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アヴェンタドールS 2017年版に試乗 迫力は健在 時代を感じる部分も

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アヴェンタドールS 2017年版に試乗 迫力は健在 時代を感じる部分も

もくじ

どんなクルマ?
ー いうなれば「アヴェンタドールMk2」
ー 4輪操舵システム採用 セミATはそのまま

ランボルギーニ初のコンクール 日本人オーナーのミウラSV、最優秀賞

どんな感じ?
ー 迫力は健在 ただし気になる部分も
ー 7速セミAT、時代の進歩に追いつけず

「買い」か?
ー 感性で選ぶならば「買い」

スペック
ー ランボルギーニ・アヴェンタドールSのスペック

どんなクルマ?

いうなれば「アヴェンタドールMk2」

ランボルギーニのV12エンジンを搭載し、大幅にアップデートされたアヴェンタドールS。

Sは2011年初頭リリースのサンターガタが生んだエースの進化版で、アヴェンタドールは間もなく7回目の誕生日を迎えることとなる。

実際、メカニカルな部分の更新は非常に多岐に及んでおり、一層シャープなエッジラインが与えられたエクステリアデザインも相まって、アヴェンタドールMk2とでも呼びたくなる仕上がりだ(今風の呼び方ではアヴェンタドール2.0の方が適切か)。

フロントグリル内に新しく生えた牙は、新型の最もわかりやすい識別ポイントだろう。フロント・スプリッターも一層際立たされ、結果として前部のダウンフォースは130%に増加したという。ただ、具体的な数値は示されておらず、このスプリッターの他にもフロントタイヤを地面に押し付ける要素は有ると思われる。

ボディ側面に大きく穿たれたエアインテークの形状も見直されたほか、以前はボディと同色だったリアエンドの樹脂部分は、黒色に変更されている。3ピースで構成されるマフラーも新しくなり、全体で20%の軽量化が図られた。

これらの細かな変更に加えて最高出力も向上しており、6500ccの自然吸気V12エンジンは従来型から40psほど上乗せされ、740psを発生させる。レッドゾーンは8500rpmからで、最大トルクは変わらず70.2kg-mだ。

もうひとつ、大きな変化がある。

4輪操舵システム採用 セミATはそのまま

大きな変化という点では、ユーザーの好みでサスペンションやドライブトレイン、ステアリングの設定を組み合わせられる、ドライブモードが追加されたことだ。この新しい機能自体は良いものなのだが、ランボルギーニが選んだ名称は「エゴ」。あまり上品とは思えない。

そして最大のアップデートは、4輪操舵システムが搭載されたこと。この種の他のシステムと機能的には変わらず、特定の速度域においては擬似的にホイールベースを短くして運動性能を高める。

一方で、特定の速度域においては擬似的にホイールベースを長くして安定性を高めている。さらに、シャシーとステアリングシステムをすべて見直し、設定し直されている。

その結果、リアタイヤはこの4輪操舵システムによって、安定性が大きく向上した。ステアリングのレスポンスはよりダイレクトな味付けに設定され、4輪駆動システムのリアタイヤへの駆動力の配分率も高められている。フェラーリ488やマクラーレン720Sと肩を並べる運転のしやすさを、アヴェンタドールは手に入れることとなった。

7段シングルクラッチの2ペダルMTには手が加えられておらず、変速スピードも変わらない。

どんな感じ?

迫力は健在 ただし気になる部分も

発表から6年以上が経った今でも、路上での存在感は秀でている。日常的な交通の中に置くと、ワイド&ローなプロポーションを持つアヴェンタドールはまるで地球外の乗り物のようだ。

座ってみたいという衝動にかられるキャビンからの視界が、想像以上に良いのに驚かされる。ステアリングも適切な角度に取り付けられているが、操作ダイヤルやインフォテインメント・ディスプレイのグラフィックスなどのデザインは、少し古く見えてしまう。

近年、ランボルギーニは快適なシート設計に関して、答えを見つけられないでいるようだ。キルティング加工されたレザーシートは、一見、それなりに快適そうに見えるのだが、包まれるような感覚ではなく、椅子の上に乗るような形で、長距離ドライブでは腰や首が痛くなる。固定式のバケットシートはより辛いかもしれない。

エンジンは非常に素晴らしく、始動時のノイズは想像しているほどの音量ではない。むしろアウディR8 V10の方が騒がしいほどだ。

スロットルを深く踏みこんだ時ですらキャビンに座っているとエンジンの咆哮はうるさすぎることはないのだが、音質はランボルギーニそのもの。右足に力を込めて回転数をレッドゾーンまで引っ張り、強烈な加速度を体感することは喜び以外の何ものでもない。

その一方で落胆する部分もある。

7速セミAT、時代の進歩に追いつけず

優柔不断で一貫性に欠ける2ペダルMTには落胆してしまう。レースモード寄りのドライブモードの場合、変速は十分にクイックなのだが、ストラーダモードの場合はしっくりこないのだ。変速時に少しだけスロットルを戻すと変速はスムーズになるのだが、毎回面倒な動作ではある。

峠における走りはどうだろう?

オリジナルのアヴェンタドールは大きく重く、車重は1700kgに迫り、ワインディングを飛ばすときなどは、そのマスを感じざるを得なかった。

アヴェンタドールSに今回導入された4輪操舵システムにより、マイナーチェンジ前と比べて俊敏さは増しているが、自信を持ってコーナーを攻めていける懐の深さという面では、より安価なライバルほどに至っていない。

一方でドライブモードに追加された「エゴ」モードは非常に有用なもの。スポーツモードのクイックでシャープなシフトタイミングに、ストラーダモードの自然なステアリングフィールと、最もソフトなサスペンションを組み合わせることで快適性を上げ、クルマでの行動範囲を広げることが可能となる。

「買い」か?

感性で選ぶならば「買い」

ドラマティックで記憶に残るスーパーカーを望んでいるなら、間違いなく買いだ。アヴェンタドールSこそがドラマを生むベストな1台だとも言える。

しかし、魅力的で満足感のあるドライビング・エクスペリエンスを望んでいるなら、より安価なフェラーリやマクラーレンを視野に入れたほうが良いだろう。

アヴェンタドールSのライバルとなる、V12エンジンを積んだフェラーリ812スーパーファストは、ランボルギーニほど路上での存在感はないが、ドライビング性能は高い。

ランボルギーニ・アヴェンタドールSのスペック

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