トヨタGAZOO Racingは、地元・富士でのWEC世界耐久選手権のレースで「一度も戦えなかった」と、テクニカル・ディレクターのデビッド・フルーリーは考えている。GR010ハイブリッドの両クルーにとって、9月15日に富士スピードウェイで行われた第7戦は悲惨なものとなり、ドライバーズタイトル獲得は極めて難しい状態に陥った。
■“ふたつの理由”でペナルティに異議
『負けられない地元戦』という潜在意識。3位表彰台がこぼれた平川亮の最終スティント/WEC富士
ドライバータイトルを争う7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース)は、最終ドライバーの可夢偉がマット・キャンベルの5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)と接触し、致命的なダメージを負ってリタイアを余儀なくされた。
もう1台の8号車が表彰台に上がれるという望みは、残り1時間で打ち砕かれた。平川亮がブルーフラッグを無視したとしてドライブスルーペナルティを受け、彼とセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーの8号車は、10位へと転落することとなったからだ。
6号車ポルシェのクルーは富士で勝利を挙げたことにより、最終戦バーレーンで逆転される可能性が極めて低い大量のチャンピオンシップ・リードを得た。
トヨタのフルーリーは、純粋なパフォーマンスでライバルと戦うためにチームができることは何もなかったと感じている。
「我々は決して戦うことができなかった」とフルーリーは語った。
「全体的にパフォーマンスが足りなかった。ラップタイムで言えば、主なライバルたちよりも遅かった」
「ポルシェ、キャデラック、BMW、アルピーヌを見てみれば、どれも明らかに速い。だから、我々の自然なポジションは9~10位くらいだった。ポジションを獲得するためにあらゆる手段を講じるよう迫られたが、ついに表彰台を奪われた」
トヨタは、再び争いに加わろうと、レースの最後に必要だったはずの7号車の「スプラッシュ」を早めに消化することにし、デ・フリースがの2スティント目を短縮することを選択した。
同時に、8号車は「スプラッシュ」をしなくてもいいように、できるだけ長くコースに留まる戦略を追求した。
しかし、5時間目にランボルギーニSC63がコース上で立ち往生したときに導入されたバーチャル・セーフティカーと、それに続くセーフティカーは、結局両車の望みを断つことになり、特に7号車は順位を落とした。
「スタートから2時間半後、何かを試さなければチャンスはなく、完全に競争から脱落するだろうと我々は気づいた」とフルーリーは説明した。
「どちらかのクルマが『幸運なチケット』を手に入れられるように、2台で戦略を分割することに決めた。しかし、残念ながらセーフティカーは両方のクルマにとってタイミングが悪かったのだ」
可夢偉のクラッシュ後、それでも8号車は表彰台を手にできる可能性があり、残り30分を切っても平川は3番手を走っていた。
だが、主なライバルよりも数周早く最終ピットインした平川をラップダウンにしようとしていたケビン・エストーレの6号車ポルシェが背後から迫った際、青旗を無視したとしてドライブスルーを命じられたことで、彼らは3位のポジションを失うこととなった。
激昂したフルーリーは、ペナルティに対してふたつの理由で異議を唱えた。ひとつには、平川はペナルティを受ける前にエストーレに譲る時間をもっと取る権利があると感じたためであり、ふたつ目には、ターン15で平川を追い抜いた際にエストーレが平川をコースアウトさせたため、である。
「青旗は、ふたつのセクターにわたって無視すると、ペナルティを受けることが明白だ」とフルーリー。
「ターン8(第2セクターの終わりに向かう右300R)で初めてブルーフラッグが出され、ターン15で彼(エストーレ)は我々を押しのけた」
「我々は彼が通り抜けられるようにスペースを残していたが、彼は我々の車両にぶつかり、我々はコースから押し出され、ペナルティを受けた。私はこのことについて理解をさせてもらいたい。なぜなら、明らかに私は(このスチュワードと)同様のアクションを見たことがないからだ。今シーズンは、こういったことがかなり多くなってきている」
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みんなのコメント
怠け者を助長させ、必死でクルマを速くしようとしてるエンジニアの努力を踏み躙るシステムだよ。
もう十分活躍してくれました。そろそろ撤退時期かと思いますよ。