連載第4回目となる日産ヘリテージコレクションの名車紹介では、自動車デザインの革命児であり、レトロフューチャーの原点ともいえる日産パイクカーシリーズの第1弾「Be-1」にスポットを当てたい。
文/大音安弘、写真/池之平昌信、日産
現在のレトロブームの先駆者!? 中古モデルが沸騰した日産「Be-1」は偉大なパイクカー第1弾として誕生!
■レトロブームの先駆けに
1985年10月に開催された東京モーターショーに出展された日産パイクカーシリーズ第1弾のBe-1
今、若い世代を中心に、レコードのようなアナログ機械やちょっと懐かしいデザインの「レトロモダン」の商品や施設がブーム。それは自動車でも同様で、ヤングタイマーと呼ばれる懐かしさを感じるクルマたちの活躍にも繋がっている。
そんな今を振り返ること38年前、Be-1は1985年10月26日の東京モーターショーで世界初公開された。当時の日本車は、新技術による高性能化と高機能化が重視され、急激な進化が望まれていた。そんな時代に、シンプルな心地よさを優先した温かみのあるクルマとして提案されたのである。
当時のリリースには、「日産自動車が現在のクルマ社会に対して心の余裕を持つことを提唱するクルマである」とし、デザインテーマを「人間が失ってはならないやすらぎ、安心感」としていた。内外装は市販モデルに非常に近く、その姿は小粋な欧州車を彷彿させた。
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■ノスタルジックモダンなBe-1のエクステリアデザイン
リアビューもキュートな印象のBe-1
ベストカー1985年12月10日号の「東京モーターショー」関連記事では、未来派省エネモデルの1台として、「超現実来な現代の小型大衆車に対するアンチーゼ」として紹介。生産車に反映される新技術の提案は少ないが、クルマ自体がマーチのバリエーションになる可能性がある」と市販化への期待を示していた。
実際に東京モーターショーでの反響の大きさから、日産は市販化を決断したとされる。
待望の市販車の発表は1987年1月13日に。リリースには、「モーターショー展示車を可能なかぎり忠実に再現」したとある。その特徴的なデザインのテーマは、「ノスタルジックモダン」とし、基本的構造こそ初代マーチからの流用であったが、内外装は完全に専用化。
特にボディパネルには、世界初となる鋼板と同時に焼付塗装が可能な熱可塑性樹脂「Fkex Panel」をフェンダー及びフロントとリアに使用し、特徴的なデザインを実現させるだけでなく、耐久性も高めていた。パワートレーンは1L直4OHCエンジンに、5速MTと3速ATが選択可能。
■PR手法もユニーク、当時の若者の心をつかんだBe-1
Be-1ショップが当時の南青山にオープンし、Be-1の実車以外にもアパレルなどのグッズが販売されていた
さらにユニークだったのが、PR手法だ。Be-1の世界観を満喫できる「Be-1ショップ」を南青山にオープン。実車展示に加え、アパレルなどのBe-1グッズの販売も行われていた。販売は、月販400台限定で、販売期間は2年とされ、限定1万台という計画であった。その価格は、標準ルーフ車が、129万3000~134万8000円、キャンバストップ車が、139万3000~144万8000円であった。
発売が発表されると、Be-1を手に入れよと、全国の日産ディーラーには購入希望者が殺到。発売直後となるベストカー1987年3月10日号では、そのフィーバーぶりを「クルマ界の新人類Be-1快侵撃」の見出しで伝えている。
その内容を抜粋すると、「ディーラーでの競争率が高い地域があり、群馬県内で16倍、愛知県では48倍に達している」、「顧客の中心が20代で、全体の25%が女性」などと全国で人気が高く、さらに若者の心をしっかりと捉えていたことが伺える。
結果的に、早々に予約台数は埋まることになり、実用車ながら、プレミア価格の中古車が流通するまでの大ブームに。この成功が、後のパイクカーシリーズ「パオ」や「フィガロ」へと続いていく。
■ヘリテージコレクションにはリリーフカーが!
座間のヘリテージコレクションに収蔵されているリリーフカー仕様のBe-1
日産ヘリテージコレクションには、標準車とキャンバストップの両方が収蔵されているが、今回、ご紹介するのは、当時、最も有名なBe-1ともいえる「Be-1横浜スタジアムリリーフカー」だ。同車は、発売と同時に、横浜ベイスターズの本拠地である横浜スタジアムに配備され、活躍したものである。
新車時のトマトレッドのままと思われるボディは、大胆にルーフと全面ガラスがカットされたフルオープン仕様で、後席まで取り払われている。ボンネットには、PR用に「NISSAN Be-1」の巨大なステッカーが張られているが、ひと目で「Be-1」とわかる愛嬌たっぷりのスタイルはキープ。
シートは、フロントの2座のみとなるが、マウンドまで送迎する救援投手が観客からよく見えるように、床面が一段高くなっているのも専用仕様のひとつ。シートは、ベースのものが流用されるが、雨天利用も想定し、フルビニールカバーが施されている。このため、新車当時のシートの色や風合いを見ることができる。
車内を確認してみると、トランスミッションは、3速ATで、ダッシュボードは市販車のまま。その洒落たホワイトメーターを確認してみると、走行距離は約1100kmと非常に少なかった。
走るコースは、マウンドとの往復くらいのものだから、それも当然か。その現役稼働期間はわずか2年と短いものであったが、同期のエスカルゴのリリーフカーとともに、ゲームの盛り上げ役として活躍した。
■現在のリリーフカーの座はリーフに継承
Be-1のリリーフカーの横には初代リーフのリリーフカー仕様も並んでヘリテージコレクションに展示されている
2007年より日産自動車は再び横浜スタジアムに、リリーフカー仕様の日産リーフを提供している。ただ、現在活躍中のものは現行型ベースの2代目に切り替えられており、初代リーフベースのリリーフカーは引退ずみ。
現在は外装のデカールなどが取り払われているが、日産ヘリテージコレクションに収蔵されており、Be-1リリーフカーとともに仲よく展示されている。
大量生産されたベースの初代マーチはすっかり見なくなったが、Be-1は大切にされていた固体も多いようで、今も中古車として状態のよさそうなものが流通している。
今のクルマは、ちょっと愛嬌にあふれたクルマが少ない。先進技術だけでなく、再び愛らしいパイクカーにも挑戦して欲しいと思うのは、私だけではないはずだ。
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