ウアイラの後継モデルがついに登場
1992年、わずか25名の従業員でそのヒストリーをスタートさせた、パガーニ・アウトモビリ。アルゼンチンからイタリアへと渡り、ランボルギーニの契約デザイナーとして、またカーボンなどの軽量素材の研究にも従事したオラチオ・パガーニ氏の率いるこのメーカーは、1999年のジュネーブ・ショーで「ゾンダC12」を発表。その卓越したデザイン性とカーボン成型技術によって、一躍世界の第一線に並ぶブランドとして知られるようになった。
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ゾンダ、ウアイラに続く「ユートピア」
パガーニはその後、ゾンダでさまざまなバリエーションを生み出したほか、その後継車として2011年に「ウアイラ」の生産を開始するが、この頃になると従業員数は180人近くになり、機能的なアウト&サイエンスセンターも完成。自動車メーカーとして必要な、デザイン、開発、プロトタイプ製作、生産の仕事は、このセンターとブガッティのアトリエにも似た美しい工場で、優秀な従業員によって行われる体制が整えられた。
このサイズはオラチオにとっては理想的なもので、どのような決定がなされようとも、あるいはどのような方向に創造的なアイデアが向かおうとも迅速に、それを実現することができるのだという。
そのパガーニが2022年9月12日夜(現地時間)、ミラノのテアトロ・リリコで、ニューモデルとなる「パガーニ・ユートピア」のワールドプレミア・イベントを開催した。
世界中から招かれたVIPカスタマーのほかに、ディーラーのスタッフ、そしてパガーニで働く従業員をも招待したこのイベントで使用された音楽は、若き日のオラチオがピアノで作曲したものをミラノ音楽院の交響楽団に委ねたオリジナル曲。その曲にもまたユートピアの題名が掲げられた。
実際に見るユートピアの姿はどうか。一瞬これまでのウアイラの進化型のようにも見えるが、前後方向に流れるラインはより丸みを帯び、アッパーエッジを持つウインドスクリーンからウイングやボンネットに至るまで、そのソフトな輪郭には、完全に新しい表情が与えられていることが、時間とともに理解できてくる。
オラチオにとって最も困難だったのは、その時々の流行に左右されることなく、時代を超えたデザインオブジェクトを作り出すという、当初の意図にできるだけ忠実にあることだったという。
メイド・イン・イタリアにインスパイアされたデザイン
エアロダイナミクスももちろん優秀だ。ボディの上面には目立ったアドオンパーツはないが、これはユートピアがデザインのみによって、より大きなダウンフォースを得ること、そして空気抵抗の低減を実現したことに理由がある。
技術的には先進的ではあるものの、1950年代のスクーター、ベスパの流線型ヘッドランプや、スピードボート、リーヴァの金具などにインスパイアされたディテールを採り入れているのも特徴のひとつといえる。
前後のホイールはフロントが21インチ、リアが22インチ径。これにピレリによる専用開発のPゼロ・コルサが、フロント265/35R21、リア325/30R22サイズで組み合わされる。
リアセクションに目を向ければ、パガーニ・ブランドのシグネチャーでもあるチタン製のクワッドエグゾーストが、リアセンターに確認することが可能。パガーニの伝統はここでもしっかりと守られているのだ。ちなみにセラミックコーティングが施されたこのエグゾーストシステム全体の重量は、わずか6kgしかないという。
ユートピアのエクステリアは彫刻のような美しさに喩えられるかもしれないが、インテリアはさらに独創的なフィニッシュだ。モダンでもレトロでもない、まさに時代を超越したデザイン。
ドライバーの前にある必要最小限のディスプレイを除けばスクリーンは存在しない。大きなスクリーンがあればデザイン上の手間は省けるものの、美しさは損なわれてしまうというのがオラチオの考えだ。すべての計器はアナログ式で視認性は非常に高い。
パガーニの歴代モデルで使用されてきたカーボンモノコックは、もちろんこのユートピアでも継承されている。繊維の織り方を改善し、カーボンチタンやカーボントライアックスといった新しい複合素材を採用。モノコックはウアイラ比で10.5%の捻じり剛性アップを果たしている。さらに、車重は1280kgに抑えられた。
AMG製V12エンジンは864馬力
リアミッドに搭載されるエンジンは、これまでどおりメルセデスAMG社から供給される6L V型12気筒ツインターボだ。最高出力と最大トルクは、それぞれ864ps、1100Nmと発表されており、これにxTrack社と共同開発された7速MTが組み合わされる。
コンパクトな設計のこのギアボックスを横置きすることで、重心を最適化することを実現したことも見逃せないユートピアの特長だ。
ユートピアのファーストモデルとなるクーペ仕様は、99台が限定生産される予定だが、パガーニによればすでに大半が特別なカスタマーへと割り当てられているという。はたして日本への上陸は実現するのだろうか。気になるところだ。
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みんなのコメント
こういう売りっぱなしのアフターメンテ無しの車なんて買わないよ。
金持ちの無知な馬鹿なら買うかも知れないが。