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加速する日本の燃料電池トラック トヨタと日野の共同プロジェクトを見る

掲載 更新 14
加速する日本の燃料電池トラック トヨタと日野の共同プロジェクトを見る

 トヨタ自動車と日野自動車は、2020年3月に燃料電池大型トラックの共同開発を発表。同年10月には、22年春頃より一般道での走行実証を行なうと発表した。

 同走行実証には、トヨタ、日野、アサヒグループホールディングス、西濃運輸、NEXT Logistics Japan(NLJ)、ヤマト運輸の7社が参加。各社の物流業務に燃料電池大型トラックを導入し、実際の現場で働きながら、その実用性などを検証する内容となっている。

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 燃料電池電気自動車(FCEV)は、大型トラック電動化の大本命といわれるだけに、トヨタと日野の共同開発プロジェクトは大きな注目を集めそう。両社がアメリカで行なっているもう一つの燃料電池大型トラック共同開発プロジェクトとともに、その具体的な中身を紹介しよう。

文:多賀まりお、「フルロード」編集部
※2020年6月15日発売「フルロード」第37号より

[gallink]

■トヨタと日野が共同開発している燃料電池大型トラックの実力とは?

トヨタ新型MIRAIに搭載されている「トヨタFCスタック」。共同開発している燃料電池大型トラックにはこれを2基搭載する

 トヨタと日野が共同開発する燃料電池大型トラックは、日野プロフィアのなかでも多くが長距離輸送に使われるFR系GVW(車両総重量)25t級の長尺カーゴ車型(単車)がベース。全長12m級の大型トラックで、発表資料ではバン型架装となっている。

 パワートレーンは、トヨタ新型MIRAI用「トヨタFCスタック」を2基搭載し、リチウムイオンバッテリーを介して交流同期型電動機を駆動。水素は新開発の大容量高圧タンク(70MPa)に貯蔵される。航続距離は都市間・市街地混合モードで約600kmが目標だ。

2019年6月発売の日野プロフィアハイブリッド。同車両に搭載された世界初のハイブリッド制御技術は燃料電池大型トラックの航続距離確保にも寄与しそうだ

 日野によると、航続距離確保のポイントとなるのは大型トラック専用に開発された大容量高圧タンクと、その搭載技術。動力性能と電費性能(電力量の消費率)に関しては、FCEVとEVの組み合わせ制御技術にあるという。

 日野は2019年発売の日野プロフィアハイブリッドの開発において、架装性確保のためバッテリー搭載量を最小限にしたうえで、最大限の省燃費効果を得るべくAIを活用した勾配先読み制御など長距離輸送を想定した緻密なハイブリッド制御を盛り込んだ。

 FCEVには燃料電池とモーター間のバッファやエネルギー回生に用いる二次電池が搭載されるが、こうした既存のノウハウも二次電池の容量検討にあたっての需要な開発要素となりそうだ。

■走行実証の具体的な中身と北米での燃料電池大型トラック開発

来年春頃より開始予定の走行実証のルート図。トヨタが中部圏、そのほかは関東圏で実際の物流業務にFCトラックを導入する

トヨタが導入するFCトラックの中部圏における実証実験のルート

 トヨタと日野の燃料電池大型トラックの開発は、試験車両によるテストコース走行ののち、22年春頃に走行実証をスタートする予定。同走行実証の走行ルートには一般道も含まれる。

 その内訳は以下の通り。まず1つ目はアサヒグループとNLJが共同で実施。アサヒビール茨城工場でビールや清涼飲料、同平和島配送センターで洋酒やワインなどを積載。NLJ相模原センターで荷降ろしし、関西からの荷物を引き取って茨城工場に戻る。

 2つ目は西濃運輸東京支店から相模原支店・小田原支店への拠点間輸送、3つ目はヤマト運輸羽田クロノゲートベースと群馬ベース間での宅配便等の拠点間輸送で、4つ目は愛知県内のトヨタの各工場とトヨタ飛鳥物流センターの拠点間での部品輸送となっている。

ZEV規制の商用車への適用拡大の動きとトヨタ/日野の新たなFCVトラック

トヨタと日野が北米市場向けに開発している燃料電池大型トラックのプロトタイプ。クラス8のセミトラクタ(6×4駆動)車型だ

 米国カリフォルニア州は20年6月、州内で販売される自動車に対し一定の比率で排出ガスを出さないBEVやFCVであることを義務付けるZEV(ゼロエミッションビークル)規制の対象を商用車に拡大するとともに、最終的に2045年に中大型トラックの全車をZEV化する指針を発表。

 これに対して連邦政府の反発などさまざまな動きが続いているが、アメリカの大型トラックがZEVに向かうことが確認されたことは注目だ。

 そんななか、トヨタと日野は北米市場向けに燃料電池大型トラックの開発に共同で取り組むと発表。今年8月には、日本より一足先にプロトタイプ(クラス8セミトラクタ)を発表した。

 同車両は、日野が北米に投入している新型「HINO XLシリーズ」のシャシーをベースに、トヨタの燃料電池技術を組み合わせたもの。なお、日野は上記FCVトラクタとは別にクラス4~8のBEVトラックも開発予定。22年より実証実験を開始し、24年には量産開始を見込んでおり注目だ。

[gallink]

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みんなのコメント

14件
  • 大型トラックの燃料電池かぁ 凄い!
  • サービスエリアでのトラックのアイドリングが無くなる・・夢のようです。早く排ガスと騒音から解放されてゆっくり休憩がしてみたいですね。EVの軽商用車の様に中国に負けるな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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