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レクサスが次世代EVの全貌を公開!「LF-Z」が「期待大」な理由を渡辺慎太郎が解説

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レクサスが次世代EVの全貌を公開!「LF-Z」が「期待大」な理由を渡辺慎太郎が解説

Lexus LF-Z Electrified

レクサス LF-Z エレクトリファイド

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実は“どこより早く”電動化に着手したレクサス

去年から今年にかけて、自動車メーカー各社が電動化を見据えた将来的なロードマップを相次いで発表しているけれど、レクサスからもようやく青写真が示された。その内容は大きく分けて3つ。BEVのコンセプトカーとプロダクト・ポートフォリオと創造的なクルマ作りである。

レクサスの電動化は2005年のRX400hから始まっていた。いまから15年以上も前のことだから、プレミアムブランドの中では「どこよりも早く」という表現を使ってもいいかもしれない。2021年現在では世界約90の国と地域で9車種のハイブリッドとEVを販売していて、2020年末時点での累計販売台数は約193万台にも及ぶという。

他社に先駆けた電動化や近々200万台を達成しそうな勢いの電動車の販売台数が実現できるのは、“THS”と呼ばれるトヨタのハイブリッドシステムを使うことができたからに他ならない。一方で、ガソリンエンジンと2モーターのTHSの間に存在するような、欧州メーカーが積極的に導入している1モーターのBSGやISGのようなパワートレインは持ち合わせていない。

加えてディーゼルエンジンのラインナップのない現時点では、BEVのUX300eを除けばガソリンエンジンかハイブリッド然としたTHSの二択しかなく、このままレクサス全車を電動化するとしたら相当の時間を有することになる。

新しいハイブリッドが登場する可能性も

レクサスは2025年までに10車種以上のEV/PHV/HVを含む約20車種のニューモデルや改良型を投入して全車種に電動車を設定するそうだが、「すべての個車」ではなくあくまでも「全車種」なので、2025年時点でもガソリン車を併売することになる。過日発表されたメルセデスの新型CクラスはすべてのグレードがISG仕様となりすでに100%電動化を果たしているだけに、レクサスのパワートレイン戦略に関しては「このままで大丈夫だろうか」とちょっと心配になる。

しかしハイブリッドに関してはそれこそ「どこよりも早く」から取り組んできた経験と実績があるわけで、ひょっとすると新しいハイブリッドが今後登場するかもしれない。なお、2050年にはすべてのモデルにおける材料製造/部品・車両製造/物流/走行/廃棄/リサイクルの各段階を含めたクルマのライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを目指すことも同時に発表された。

レクサストップの気になる“匂わせ”発言

こうした“エコ”関連のプレゼンの中にサラッと紛れていたのが「クルマの操る楽しさを提供し続けるスポーツモデル」「新しいショーファーの在り方」「これまでにない新ジャンルのモデル」といった「ん??」と思わず前のめりになるような気になるニューモデルたちである。レクサスの佐藤恒治プレジデント/チーフ・ブランディング・オフィサーは「我々はカーボンニュートラル社会の実現という社会的使命を果たしながら、クルマがもたらす楽しさ、喜びをこれからも提供し続けることで、お客様やレクサスに携わるすべての皆様の幸せと笑顔に貢献してまいります」と述べている。

レクサスの新しいブランドバリューと乗り味を世に知らしめ、世界的に好評を博しているLCのチーフエンジニアでもあった彼のこの言葉の裏には、「電動化はもちろんやりますけど、皆さんをワクワクさせるようなアメイジングなモデルも投入するつもりなので期待していてくださいね」というメッセージが隠れているように思った。

まったく新しいEV専用プラットフォームを導入

“LF-Z Electrified”は、2025年までの実現を目標とするBEVのコンセプトカーだという。どれくらいの方が覚えているか定かではないけれど、レクサスは前回2019年の東京モーターショーで“LF-30 Electrified”と呼ぶコンセプトカーをお披露目していた。LF-ZはLF-30をより具現したモデルで、まったく新しいEV専用のプラットフォームを有している。

エンジンを積まないことで実現できる低いボンネットや、前後のオーバーハングを切り詰めてタイヤを車体の4隅に置くパッケージなどは、いずれもEVならではのものである。実車をまだ見ていないし、自分はデザイン的センスや美的センスに欠ける人間だと思っているので、このクルマが格好いいとか美しいとかはよく分からないけれど、これまでさまざまなメーカーがEVのコンセプトモデルを発表してきたあとで目にするレクサスのそれに、目新しさや斬新性や提案などはあまり感じられなかった。

キャビンのコンセプトは“手綱(たづな)”

これはレクサスに限ったことではないが、既存モデルのコンバートではなく専用のプラットフォームが与えられたEVは、エンジン搭載モデルよりもパッケージやデザインの自由度がずっとあるはずなのに、BMWのi3を除けばどれも「フツーのクルマの格好じゃん」と自分なんかは残念に思ってしまう。

手綱だけでコミュニケーションが図れる人と馬の関係性からインスピレーションを受けた「Tazuna」と呼ぶコンセプトのインテリアは、エクステリアに比べると斬新で現実よりもまだ若干遠いところにあるように窺える。一方で、ARを採用したナビゲーションやタッチパネル、音声コミュニケーション機能やデジタルキーなどはすでに量産化しているメーカーもある。もしこれが今年発売の量産型だったらそれなりのインパクトを与えただろうが、そうではないので、少なくとも装備品の新鮮味は薄い。

先進の4駆機構とステアバイワイヤを採用

デザインや装備よりも気になるのは「DIRECT4」と呼ばれる4輪駆動制御技術とステアバイワイヤである。LF-Zは前後にそれぞれひとつずつのモーターを積み、前後の駆動輪を独立して制御することにより、状況に応じてFF/FR/AWDを変幻自在に切り替えるという。また、ピッチやロールなどのクルマの動きを駆動力を使って意図的に促すことにより、スムーズな荷重移動やヨー方向のコントロール性の向上も狙っているそうだ。ステアバイワイヤはこのDIRECT4との協調制御も行い、ステアリング/前輪のそれぞれの操舵角の最適化を図り、ドライバーがクルマと繋がっていることを実感できるようなハンドリングを目指している。

ステアバイワイヤといった先進技術は、これまで機械的に動かしていたものをある意味“仮想的”に動かすわけで、その制御はうまくやらないと違和感や不自然さ満載になってしまう。それを払拭するにはより徹底的に走り込んで開発をする必要がある。そんなこともきっと想定しているのだろう。レクサスは2024年から新たな事業拠点での開発をスタートさせる。すでに一部のテストコースの運用が始まっている“Toyota Technical Center Shimoyama(以下、TTCSと略す)の敷地内に“LEXUS棟”を開設し、1階はガレージ、2階はオフィスエリア、3階はデザインエリアとして、レクサス車の開発のほぼすべてを集約させるそうだ。

「電動化=つまらないクルマ」の方程式を覆せ

これまでレクサスの開発部隊は主に東富士研究所と本社の2ヵ所に分かれていたが、これを1ヵ所に集約することにより「作ったら走って評価して改良してまた走る」が容易に繰り返しできる環境を整えるという。LEXUS棟の他にも、社外ビジネスパートナー(=サプライヤーなど)との共創を図る“メッセ棟”を開設。レクサスに携わる社内外のメンバーが目的を共有し、垣根を越えてオープンかつ迅速なクルマ作りができる場を目指すそうだ。

「電動化」という言葉には、「クルマがつまらなくなる」という明確な根拠なき失望感を人々にもたらすようなムードがある。「Lexus Electrified」の電動化プロジェクトのチーフエンジニアである渡辺 剛氏は、佐藤プレジデントがLCのチーフエンジニアを務めていたときの右腕的存在だった人物。個人的にLCは見てよし乗ってよしという、レクサスの歴史においてエポックメイキングなクルマだったと思っている。そんなクルマを作り上げた彼らが携わる近未来のレクサスは、たとえ電動化が進もうとも、だから期待が持てると思っているのである。

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

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