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ホンダが中国で厳しい販売台数の落ち込み! 新EVの「Lingxi L」で巻き返しなるか?

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ホンダが中国で厳しい販売台数の落ち込み! 新EVの「Lingxi L」で巻き返しなるか?

ホンダ「Lingxi L」の使命とは?

ホンダが新型EVシリーズとしてLingxiシリーズを中国で立ち上げ、EVセダンのLingxi Lの正式発売をスタートしました。現在、中国市場におけるホンダの厳しい販売動向とともに、そのLingxi LのEV性能から見えるホンダのEVシフトの現状を考察します。

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まず初めに、現時点におけるホンダの中国市場における販売動向を改めて確認しましょう。

このグラフは、中国市場における大衆ブランドの月間販売台数を示したものです。現在、大衆ブランドで大きなシェアを有しているのがトヨタ・ホンダ・日産という日本メーカー勢、およびフォルクスワーゲン、そして中国BYDです。黄色で示されているBYDが、この数年間で急速に販売台数を拡大しており、直近の8月単体の販売台数は36.4万台を実現し、前年同月比較で58.3%もの急成長を実現しています。

その一方で、販売台数を大きく落としているのが、残りの大衆ブランドです。とくに日本勢として、トヨタは13.5万台と前年同月比で13.2%ものマイナス成長。日産も4.2万台と前年同月比で24.7%ものマイナス成長。そして今回のホンダは、8月に5.7万台の販売台数を実現したものの、前年同月比で44.2%ものマイナス成長を記録しています。ほんの1年前と比較して半分近い販売台数の落ち込みを記録していると考えると、現在ホンダは危機的な状況にあるといえます。

そして、このホンダはすでにEV専用シリーズであるeNシリーズを立ち上げており、2022年にe:NS1とe:NP1というコンパクトSUVの発売をスタート。さらに2024年4月からは、eNシリーズ第二弾であるミッドサイズSUVの、e:NS2、およびe:NP2の発売もスタートさせました。

その上、eNシリーズとは別に、「Ye(イエ)」シリーズというEV専用シリーズも立ち上げて、2024年度中にも、S7というミッドサイズSUVの発売をスタートする予定です。しかもS7の兄弟車であるP7、さらにはGTと名付けられた、クーペタイプのEVを2025年中に投入する計画です。

したがって、2027年までに10車種ものEVを投入する方針を発表しており、2035年までの完全バッテリーEV100%に向けて、ラインアップを急ピッチで拡充しようとしています。

そのホンダの新型EVの販売動向を見てみましょう。日本メーカーで唯一販売台数を稼ぐことができているのは、トヨタの大衆セダンのbZ3のみであり、ホンダのeNシリーズは、第一弾も第二弾も現状、まったく販売台数を伸ばすことができていない状況です。

そして、そのような背景においてホンダが中国市場に追加で投入してきた新型EVというのが、Lingxi Lというミッドサイズセダンです。じつはホンダは、eNシリーズとイエシリーズと並行して、さらに追加のEV専門シリーズとしてLingxiシリーズを立ち上げていたという背景が存在します。そしてようやく第一弾であるLingxi Lの正式発売をスタートさせてきた格好です。

このLingxiシリーズは、とくに若者世代をターゲットに据えて、最新テクノロジーを盛り込むことを意識したシリーズという立ち位置です。まず、エクステリアデザインが極めて斬新です。一部では過剰であると指摘されているデザイン言語が、中国の若者にどれほど受け入れられるのかが気になるところでしょう。

さらに、インテリアデザインは、インストルメントクラスターとともに、12.3インチのセンターディスプレイと、助手席用のディスプレイ。さらに7インチのデジタルサイドミラーのディスプレイという配置は、日本国内で発売されていたHonda eのデザインと酷似しています。

確かに現在、中国市場における主流のデザイン言語というのは、大型のタッチスクリーンを複数搭載するような場合が多いものの、やはりそれ以上に重要なのは、そのディスプレイがどれほどレスポンシブに動作するのか、そしてディスプレイを通じて何ができるのかという点です。したがって、中国の若者がこのインテリアデザインに対してどれだけ受け入れられ、その操作性の高さをアピールすることができるのかが問われることになるでしょう。

他方で、個人的に注目しているのがEV性能です。とくに直近において、この大衆EVセダンで爆発的人気を獲得しているのが、XpengのMONA M03です。すでに発売開始48時間の段階で3万台以上の確定注文を獲得しており、いまだにその勢いは止まらない状況です。よって現在、中国市場における大衆セダンEVの新たなベンチマークとなっているXpeng MONA M03と比較して、今回のLingxi Lがどれほどの競争力を有しているのかを比較していきましょう。

価格は日本円で269万円から

まずLingxi Lは前輪側をモーター駆動するFWDです。59.22kWhのLFPバッテリーを搭載することによって航続距離は中国CLTC基準で520kmを実現しています。ちなみにLFPバッテリーにはBYD製のブレードバッテリーを採用しています。他方でM03は、エントリーグレードにおいても515kmと、Lingxi Lと同じような航続距離を確保しているものの、バッテリー容量は51.8kWhと、より少ないバッテリー容量で実現できています。実際の電費性能は、Lingxi Lが12.9kWh/100kmであるのに対して、M03は11.5kWh/100kmと、効率性でかなりの差がついている状況です。

また、車両サイズについて、Lingxi Lは全長4830mm、全幅1845mm、ホイールベースが2731mmというコンパクトセダンです。対するM03も全長4780mm、全幅1896mmと、同じようなサイズ感でありながらホイールベースは2815mmと、車内空間の広さに直結するホイールベースをより広く確保することに成功しています。他方で、M03の最小回転半径は5.3mと、Lingxi Lの5.65mを凌ぐ小まわり性能を実現しています。

さらに、Lingxi Lのトランク部分の収納スペースは502リットルであるのに対して、M03は621リットルと、さらに大容量を確保することに成功しています。

つまり、今回のLingxi Lは、ベンチマークであるM03と比較しても、「車両サイズに対するホイールベースが短く、取り回しも悪く、その上で収納スペースも少ない。EV性能でも、同じバッテリーサプライヤーから電池セルを購入するものの、その性能では大きな差がついている」といえます。よって、プラットフォーム自体の完成度で、ホンダがXpengの後塵を排してしまっているといえるでしょう。

そして、もっとも注目するべきは値段設定です。Lingxi Lは12.98万元、日本円で269万円からのスタートです。一方のM03は、さらに日本円で20万円も安価に発売することに成功しており、コスト競争力の高さを実現しています。

また、EV性能とともに標準装備内容も確認していきましょう。とくに今回比較するのは、値段設定でまったく同等のM03のロングレンジグレードです。Lingxi Lと比較して、航続距離は100kmも余分に確保しています。その上でLingxi Lは、 ・12.3インチのディスプレイをふたつ搭載しながら、さらに12.15インチのヘッドアップディスプレイも搭載 ・電動トランク開閉機能は非搭載 ・運転席側のみ8方向電動シート調整であるものの、助手席側は手動調整 ・シートヒーターをはじめとする追加機能はなし ・アンビエントライトはオプション設定 ・ヒートポンプシステムやガラスルーフ、2.2kWのV2L機能は標準搭載 ・M03はレベル2ADASであるXpilotが標準搭載であるものの、Lingxi Lはオプション設定

また、オーディオシステムやアンビエントライトなどのセットオプションを追加することで、レベル2ADASを追加可能なものの、そのオプション設定は2万元、日本円で40万円です。するとM03では最上級グレードのMaxグレードを購入可能となり、M03 Maxではレベル2+である高速道路と市街地までも含めたNOAであるXNGPを利用可能となります。レベル2+は現在、中国市場における若者世代に注目されているハイエンドADASです。

いずれにしても、若者世代というターゲット層の場合、レベル2ADASを標準設定してきていないのは悪手であるといわざるを得ず、販売台数にどのような影響を与えるのかには注目です。

このようにして、今回ホンダが新たに発売してきたLingxi Lは、中国市場における若者世代をターゲットに据えたEVセダンとして期待されているものの、ちょうど現在、中国市場で大ヒットとなっているXpengのMONA M03との完成度を比較してしまうと、EV性能と標準装備内容を含めたコスト競争力で後塵を排してしまっている様子が見て取れます。

果たして、現在中国市場において壊滅的な販売減少を記録してしまっているホンダが、Lingxiシリーズをはじめとする新型EV投入ラッシュによって、どれだけ存在感を取り戻すことができるのか。ホンダの戦いには注目です。

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みんなのコメント

36件
  • AUTO PHANTHER
    さっさと撤退すればいいじゃん。
  • まさ
    10兆円の投資が仇にならなければ良いですがね。
    国から援助を受ける金額が膨大で、自社の開発費を抑えられる。
    日本は開発期間が長い、品質にかける投資が膨大。
    中国式開発方法を採用しないと売価が高くなり、中国車に勝てない。
    まともに戦ったら勝ち目はないですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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