日産セレナがマイナーチェンジし、フロントマスクが新型へ切り替わることになる(8月1日実施予定)。
フロントフェイスが昨今のミニバンの流行にならい、さらに鋭く、そしてギラついた姿へ変更となった。この、セレナのマイチェン後のフロントフェイスがいいか悪いかは別の論議として、どうして自動車メーカーは、こうした「怖い顔」のクルマばかりを作るのだろうか。元開発エンジニアの筆者が考察する。
文:吉川賢一
【ベストカー8月26日号注目記事】自動ブレーキ実地テスト 本当に止まれるのか!?
■なぜ「怖い顔」ばかりを作るのか。
ミニバンや軽自動車を中心に、「怖い顔」が出てきた大きな理由は「差別化=目立ちたい」であろう。
デザインに特徴を持たせ、それを見た人の脳裏に焼き付けたい。そのためにヘッドランプを強烈に吊り上げて、グリルを大きなメッキ調にして、バンパーのエアインテークは過剰なほどに広げ、牙をむいているようなフェイスにする。ひと目見た瞬間に(いい悪いは別として)「なんだこれ?」と思わせて、注目を集めたいのだ。
これまで比較的おとなしいフロントマスクだという印象だった日産セレナだが、2019年8月1日のマイチェン以降、ハイウェイスター(写真右)はかなり「怖い顔」となる
しかし、この10年で、国内海外を問わずあらゆるメーカーが「怖い顔」を採用したため、今やこれが「スタンダード」となってしまっており、普通にやっていては、その効果は期待できない。「怖い顔」のコンセプトでさらに攻め込んだフロントフェイスにするには、もう「違和感」を感じるギリギリを攻めるしかなく、そのギリギリが「カッコいい」のであればいいが、筆者には、すでにNGラインを超えてしまっているクルマもあるようにも感じる。
トヨタ車は2012年ごろから、「キーンルック」と呼ばれる、フロント部分が口を開けたように見えるコンセプト・デザインを導入している。
小型車「オーリス」を皮切りに、トヨタ車のフェイスが徐々に「怖い系」へなっていったのは、皆さんも気が付いているだろう。ベンツやアウディ、BMWといった車型共通のデザインモチーフを持ちにくい「総合商社」的なトヨタがクローバルで戦って勝ち抜くには、こうした「キーンルック」コンセプトによるデザインの統一が、ブランドイメージの認知度を高めていくのには有効なのだ。
「怖い顔」の代表選手であるトヨタアルファード。目立つだけでなく、売れているところからも、ライバルが続々とこのイメージを踏襲するようになった
■「怖い顔」を作れるようになった技術的な事情
怖い顔を特徴づける最大のポイントは、「つり目のようなヘッドライト」であろう。この「つり目」、実は、昔は技術的に不可能だった。「つり目」が可能となった最大の理由は、ライトのLED化である。
昔は、丸いライトバルブのため、丸い形状のヘッドランプが主流であった。小型化をすると光量が不足することもあり2連にしたヘッドランプや、差別化をするためにハウジングを長方形にしたクルマが流行した時もあった。筆者が子供の頃には、四角くて上下に狭いヘッドランプに、「近未来」を感じたものだ。
しかし、ライトバルブを使用すると、小型化やヘッドランプの造形にはどうしても限界がある。
そこに登場したLEDによって、小型化や設計的な自由度が増したのだ。そして、小型のLED素子が集合した特徴を生かして、ひとつずつタイミングをずらして点灯する「流れるライト」も登場することになった。このように、LED化によって、形状以外にも目立たせることができるようになったのだ。
三菱デリカD:5アーバンギア。ヘッドライトにLEDを使用することで、グリルを巨大化し、キリっとした「顔」をデザインすることができた(通常のヘッドライトは縦に並ぶLED)
しかし、お客様の好みは多種多様であり、クルマに求めるのは決して「シュッとしたカッコよさ」だけではないはずだ。丸目、四角目、たれ目、吊り目、昔と違って、技術的にどの形状でもできる現在は、フロントフェイスのデザイナーは本当に悩ましくも、クリエイティブな日々を過ごしているのだろう。
■まとめ
トレンドにのってタイムリーに商品を出すことは、ビジネスの鉄則ではあるが、流行があればその逆に衰退もあるわけで、「勢いのある流れ」がこのまま続くとは限らない。
デザインのトレンドは、ゆっくりではあるが、刻々と変わっていく。
我々が子供の頃に描いていた「2020年頃のクルマ」とはどんな姿をしていただろうか。流れるような「つるん」とした卵のような形状をしたかもしれない。はたまた、ボディ全体が「カクカクした」クルマだったかもしれない。
クルマ開発の「超花形」業務であるデザイナーの方々には、クルマ好きが希望を感じる、10年20年乗り続けても「かっこいいな」と思えるようなフロントフェイスを期待している。
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