新車試乗レポート [2024.07.23 UP]
新型ヴェゼルの実力チェック/用途別オススメグレード
コンパクトSUVの主役がさらに魅力的にアップデート!
今回のマイナーチェンジでアウトドア志向を強めたグレードを追加することで、より万能タイプに近づいたヴェゼルだが、ハイブリッドの「e:HEV」の改良やサスチューンの見直しで走りの質感が向上したことも見どころのひとつ。新型はどれほどの走りを手に入れたのだろうか?
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
これが人気&実力ナンバー1の走りだ!
リヤサスを巧みに使う
しなやかな走りが好印象
今回のマイナーチェンジの目的は、グレード体系を整理することでWR-Vとの立ち位置の違いを明確にすることが狙いと思っていたが、新型を実際に試乗してみると、走りの雰囲気がかなり違っていることに驚かされた。なかでもその変化を最も感じられるのがFF車だ。
今回のマイナーチェンジでFF車のサスチューンが変更されている。具体的には4WD車以上にリアサスを巧みに使うセッテイングとなったことで、コーナリング時にトンッとリヤサスに荷重が掛かる感じが強まっている。少しFR車的に感じる味付けともいえ、これがしなやかな乗り味やリズミカルな運転感覚に貢献している。
挙動や操舵の安定性は4WD車に分があるため、走りの質は少し及ばない部分もあるが、安心感と軽快感を高水準で両立したフットワークは、FF車としては相当高いレベルに仕立てられている。
また、タイヤは16インチ仕様(GやX系)と18インチ仕様(Z系)が用意されているが、車軸周りの細かな揺れの収束性は18インチ仕様の方が少なく収まりがいい。一般的に低扁平タイヤ/大径ホイールは、乗り心地の面ではマイナスになることも多いのだが、新型の18インチ仕様がバランスよく仕上がっているのは、18インチ仕様を基準にサス開発を行ったためだ。
“電動”を積極的に使って
力強い走りを手に入れた
さらにドライバビリティの進化も見どころのひとつ。特にe:HEVは従来型と比べると、モーター駆動を積極的に行うシリーズ制御の使い方が巧みになっており、明確な違いを感じることができる。
ハイブリッドで省燃費を求めるならば、エンジン直動機構を組み合わせるパラレル制御領域を拡大したほうが良い結果を引き出せるが、新型はパラレル制御の介入が明らかに少ない。
パラレル制御は主に高速巡航中に作動するくらいで、緩やかな登り勾配程度ならば、シリーズ制御を維持していく。必然的に勾配や加速に応じてエンジン回転数は高くなり、駆動用バッテリーの充電頻度も増えてしまうため燃費面で不利になるが、半面、アクセル入力に対しての加速の繋がりは良くなり、登坂路での追い越し加速もスムーズでストレスを感じない。
開発者曰く、直動機構の解除とエンジン回転数の急激な変化を抑えるため、登りでは極力パラレル制御に入れない制御に変更しているとのこと。動力性能に余裕がある2ℓ級エンジンならば、パラレル制御域を拡大しても燃費と動力性能の両方に満足な効果を得られるが、1クラス下の1.5ℓエンジンのヴェゼルでは効果が薄め。ならば多少の燃費向上を目指すよりも、扱いやすさとドライバビリティの安定感を優先したという。
ガソリン車は、WR-Vとの棲み分けもあって4WD車のみになったが、フットワークの方向性はe:HEVの4WD車と基本的に同じ。ただ、動力性能はe:HEVと比べると少し見劣りが否めない。市街地などの比較的平坦な状況ではそれほど気にならないが、高速や山岳登坂での加速は少し非力さを感じてしまう。ただ、この評価はあくまでもe:HEVとの比較であり、コンパクトSUVとしては十分な性能。e:HEVの動力性能が、車格を軽く超えていると考えるべきだろう。
高速や登坂時の余力の少なさを除けば、ガソリン車はコンパクトSUVの中ではバランスがいい。そしてさらにその上をいくのが、走りの質感も含めて走りが全体的にアップグレードしているe:HEV車だ。コンパクトSUVの中で本命といってもいいバランスの良さがある。
特に運転の心地よさや車格感を感じる走りは、1クラス上のSUVにも負けていない。
e:HEV Z PLaYパッケージ 2WD
●全長×全幅×全高(mm): 4340×1790×1590 ●ホイールベース(mm):2610 ●最低地上高(mm):195 ●車両重量(kg):1380 ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1496cc直4DOHC(106PS/13.0kg・m)+モーター(96kW/253Nm) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:25.3km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソン式(F)車軸式(R) ●タイヤ:225/50R18
サスチューニングの味付けの変更も走りの質感向上に大きく貢献。FF車でもリヤサスをしっかり使い切ることで路面追従性が高まり、結果的に操舵感覚も良くなっている。e:HEVの余力感が高まったことも相まって、ガソリン車とハイブリッド車の差はさらに拡大した格好だ。
G 4WD
●全長×全幅×全高(mm):4340×1790×1580 ●ホイールベース(mm):2610 ●最低地上高(mm):170 ●車両重量(kg):1320 ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1496cc直4DOHC(118PS/14.5kg・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:15.0km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソン式(F)車軸式(R) ●タイヤ:215/60R16
新型ヴェゼルのオススメグレードは?
幅広いニーズに対応できる芸達者が揃っている
従来型よりも幅広いユーザー層の獲得を狙ってきた新型ヴェゼル。そのグレード体系を見ていくと、コンパクトSUVに求められる要素がうまく盛り込まれていることがわかる。
まずアウトドアレジャーを好むユーザーには、e:HEVの標準グレード「X」をベースに約11万円高でルーフレールなどの専用ドレスアップを施したハントパッケージの4WD車がベスト。アクティブ感を強めた内外装もさることながら、リヤサスをより積極的に用いる乗り味の良さが魅力。重厚なイメージが強まった走りはクラス超えといえるレベルで、走りの質の面でも積極的に選びたくなる。
ただ、シリーズ全体のベーシックとなるガソリン車のGとXハントパッケージの価格差は装備差もあるとはいえ約57万円。価格も重要なコンパクトSUVにとって、かなりの違いがあるのは間違いない。動力性能にこだわらず、タウン&レジャーで多様に使えるコンパクトSUVを求める向きには、実はガソリン車はお値打ちだ
そして長距離ドライブの頻度が高いユーザーには、e:HEVのFF車も狙い目。リズミカルな運転が自然と馴染む挙動制御や、神経質な対応や緊張感の少ない操縦感覚は、スポーティさと安心感をバランス良く持ち合わせていて万人にオススメできる。同乗者のストレスが少ないことからツーリング志向のコンパクトカーとしても魅力的だ。
コスパ重視の実用車狙いなら>G
価格:264万円
レジャーのアシとして使いたいなら>e:HEV X HuNTパッケージ(4WD)
価格:321万8600円
ロングドライブを重視するなら>e:HEV Z(2WD)
価格:319万8800円
新型ヴェゼル グレード別装備比較
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みんなのコメント
車両価格は高いのですが、現代においては仕方ないのかなと。
ちょっと前ならゼロクラウン買えましたね。