに注目したい。
■トヨタ FJクルーザー カラーパッケージ(日本仕様)主要諸元
●全長×全幅×全高:4635×1905×1840mm
●ホイールベース:2690mm
●車両重量:1940kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3955cc
●最高出力:203kW<276ps>/5600rpm
●最大トルク:380Nm<38.8kgm>/4400rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:フロント縦置きパートタイム4WD
●10・15モード燃費:8.4km/L
●タイヤ:265/70R17
●当時の価格<税込み>:324万円
[ アルバム : トヨタ FJクルーザー(北米仕様) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
販売されていた頃は走ってるのを見かけましたが最近は見かけませんね。
当時は購入候補にはなりませんでしたが気になる車ではありました。
今ならどストライクなんだけど。