英国紳士のように能力をひけらかさない
ジャガーXFRは、エアアウトレットの切られたボンネットの内側に、特別なエンジンが載っていることを過度には主張しない。同時期のE60型BMW M5やマセラティ・クアトロポルテのように、あからさまな変更は加えられなかった。高速なジャガーとして。
【画像】高性能は「ひけらかさない」 ジャガーXFR ベースのXF 生産終了が迫る現行型とXEも 全94枚
ハンサムな姿はそのままに、専用のボンネットやホイールナットで、控えめに差別化。本物の英国紳士と同じく、能力をひけらかすことはない。後ろ姿は、4本出しのマフラーカッターで凄みを利かせていたが。
エンジンは510psを発揮する5.0L V8スーパーチャージャーで、発情期のオスライオンのように、勇ましい唸りを放つ。最高速度は249km/hへ自主規制されていたが、0-100km/h加速4.7秒という俊足から、それ以上の余裕があることは明らかだった。
最速のスポーツサルーンへ躍り出るべく、当時のジャガーの本気が落とし込まれていた。だが速さ以上に、最大の特長といえたのが洗練性。圧倒的なパフォーマンスを、平然と披露してみせた。
サスペンションには、アダプティブダンパーを採用。ニュルブルクリンクでは岩のように引き締めることもできたが、ロンドンの傷んだ一般道では、しなやかに衝撃を吸収できた。当時は、他に例のない二面性を備えていた。
洗練されたクラス最強サルーン
ステアリングレシオはショート化され、ブレーキはフロントに380mm、リアに376mmのディスクを採用。リミテッドスリップ・デフにピレリPゼロ・タイヤが組み合わされ、2009年のAUTOCARでは、ドライコンディションでM5を超える速さを見せつけた。
スプリングはノーマルのXFより30%硬く、車高はダウン。理想的な道へ出くわしたら、扱いやすい操縦性を探求することも可能。豪快なパワースライドも許容した。
スタイリングと同様に、インテリアも主張は控えめ。ノーマルのXFの車内へ、僅かにスパイスを効かせた程度といえた。専用ステッチのレザーシートと、305km/hまで振られたスピードメーターが目立った違い。「R」のロゴが、随所に施されてもいる。
脈打つように光るスタートボタンや、システムオンで立ち上がるダイヤル式のシフトセレクター、回転するエアコンの送風口などは維持。特別感の香るディティールを、堪能するのも悪くない。
インフォテインメント・システムは、当時でも時代遅れだった。燃費も悪い。とはいえ、5.0L V8スーパーチャージャー・エンジンを積むサルーンとして、求めるものは別にあるはず。
21世紀の英国が、洗練された世界最強クラスのサルーンを生み出すことを証明した、ジャガーXFR。中古車になっても、その輝きは薄れていないと思う。
新車時代のAUTOCARの評価は
辛口のAUTOCARでも、ジャガーXFRは満点評価を与えるのに相応しい。動的特性の幅が、非常に広いことが最大の特長。並外れた仕上がりのサルーンだといえる。
高級車らしく、洗練された長距離クルージングの質感は特筆に値する。それでいて、BMW M5を簡単に打ち負すパフォーマンスも披露する。(2009年5月27日)
オーナーの意見を聞いてみる
ジョーダン・マンスフィールド氏
「英国車がお好きなら、XFRとの暮らしを想像したことが1度はあるのでは。魅力的なスタイリングとパワーだけでなく、不具合も、当時のJRLのモデルが備えるすべての特長が詰まっています」
「標準のXFと比べて、見た目の違いは限定的。しかし、エンジンとエグゾーストノートは、落ち着いた印象を塗り替えるほどエネルギッシュ。控えめにアップグレードを施すと、その喜びは一層高まりますよ」
「動力性能と普段使いの実用性が、見事に両立できるサルーンです。当時のJLRとして、メンテナンスに割ける資金を用意できれば、ですが」
購入時に気をつけたいポイント
燃料漏れ
特に2010年式から2011年式では、燃料タンクのアウトレットパイプからガソリン漏れする場合がある。接続部分が錆びると、症状は悪化する。一部の年式にはリコールが出されているので、予め確認したい。
エンジン
タイミングチェーン式だが、摩耗しやすい材料が用いられ、コマ飛びする場合がある。始動時にガラガラとノイズが聞こえたり、パフォーマンスに関する警告がメーターパネルに表示される場合は要注意。
ウォーターポンプは3万kmほどで交換が必要。クーラントが内部のベアリングを腐食させることが原因。サビの粉が循環し、他の冷却系統にもダメージを与えてしまう。ポンプ周辺からのクーラント漏れや、減りが早い場合は、交換を検討したい。
エンジンと補機類を結ぶ、ホースやパイプに用いられるプラスティックが割れやすい。特に冷却系統の部品は弱く、1か所の破損でも、一式交換した方が長い目で見た場合は作業コストを抑えられる。
サスペンション
リア・サスペンションのコントロールアームが駄目になりやすい。ステアリングが安定しなかったり、不自然な振動が生じたり、リアからカタカタと異音が出る場合は、それが原因かもしれない。
ホイール
見た目の良い20インチ・アルミホイールだが、タイヤのサイドウォールは薄く、ガリキズを付けやすい。傷が多く、補修されていない場合は、それだけ丁寧に乗られていなかった証拠といえる。サスペンションへのダメージにも繋がる。
知っておくべきこと
XFRは不具合が少なくないかもしれないが、英国の場合、多くのライバルと比べて整備費用は高くない。エグゾーストシステムの交換は、触媒を除いて850ポンド(約16万円)。フロントのショックアブソーバーも、1本200ポンド(約4万円)程度だ。
古いインフォテインメント・システムが気に入らない場合は、アンドロイドなどで稼働する、アフターマーケットのタッチモニターが売られている。価格もさほど高くない。
英国ではいくら払うべき?
7000ポンド(約130万円)~8999ポンド(約166万円)
走行距離が伸びていたり、少々派手に改造されたXFRが英国では出てくる価格帯。自身で整備する自信がない限り、手を出さない方が無難だろう。
9000ポンド(約167万円)~1万999ポンド(約203万円)
英国では、走行距離16万km以下のXFRを探せる。オプション多数の例も含まれる。
1万1000ポンド(約204万円)~1万3999ポンド(約258万円)
整備記録がしっかり残り、状態の良いXFRをお探しなら、英国ではこの価格帯から。中には販売店の保証が付帯することも。
1万4000ポンド(約259万円)~1万7999ポンド(約332万円)
走行距離が8万kmを切る、フェイスリフト前の状態の良いXFRが出てくる。フェイスリフト後では、10万km以下程度まで距離は伸びる。
1万8000ポンド(約333万円)以上
走行距離が短い、フェイスリフト後のXFRはこの価格帯から。
英国で掘り出し物を発見
ジャガーXFR 登録:2010年 走行距離:16万4200km 価格:1万245ポンド(約190万円)
走行距離は長いものの、状態は良いようだ。ボディカラーは理想的。ライトブラウンのウッドパネルとダークグレー・レザーのインテリアも好ましい。典型的なジャガー・コーディネートといえる。
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みんなのコメント
これが高級車というものか。
記事にもある冷却系ですが、何故か5リッターになってからやたらと漏れます。
何度直してもダメ。
これは同じエンジンのXKR(X150)も同じ。
4リッター、4.2リッターの時は問題ありませんでした。