WEC世界耐久選手権は5月11日にベルギーのスパ・フランコルシャンで2024年第3戦の6時間レースを開催するが、同じ週末である5月11~12日には、ドイツのベルリンでABB FIAフォーミュラE世界選手権の第9・10戦が行われる。このため、双方のシリーズにエントリーするドライバー、そしてそのドライバーを抱えるチームにとっては、悩ましい問題が生じている。
プジョー・トタルエナジーズにおいては、ストフェル・バンドーンとジャン・エリック・ベルニュがフォーミュラEとのバッティングのためスパ戦を欠場する予定となっているが、2台のプジョー9X8のドライバーラインアップをどのように調整するか、まだ決定していないという。
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バンドーンとベルニュは、プジョーと同じステランティス・ファミリーの一員であるDSペンスキーチームからベルリンでのレースに出場するため、WECのスパラウンドを欠場。これによりプジョーは、レギュラードライバー6名のうち、スパでは4名しか起用できなくなる。選択肢としては、リザーブドライバーであるマルテ・ヤコブセンをレースデビューさせるというものがある。
ステランティス・モータースポーツのディレクター、ジャン・マルク・フィノーは先週末、WEC第1戦カタールの現場で記者団に対し、1台をドライバーふたりで走らせることは「実現可能」であるが、ヤコブセンが本当にデビューするかどうかについてはまだ決定が下されていないと語った。
フィノーはヤコブセンの起用について「決まっていない」と語った。
「我々には決断のための時間はある。我々にとって、DSにドライバーが乗っていないとクルマは走れないので、(バンドーンとベルニュがスパを欠場することを)決定するのは明白だ」
一方でフィノーは、バンドーンやベルニュとは異なり、ABTクプラフォーミュラEチームのドライバー、ニコ・ミューラーはベルリン戦を欠場し、プジョーとともにWECスパに出場すると認めた。
「(ミューラーは)我々と一緒にレースをするだろう」と彼は語った。 「契約書に書いてあるんだ」。
これらのことから、プジョーが1台のクルマにはふたり、もう1台には(ヤコブセンを加えた)3人のドライバーを乗せることになるのかとの質問に対し、フィノーは「イエス、その可能性はある」と答えている。
フィノーはまた、現在のプジョーファミリー以外のドライバーがスパでレースすることを検討しているわけではないと付け加えている。
■ハーツ・チーム・JOTA12号車ポルシェ963も2名体制でスパ戦出場か
WECとフォーミュラEのバッティングの影響を受けるWECハイパーカーメーカーはプジョーだけではなく、トヨタGAZOO Racing、BMW Mチーム WRT、ランボルギーニ・アイアン・リンクスはすべてフォミュラEドライバーを走らせているほか、ポルシェのカスタマーチームであるハーツ・チーム・JOTAも影響を受ける。
トヨタには2024年のロースターにセバスチャン・ブエミとニック・デ・フリースのふたりのフォーミュラEドライバーが名を連ねているが、チームディレクターのロブ・ロイペンはSportscar365に対し、両名はWECのスパ戦に参加する義務があるため、フォーミュラEを欠場することを認めた。
ブエミがフォーミュラEで所属するエンビジョン・レーシング・チームは、ロビン・フラインスもスパでのBMW Mハイブリッド V8のドライブを優先する模様で、ベルリンでは両ドライバーを欠く見通しに直面している。
一方でデ・フリースのマヒンドラ・レーシングのチームメイト、エドアルド・モルタラはベルリンでのレースに出場することになり、WECスパではランボルギーニSC63のシートに空席が生じることになる。
アイアン・リンクスの代表アンドレア・ピッチーニはSportscar365に対し、モルタラの代わりにランボルギーニLMDhのメンバーから別のドライバーが起用されることを認めた。ロマン・グロージャンは同じ週末にインディカーのレースに出場することから、実質的にはアンドレア・カルダレッリかマッテオ・カイローリがスパ戦に出場することになる。
ハーツ・チーム・JOTAに関しては、ノルマン・ナトがベルリンでアンドレッティ・フォーミュラEをドライブするためにWECスパを欠場する予定で、その場合はウィル・スティーブンスとカラム・アイロットがふたりのみで12号車ポルシェ963のステアリングを握り、6時間レースを戦うことになる可能性が高い。
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