以前は最大で8ブランドも展開していた!
ゼネラルモーターズ(GM)には現在、シボレー、ビュイック、GMC、キャデラックの4ブランドが併存している。
トヨタはレクサス、日産はインフィニティ、ホンダはアキュラといった2ブランド制は一般的だが、どうしてGMは4ブランドもあるのか、日本人にとっては疑問に感じるかもしれない。
じつは、4ブランドでもかなり少なくなったのだ。いわゆるリーマンショックが起こった2000年代後半、GMは日本での会社更生法にあたる連邦倒産法第11章(通称:チャプターイレブン)を申請し、事実上の倒産となった。その後、事業を再生するために複数のブランドを廃止した。
なくなったブラントとは、オールズモビル、ポンティアック、サターン、そしてハマーだ。つまり、リーマンショック前までGMには8つものブランドが存在していたのだ。このうち、シボレー、ビュイック、キャデラック、オールズモービル、またGMCの前身である商用車部門はGM創世記から拡大期に事業買収、いまでいうM&Aによって既存の自動車メーカーがGMに組み入れられたかたちだ。
第二次世界大戦後、世界経済をリードし国内経済が華やいだアメリカにとって、より多くのブランドからより多くの新型車を世に送り出すことが当たり前だった。
新しい試みに挑戦するも次第に業績は悪化……
90年代にGMが試みたのが、新しいブランド構築だ。ひとつは、サターン。小型車の企画で日本メーカーに先を越されるなか、メーカーとユーザー、メーカーとディーラーとの新しい関係性を模索した動きだった。
さらに、「H1」を製造したAMゼネラルからハマーブランドを買い取るかたちで、シボレー「タホ」などの兄弟車として「H2」が世界的なヒットを飛ばした。
だが、サターンもハマーも、アメリカ社会のなかではマイナーな存在であり続け、収益性も徐々に悪化。リーマンショック後の事業再生に伴うブランド数半減のなかに組み込まれてしまった。
GM以外にも、新しいブランド戦略を試みたものの、道半ばでその使命を終えたケースがある。例えば、トヨタのサイオン。90年代末から2000年代初頭に全米に広まった、日本車改造ブームを背景として立ち上り、既存トヨタディーラー内での販売を展開するも、次の一手がなく消滅した。
では、アメリカにおける自動車メーカーの多ブランドは今度どうなるのか?
例えばハマーがGMCブランドでのEV(電気自動車)として復活することが確定しているなど、これまでになかったブランドとモデル名の使い分けが盛んになるかもしれない。
EVのみならず、ガソリン車でも車体(プラットフォーム)に加えてボディ全体での共有化による兄弟車戦略が、世界的な主流になりそうだ。
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現行ブランドでいえば、ホールデンや合併会社の五菱、宝駿、過去ブランドにはラサールやヴァイキング、マルケット、オークランド、マクローリン、オペル、ボクスホール、大宇、サーブ(その他多分抜けあり)などなど。
そしてGMのブランドの数の多さの話であれば、ふつう創業者ウィリアム・デュラントの頃の数々の会社買収や、アルフレッド・スローンのブランド階層化戦略と事業の分権化の話じゃない?肝心の「多ブランドをもつ理由」がまったく語られていない。「過去にブランドがいっぱいあったけど、リーマンショックで倒産してなくなってしまった。終わり」って…