家族の楽しさが広がるミドルクラスSUV
室内の広さ、快適性、実用性、走り、デザイン、コストパフォーマンスなどさまざまな観点から、特に優れたミドルクラスSUVを10台紹介する。
【画像】世界で人気を二分している? 国産ファミリーSUV【海外仕様の日産エクストレイル & トヨタRAV4を写真で比較】 全35枚
近年、家族で使う「ファミリーカー」としてSUVを選ぶ人が増えてきた。日本ではまだまだミニバンの存在感が強いが、米国や欧州ではSUVがファミリーカーの定番となっている。
ステーションワゴンのような広い室内空間とトランク、運転視界の良さ、力強いパワートレインなど、SUVは普段使いから休日のロングドライブまで幅広くこなせる能力を持つ。また、7人乗りのシートレイアウトを選べるモデルも多い。
欧米でSUVが人気を集める理由の1つに、優れた走行性能が挙げられる。多くのモデルで標準となる四輪駆動や高い最低地上高により、不安定な路面での心強さと、ある程度のオフロード性能も備えている。また、特に欧米で求められる牽引能力も高い。
今回は、SUVトレンドの中心地となっている欧州市場から、ファミリーカーとして注目されるミドルクラスSUVをピックアップした。筆者(英国人)の好みもかなり含まれるので、あらかじめご了承いただきたい。
1. 日産エクストレイル
長所:運転しやすい、上質なインテリア、7人乗りのオプションがある
短所:燃費はライバルにやや劣る、トランクが小さい、低速域での乗り心地が不安定
珍しいことに、エクストレイルは1.5L 3気筒ガソリンエンジンを搭載している。パワーや静粛性に苦労しがちなレイアウトだが、ハイブリッドの「eパワー(e-Power)」仕様ではそのメリットを最大限に活かしている。
エンジンを発電機として使用し、駆動は電気モーターで行うというシリーズハイブリッド方式により、EVのようなスムーズな走りを実現しながらも、充電は不要という使い勝手の良さが最大の強みだ。エクストレイルは運転と所有が苦にならないクルマに仕上がっている。ただ、燃費は確かに優れているが、できればもう少し改善してほしいところ。
パワートレインだけでなく、全体的に見ても非常によく出来ている。欧州のライバル車に比べるとやや小さいが、それでも7人乗りのシートレイアウトを選択できる。2列目シートは広く、リアドアは90度近く開き、トランクも大きい。
使用頻度の高い機能は大きなボタンから操作でき、インフォテインメント・システムもかなり使いやすく、ストレスを感じることはない。フロントシートの座り心地もとても快適だ。
低速域ではやや不安定な乗り心地に悩まされるが、それ以外では非常にしなやかで、コーナリングには躍動感さえある。エクストレイルはとても気楽に付き合える相棒だ。
2. ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ
長所:快適性の高さ、頼もしいオフロード性能、高級感あるデザイン
短所:経済性は高くない、パワートレインのパンチが足りない、PHEV仕様には7人乗りがない
ディスカバリー・スポーツはランドローバーのエントリーモデルだが、だからといってオフロード性能や快適性に欠けるわけではない。ただ、今回紹介する他車と比べても、かなり高価だ。
2019年に登場した現行型ディスカバリー・スポーツは、レンジローバー・イヴォークとPTAプラットフォームを共通化しているが、個性は失われていない。乗り心地が良く、運転視界も良好。ランドローバーらしく、オフロードでも優れた走破性を発揮する。なおかつ正確なステアリング、優れたボディコントロール、驚くほどの軽快感など、走りの洗練度はとても高い。
7人乗りのシートレイアウトが用意されており、インテリアの質感は高い。「Pivi Pro」という新世代のインフォテインメント・システムを搭載し、高級車レンジローバーにも似た雰囲気を醸し出している。
48Vマイルドハイブリッド仕様もあるが、PHEV仕様の「P300e」は特に洗練され、エンジンとモーターの統合がうまくできている。しかし、電気のみの航続距離は55kmと目立たず、モーターとバッテリーを搭載するためPHEV仕様には7人乗りのオプションがない。
クラス平均を上回る汎用性とオフロードでの堅牢性を備えたファミリー向けSUVを求めるなら、ディスカバリー・スポーツはおすすめだ。ランドローバーのDNAを確かに感じられる1台である。
3. ヒョンデ・サンタフェ
長所:優れたエンジン、広い室内空間
短所:乗り心地が時折不安定、サイズが大きすぎる
低価格車ブランドのイメージが強かったヒョンデは、この10年あまりの間に大きく変化し、高級車も取り扱うまでになった。このサンタフェ(Santa Fe)というモデルを見れば、ヒョンデがどれだけ進化したかがわかるだろう。個性的なルックスと高級感あるインテリアに加え、多種多様なパワートレインを揃えている。
最大の特徴はインテリアだ。多くのライバル車とは異なり、3列目シートでも大人がゆったり座れる広さがあり、乗り降りも簡単だ。トランクは5人乗車時で571L、後部座席を格納すると最大1649Lになる。質感の高い内装材、充実した標準装備、使いやすいインフォテインメント・システムなど、細部の仕上がりも上々だ。
走りは刺激的なものではないが、ステアリングホイールが軽くて正確で、重いSUVボディにもかかわらず、驚くほど落ち着いたコーナリングを見せる。のんびり走っているときは快適そのもので、ファミリーカーには適している。サスペンションは比較的ソフトに設定され、厳しい路面状況ではやや不安定になることもあるが、それ以外では落ち着いている。
個性派のファミリーカーを求めるならヒョンデに軍配が上がる。コストパフォーマンスは高く、ライバル車と比較して広い室内空間と充実した装備を手に入れることができる。
4. ボルボXC60
長所:控えめながら洗練されたデザイン、充実した安全装備
短所:曖昧なハンドリング、鈍重なオートマチック・トランスミッション
2017年に登場したXC60は、今やボルボのラインナップの中で最古参の1つとなってしまったが、魅力的なスタイルはそのまま変わらない。2022年の改良では、大きくアップグレードされた。
走りはオーソドックスだが、快適で使いやすく、ファミリーカーとしておすすめできる点がたくさんある。パワートレインは全車電動化し、「B」シリーズでは48Vマイルドハイブリッドを搭載している。PHEV仕様の「T6リチャージ」および「T8リチャージ」では18.8kWhのバッテリーを搭載し、60km以上の電気航続距離を持つ。
スタイリッシュで落ち着いた雰囲気のSUVをお探しなら、XC60がおすすめだ。
5. BMW X3
長所:優れたエンジン、運転しやすい、高級感のあるインテリア
短所:標準装備が物足りない、燃費は良くない、7人乗りのオプションがない
BMWが本格的にSUVを作り始めるまで、ハンドリングの良いミドルクラスSUVにはなかなか出会えなかった。X3は魅力的な走りを見せてくれる。
エントリーモデルのディーゼルはやや洗練性に欠けるが、上位の「M40d」および「M40i」は力強くなめらかだ。オール・エレクトリックのiX3、PHEV仕様の「xドライブ30e」、最高出力510psを誇るX3 Mなど、バリエーションは非常に豊かである。
ほとんどの人にとって最適なのは従来の4気筒ガソリンとディーゼルだが、3.0L直列6気筒ディーゼルを搭載する「xドライブ30d」は、快適性と燃費において他の追随を許さない。ただ、どのモデルを選んでもステアリングは正確で、ドアハンドルと区別の付かない他車よりずっと幸せになれる。
インテリアはBMWらしい高級感ある作り。近年流行りのタッチ中心のレウアウトではなく、BMWの「iドライブ」など物理コントロールが多く残されている。古典的だが使いやすい。
一部のモデルでは標準装備が物足りないが、他の部分は他車よりおおむね優秀で、トランクも十分に広い。残念ながら7人乗りのオプションはないが、ファミリーカーとしての満足度は高い。
6. スコダ・コディアック
長所:7人乗りのオプションがある、コストパフォーマンス、エンジンが優秀
短所:電動パワートレインがない、3列目シートにISOFIXがない、落ち着きに欠ける乗り心地
フォルクスワーゲン・グループ傘下のスコダの主力モデルであるコディアックは、発売から年数が経っているものの、さまざまな観点からコストパフォーマンスに優れた1台である。
インテリアには高級感のある素材が使われており、予想されるほど安っぽくはない。室内空間の広さは抜群で、エントリーグレードを除く全車で7人乗りとなっている。
ハンドリングも良く、軽快感と安定感を併せ持ち、実際よりも小さいクルマを運転しているような感覚がある。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは低燃費で経済性に優れるが、現行型には電動パワートレインの設定がない。今年発売予定の最新世代では、やっとPHEV仕様が導入される。
高性能モデルのコディアックvRSもあるが、現在搭載されているガソリンエンジンでは力不足で、キャラクターに合っていない。
7. ジャガーFペイス
長所:広い室内空間、優れたインフォテインメント・システム、魅力的な走り
短所:PHEV仕様の効率性は高くない、高価
Fペイスはジャガー初のSUVとして2016年に登場した。優れたハンドリングと広い室内空間、魅力的な外観を持ち、同社のベストセラーに君臨していた(最近は小型のEペイスに抜かれている)。
2021年の改良では、インテリアの大部分が作り直された。モダンで上品な印象になり、素材の質感も優れている。以前のインフォテインメント・システムは不便だったが、使いやすい「Pivi Pro」に変更された。
パワートレインとしては、4気筒のガソリンおよびディーゼル、直6マイルドハイブリッドなど充実している。また、PHEV仕様の「P400e」は、最新モデルでは19.2kWhのバッテリーを搭載し、電気航続距離65kmを実現している。ただ、同クラスのライバルに比べると見劣りしてしまう数値だ。
直6ガソリンの「P400」も素晴らしいが、いかんせん燃費が悪いので、ディーゼルの「D300」が依然としておすすめである。マイルドハイブリッド付きの4気筒ディーゼルは、ドライバビリティと洗練度が高い。
V8を積む「SVR」は、高性能SUVとして見事なパフォーマンスを見せてくれる。しかし、その豪快さと引き換えに、経済性の低さを受け入れなければならない。
8. アウディQ5
長所:優れたエンジン、スマートなインテリア
短所:スタイリングは普遍的、鈍重なハンドリング、多すぎるオプション
アウディQ5のようなオールラウンダーは、欠点を挙げるのが難しい。やや無機質なハンドリングが走りの魅力を削いでしまっているが、多くの販売地域でアウディのベストセラーとなっていることから、人気を妨げることはなさそうだ。
高価ではあるが、実用性は高く、優れた乗り心地と質感を誇る。もう少しスタイルを重視したいという人向けに、クーペスタイルのQ5スポーツバックも用意されている。
2020年の改良では広範囲にわたって変更が加えられており、マイルドハイブリッドや新しいインフォテインメント・システムが導入されたほか、フロントグリルのデザインも刷新された。
売れ筋の「40 TDI」は、快適性、力強さ、運転しやすさを兼ね備えている。2.0Lガソリン「45 TFSI」もパンチの効いたモデルだ。4気筒以上を求めるなら、V6ディーゼルのSQ5のみとなる。
PHEV仕様の「50 TFSIe」は、2.0L 4気筒ターボガソリンと電気モーターで最高出力300ps弱を発生し、特にスムーズな走りを見せる。しかし、電気航続距離は63km程度と、最新のPHEVと比較すると寂しいものがある。
9. セアト・タラッコ
長所:スマートなスタイリング、経済的、優れたインフォテインメント・システム
短所:窮屈な3列目シート、電動モデルがない
フォルクスワーゲン・グループ傘下のセアトが販売するタラッコは、スペインの自動車メーカーらしい情熱的な走りとデザインを特徴としている。前述のスコダ・コディアックとは多くのコンポーネントを共通化しているが、タラッコは全車7人乗りとなる。
走りの切れ味がよく、機敏に感じられるが、このシャープなハンドリングはボディロールと快適性を犠牲にしているようだ。本来なら、この類のSUVでは洗練性をもっと重視するべきだろう。とはいえ、不快に感じる場面は多くないし、これまで実用性のために運転の楽しさを犠牲にしてきたドライバーにとっては、むしろ歓迎されることだろう。
ファミリーカーにしばしば求められる、静かで効率的な電動パワートレインが存在しないのは残念だ。しかし、インテリアの質感は高く、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンも非常に洗練され、燃費も悪くない。価格設定も競争力のあるものだ。
10. キア・ソレント
長所:室内空間は広く洗練されている
短所:経済性が高くない、乗り心地とハンドリングは洗練性に欠ける
キア・ソレントは2002年に登場した初代モデル以来、ずいぶんと進化した。第4世代の最新型は、デザインだけでいえば、高級車と肩を並べられるだけの魅力がある。
インテリアは今回紹介する中でも最も広く、実用的で汎用性が高いモデルである。欠点はほとんどないようにも見える。
しかし、ハイブリッド・パワートレインでは低燃費は期待できず、動力性能もごく平均的なものである。一定速度のクルージングでは十分快適だが、少しプッシュすると、特にボディコントロールやステアリングフィールに「あら」が目立つようになる。
7人乗りSUVとしての最大の強みは、PHEV仕様が選べるという点だ。電気航続距離は56kmで、ライバルには見劣りしてしまうが、通常のハイブリッドよりは好ましい。長距離を走るドライバーにはディーゼルをおすすめしたい。
残念ながら、価格は決して安くない。英国価格は6万ポンド(約1140万円)近くと、昨今の物価高や為替相場を考慮してもお買い得とは言い難い。キアは以前ほどコストパフォーマンスの高いブランドではなくなってきているのだろう。
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