この記事をまとめると
■日本のモータースポーツシーンにはレースクイーンの存在が欠かせない
F1がグリッドガールを廃止して4年! レースクイーンが文化として根付く日本から見ると「謎の選択」はナゼ?
■レースクイーンの仕事内容をTGR TEAM SARDのレースアンバサダーに聞いた
■男性レースアンバサダーも登場し男性もサーキットに華を添える時代が来るかもしれない
モータースポーツには欠かせないサーキットの華
スーパー・フォーミュラにしてもスーパーGTにしても、日本のレーシングチームはレースクイーンを起用。クルマおよびドライバーが主役となるレースシーンを華やかに演出するなど、まさにレースクイーンは日本独自のモータースポーツ文化として定着しているが、彼女たち、レースクイーンの業務内容はどんなものなのだろうか?
というわけで、8月2~4日、富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第4戦で、レースアンバサダー(注:スーパーGTでは2024年よりレースクイーンをレースアンバサダーに呼称変更)を直撃。まずは、TGR TEAM SARDでレースアンバサダーを務めるSARDイメージガールの木村 楓さん、KOBELCO GIRLSの太田麻美さんにレースアンバサダーの仕事内容を解説してもらった。
ちなみに、木村さんは2023年に日本レースクイーン大賞新人賞グランプリ、太田さんは2021年に日本レースクイーン大賞を受賞した人気のレースアンバサダーである。
──よくピットウォークの際に傘をさして撮影に応えているシーンをみかけますが、レースアンバサダーの仕事はどのようなものでしょうか?
太田さん:レースアンバサダーはチームやチームをサポートしてくれているスポンサーさまの広告塔としてPR活動をさせていただいています。サーキットではドライバーや監督、スポンサーさまに暑いときは日除けとして、雨が降っているときは濡れないように傘をさしています。そのほか、スタート進行のときにはマシンにも気を遣って傘をさしています。
──自分ではなく、関係者のために傘をさしているんですね。ちなみに、ピットウォークのとき、レースアンバサダーはピットではなく、ストレート上で撮影に対応していますよね?
太田さん:ピットウォークではファンの方が撮影してくれるので、その対応をしていますが、ドライバーのサイン会も行われているので、ピットのほうではドライバーさんに傘をさしています。
──なるほど。そのほかにはどんな業務があるんでしょうか?
太田さん:あとはイベント広場にステージがあるんですけど、そこではチームやスポンサーさまのPRをさせて頂いたり、TGR TEAM SARDはイベント広場で、“物販サイン会”をやっているんですけど、SARDのグッズを購入してくださった方にサインをしながら、コミュニケーションをとっています。
木村さん:あとはキッズウォークでは子どもさんが来てくれるんですけど、その対応もドライバーさんと一緒にレースアンバサダーが行っています。
──いろいろと多岐に渡るんですね。基本的にサーキットは土曜日と日曜日ですよね?
木村さん:チームにもよりますが、基本は土曜日の朝から日曜日の夜までサーキットにいます。
──サーキット以外でもレースアンバサダーとして活動したりするんでしょうか?
木村さん:チームの撮影会が年に3回あるので、そちらにも参加しています。撮影会は夏だったら浴衣で対応することもありますし、最後の撮影会では卒業式もありますのでファンと一緒に過ごしています。
──やはり、ドライバーや監督と同じようにTGR TEAM SARDの一員としてリザルトには一喜一憂したりしますよね?
太田さん:調子がいいときはうれしいし、調子が悪いときは心配になります。チームの一員として活動しているので、全力で応援しています。
──SNSを使った告知もやられているんですよね?
太田さん:いつも応援に来てくれるファンの方以外にもサーキットに来てほしいですし、スーパーGTを好きになって一緒に楽しんで貰いたいので、SNSでPRをしています。
──ちなみに、夏場のレース観戦は暑いんですけど、何か暑さ対策みたいなものはあるんでしょうか?
木村さん:私たちもやっているんですけど、水をたくさん飲むことと塩分を摂ること。あとは具合が悪いと思ったら日陰に逃げていただくことですね。そのほか、睡眠も大事なので、私たちも前の日は夜更かししないようにしています。
以上、太田さん、木村さんにレースアンバサダーの仕事を解説してもらったが、やはりレース関係者によれば、日本のレースシーンにおいてレースクイーンは欠かせない存在となっているようだ。
レース関係者にとってレースクイーンはどんな存在?
というわけで、レース関係者を代表して頂いて、TGR TEAM SARDの脇阪寿一監督にレースアンバサダーの必要性について語ってもらった。
──脇阪監督には以前、チーム監督の役割を解説して頂きましたが、今回はレースアンバサダーについてお尋ねしたいと思います。脇阪監督が現役時代からレースクイーンはいたと思いますが、ドライバー時代の脇阪選手にとってはどういう存在でしたか?
脇阪監督:僕の場合はレーシングカートを経てF3から四輪のレースを始めたんですけど、最初のチームにはレースクイーンがいなかったんですね。だから、早く陽の当たる場所に行きたい……という気もちが強かったですね。もちろん、クルマのクオリティやチームのレベルもあるんですけど、ビジュアルからいえば、やっぱり華やかなレースクイーンがいる場所に憧れました。レースクイーンがいる場所にはそこにファンが集まりますよね。グリッドにはクルマ、ドライバー、レースクイーンのすべてのファンが集まってきて、ごった返すんですけど、そのファンの3分の1を彼女たちがもっている。だから、若手ドライバーだった自分にとっては“早くトップチームに行きたい”、“早くトップカテゴリーに行きたい”と思わせる存在でした。
──なるほど。レースクイーンは若手ドライバーにとってトップチームやトップクラスのステータスを表す象徴みたいな存在だったんですね。でも、レースクイーンのファンも多いんですね。
脇阪監督:そうです。スーパーGTを見てもクルマのファン、ドライバーのファン、チームのファン、あとスーパーGTではレースクイーンではなく、レースアンバサダーなんですけど、レースアンバサダーのファンもいるから華やかになる。平日のイベントのないサーキットは無機質で、アスファルトと建物しかない施設ですけれど、スーパーGTは本当に華やかな会場になりますよね。レースアンバサダーはチームやスポンサーの広告塔ではあるんですけど、こういった華やかさという部分ではレースアンバサダーの存在が大きいと思います。
──スーパーGTはチーム数も多いのでレースアンバサダーの人数も多いですからね。やはり、レースクイーン文化は日本独自のものですよね。
脇阪監督:日本のモータースポーツでは、ゆるキャラやアニメ、アイドルも華やかにしてくれていますが、やはりレースクイーンはなくてはならない存在だと思います。ヨーロッパのモータースポーツでは、F1のグリッドガールが廃止されましたが、レースクイーンは日本のモータースポーツが誇れる部分の要素でもあるので、大切にしたいですね。
──TGR TEAM SARDとしてもレースアンバサダーは重要な存在ですか?
脇阪監督:もちろんです。TGR TEAM SARDもSARDイメージガール、KOBELCO GIRLS、WAKO’S GIRLSの女の子たちがいてくれるのでチームとしても華やかになるし、チームやスポンサーのブランドイメージを高めてくれる。彼女たちはサーキットだけでなく、イベントやトークショーにも参加してくれるんですけど、レースアンバサダーがいるといないとでは違うんですよね。彼女たちがいると彼女たちのファンがくるので、伝えたいファンに伝えられない……と思っているチームやドライバーもいると思いますが、それはチームやドライバーの努力が足りないんだと思います。彼女たちはSNSもファンサービスも努力を重ねたことで人気を得ているし、人気があるからこそ、希望のチームでレースアンバサダーになることができている。レースアンバサダーは身体をキレイに維持する……という本業とは別のプラスαの努力をしているので、レーシングドライバーも速く走ることとは別のプラスαの努力が必要だと思います。
──確かにレースアンバサダーは激務のなかで頑張っていますよね。
脇阪監督:レースクイーンはそうやって努力を重ねているから、過去の例を見てもレースクイーンを経てモデルになったり、タレントになって活躍する人も多いですよね。そうやって有名になった人々が趣味の欄にモータースポーツ観戦と書いてくれたりすることで、モータースポーツの知名度向上に繋がることもあるので、僕はレースクイーンの方々に敬意をもっている。そうやって相乗効果で盛り上がっていければ……というなかでも大切な存在です。
──レースクイーンはリスペクトできる存在なんですね。
脇阪監督:モータースポーツといえば、これまでレーシングドライバーを目指したり、メカニックに憧れたりする子どもが多かったんですけど、最近はレースクイーンも憧れの存在になっていて、お母さんがレースクイーンの衣装を作って、小さな女の子がその衣装を来てピットへ遊びに来る子どもたちも増えてきました。家庭のなかでモータースポーツの話題を提供している大切な存在です。スーパーGTではレースアンバサダーと呼んでいますが、やはり、彼女たちはレース場の本物のクイーンだと思います。
以上、今回はサーキットに華を添えるレースクイーンをクローズアップしてきたが、やはり、彼女たちは日本のモータースポーツには欠かせない存在といえる。
前述のとおり、スーパーGTでは性別の指定撤廃に伴い、レースクイーンからレースアンバサダーに名称が変更されており、それに合わせて男性のレースアンバサダーも登場。TGR TEAM ENEOS ROOKIEをサポートするAISINのアンバサダーとして韓国人モデルのパク・ミンジュンさんが注目を集めている。
それだけに、今後は女性だけでなく、男性もサーキットに華を添える時代を迎えるかもしれない。
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みんなのコメント
言い方は悪いですが容姿がよければだれでもやれる職業なので
とても賃金が低く抑えられてると元レースクイーンの方からお聞きしました
という事は権力を持っている人には逆らえないという事で…