4月16日、WEC世界耐久選手権の2023年第2戦『ポルティマオ6時間レース』がポルトガル南部のポルティマオ近郊に位置するアルガルベ国際サーキット行われ、トヨタGAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が今季初優勝を飾った。
2番手には開幕戦ではも速さを見せたフェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499P(アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)が入り、3番手にはポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963(ケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントール)が続いた。ポルシェはトップカテゴリー復帰2戦目にして、ポルシェ963での初表彰台となった。
2番手スタートだったトヨタ7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)には不運なトラブルが襲い、序盤にして大きくポジションを下げたが、総合9位まで順位を回復しフィニッシュしている。
全車がオレカ07・ギブソンのパッケージで争うLMP2クラスでは、最終ピットストップで逆転に成功したユナイテッド・オートスポーツ23号車(ジョシュ・ピアソン/ギド・バン・デル・ガルデ/オリバー・ジャービス)が優勝。ユナイテッドは2位に22号車が続き、ワン・ツー・フィニッシュを遂げた。
LMGTEアマクラスは、最終ラップでもなおサイド・バイ・サイドにとなる僅差のトップ争いを制し、コルベット・レーシングの33号車シボレー・コルベットC8.R(ベン・キーティング/ニコラ・バローネ/ニッキー・キャツバーグ)が開幕2連勝を決めている。
※レース前半の詳報はこちら
■トヨタ7号車が不運により脱落
予選でポールポジションを獲得した8号車トヨタのスタートドライバーはセバスチャン・ブエミ、7号車トヨタはマイク・コンウェイ。スタート直後は7号車がリードを奪い、51号車フェラーリ499Pのジェームス・カラドが2番手へと浮上する。
8号車ブエミはすぐに2番手のポジションを回復。トヨタがワン・ツーの状態で周回を重ねていくが、1時間15分が経過したところでドライブシャフトのトルクセンサーの不具合により、7号車にはレースコントロールからピットイン・部品交換の指示が出た。このセンサーはBoP(性能調整)の出力値管理などのため、FIAヘリアルタイムでデータを供給するためもの。ガレージでの修復作業により、7号車には7周のおくれが生じてしまう。
これにより8号車トヨタが首位、約35秒後方に50号車フェラーリ、その6秒うしろに51号車フェラーリが続く形に。
2時間経過を前に、50号車はミゲル・モリーナへ、51号車はアントニオ・ジョビナッツィへとドライバーチェンジ。次の周にトヨタ8号車とポルシェ2台がピットへ向かい、トップ8号車は平川亮へ交代。6号車ポルシェはケビン・エストーレへと替わり、フェラーリ2台に次ぐ4番手でコースに戻っている。
このあと、トラブルを抱えているとみられる51号車フェラーリのペースが落ちていき、2時間30分を前に6号車ポルシェがこれをとらえ、3番手へ浮上する。数分後、51号車はルーティンより早いタイミングでピットへと戻って給油を行い、以降ピットシークエンスが上位勢とオフセットしていく。
3時間経過直前、トップ3台は相次いで3度目のルーティンピットを行い、順位の変動なく後半戦へと突入していった。
■4時間経過後、ハイパーカー勢にトラブル連発
3時間半経過を前に、大きく遅れている7号車トヨタがルーティンピットへ。チーム代表を兼ねる可夢偉がコースへと向かっていった。
ピットタイミングがオフセットしている51号車フェラーリがルーティン作業を行うと、94号車プジョー9X8が4番手に浮上。ピットアウトした51号車のアレッサンドロ・ピエール・グイディは、5号車ポルシェのフレデリック・マコウィッキを攻め立てる。
この6番手争いに追いついた首位平川は、このラップダウン2台を慎重にパスしていく。その直後、1コーナーでピエール・グイディがマコウィッキのインに飛び込み、6番手を奪う。
3時間57分が経過したところで、2番手の50号車フェラーリと首位8号車トヨタがピットへ。8号車は平川からブレンドン・ハートレーへとドライバーチェンジ。タイヤも4輪を交換する。50号車はアントニオ・フォコがコースへ向かった。続いて6号車もルーティンピットへと向かい、アンドレ・ロッテラーへと交代した。
4時間経過目前、直前まで激しい6番手争いを展開していた5号車ポルシェのマコウィッキが突如スローダウン、ピットへと向かった。ルーティン作業をこなし、ミカエル・クリステンセンに交代しコースに戻っている。
4時間経過時点で、8号車トヨタは50号車フェラーリに対し60秒以上のリードを築いていた。ここから、ハイパーカークラスの車両に相次いでトラブルが降りかかる。
まずはジャック・ビルヌーブがドライブする4号車ヴァンオール・バンダーベル680がコース上にストップ。しかししばらくすると走行を再開、レーシングスピードを取り戻している。
続いて7番手を走行する5号車ポルシェのクリステンセンから、「パワステを失った」との悲痛な無線が。これでクリステンセンはマシンをピットへ戻した。
さらに7号車トヨタにも再び悲劇が。ピット入口先のピットロード上でマシンを止めた可夢偉は、システムを再起動。再び走り出して、ピットロード出口寄りの自ピット前でルーティン作業を行うこととなった。
4時間54分、ターン11で4号車ビルヌーブがスピンアウトし、バリアにリヤから接触。ビルヌーブはブレーキトラブルに見舞われていたようだ。これにより、このレース初めてのセーフティカーが導入される。なお、ビルヌーブは自力でマシンを降りている。
首位8号車はこの時点で2番手に1ラップの差をつけていた。残り53分というタイミングでセーフティカーが解除となると、首位8号車は最後のルーティンピットへ。続いて50号車、6号車も作業を行う。
残り30分を切り、ターン5で5番手走行中の51号車がコースアウト。どうやらブレーキトラブルが影響しているようだ。ピエール・グイディはペースを落としながら、チェッカーを目指した。
さらに3番手安泰かと思われていた6号車ポルシェのロッテラーにも緊張が走る。残り11分を切ってからピットへ飛び込むと、スプラッシュの給油を行う。背後の2号車キャデラックVシリーズ.Rとのギャップが気に掛かるところだったが、ロッテラーはピットアウト後も3番手をキープすることに成功した。
8号車トヨタのハートレーは最後まで危なげなく走り、トップチェッカーを受けた。2位に1ラップおくれで50号車フェラーリ、3位に6号車ポルシェが続く結果となった。開幕2戦で安定したリザルトを残した8号車トヨタの3人が、ランキングでは暫定首位に立っている。
■LMP2は終盤までクビアト組63号車がリード
予選でポールポジションを獲得したプレマ・レーシング63号車は、ドリアーヌ・ピンがスタートを担当。フロントロウに並んだベクター・スポーツの10号車は、ライアン・カレンがスタートを切った。
オープニングラップではチームWRT31号車のショーン・ゲラエルが首位に浮上。ピンは徐々に順位を下げ、代わってユナイテッド・オートスポーツの22号車、23号車が表彰台圏内へとポジションを上げてくる。
開始24分時点で22号車のベン・ヘンリーがゲラエルを交わしてトップに浮上、続いて23号車のギド・バン・デル・ガルデも2番手へ浮上し、各車が最初のルーティンピットを終えるとバン・デル・ガルデが首位に立った。
2時間経過を前に、23、22号車の順でユナイテッドはワン・ツーを形成。その背後にはプレマ63号車のダニール・クビアトがつけていたが、クビアトはラップダウンの10号車と接触。10号車がスピンしてしまう。これにより、次のピット作業において5秒のストップタイム追加のペナルティが言い渡された。
レース折り返しの時点でも、トップは23号車。これに63号車が続く。しかし4時間が経過したところで、首位の23号車にピットでの違反があったとのことで、次のピット作業の際に5秒ストップのペナルティが発出される。この時点で2番手63号車とのギャップは約5秒と、首位争いが読めない展開となる。
果たして、5時間経過を前にしたルーティンピットを終えると、63号車クビアトが首位へと浮上、23号車のオリバー・ジャービスが数秒差で追う形に。ここで4号車のクラッシュによるセーフティカー導入となる。
残り36分を切ったあたりから、各車は最後のピット作業へ。トップ3では、3番手の22号車が最初にピットへと飛び込む。続いて暫定首位の63号車、そして最後に23号車が給油へ向かった。
ここで23号車が63号車を逆転し、トップへ。22号車も続き、ユナイテッドがワン・ツーを形成することに。さらに実質3番手でコースに戻っていた63号車のクビアトは、コース上でWRT41号車のルイ・デレトラズにオーバーテイクを許し、ポディウム圏内から脱落してしまう。
デレトラズはさらに2番手の22号車に迫っていくが及ばず、ユナイテッドがワン・ツーを達成、チームWRT41号車が3位に続く結果となった。
■LMGTEアマ:最終ラップでサイド・バイ・サイドの首位争い
クラスポールのコルベット・レーシング33号車シボレー・コルベットC8.Rではベン・キーティング、2番手アイアン・デイムス85号車ポルシェ911 RSR-19はサラ・ボビーと、多くの陣営がブロンズドライバーでスタートを切ったLMGTEアマクラス。
日本勢ではケッセル・レーシング57号車フェラーリ488 GTE Evoで木村武史、Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMRでは星野敏がスタートを担当する。
1周目には4番手スタートだったAFコルセ21号車フェラーリのディエゴ・アレッシが首位に。背後にキーティングとボビーがつける展開となった。接近戦を繰り広げたキーティングとボビーだが、45分を前にボビーの85号車が先行する。
2時間目に入ると、この2台の2番手争いにリシャール・ミル・AFコルセ83号車フェラーリのリル・ワドゥが追いつき、一気に2番手へと浮上する。ワドゥはさらに21号車を攻略し、トップに立った。
2回目のルーティンピットが終わると、85号車ポルシェが首位へ。33号車コルベットがこれに続く展開となる。
3時間が経過してレース後半に入ると、ニコラ・バローネに代わった33号車コルベットが僅差で85号車ポルシェの前に立つ。クラス3番手は83号車となったが、オフィシャルからはドアが開いているとの報告が。また、85号車のラヘル・フレイも単独スピンから復帰する場面が見られるなど、予断を許さない展開が続いた。
さらに85号車はミシェル・ガッティングに交代した後、83号車のアレッシオ・ロベラのチャージを受けることに。4時間22分経過時点で、2番手の座を83号車に明け渡すこととなった。
さらにロベラはトップを走るコルベットのニッキー・キャツバーグに迫っていくと、ここで4号車のクラッシュによるセーフティカーが導入。このセーフティカー明けに各車は最後のピット作業を相次いで行い、キャツバーグは首位をキープする。
しかしチェッカー目前、ロベラは再び強烈なチャージを見せ、キャツバーグのテールに迫る。テール・トゥ・ノーズの戦いが数周にわたって続き、最終ラップのターン5ではサイド・バイ・サイドのブレーキング競争が繰り広げられたが、キャツバーグが辛くも首位を守り、0.260秒差でフィニッシュラインへ逃げ切った。3位には、アイアン・デイムスの女性ドライバートリオが入っている。
日本勢では開始から35分、木村の57号車に、Dステーション・レーシング777号車との接触の原因があるとして次のピットストップで5秒ストップ追加のペナルティが科せられるなど、思いどおりにはいかない展開に。57号車はクラス10位でチェッカーを受けている。
また、Dステーション777号車は藤井誠暢に代わった直後にガレージインし、メカニカルトラブルによりリタイアとなっている。
次戦、WEC第3戦は4月27~29日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで行われる。
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みんなのコメント
トヨタ独走と言うが寧ろこっちの方がスゴイと思ってしまう
プジョーは良くて、トヨタは交換では不公平でしょう。
対応が待たれるな。