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【試乗】BYDが送り込む第二の刺客は「363万円」のEV! 超バーゲンプライスの「ドルフィン」は用途次第じゃ思いっきりアリだった

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【試乗】BYDが送り込む第二の刺客は「363万円」のEV! 超バーゲンプライスの「ドルフィン」は用途次第じゃ思いっきりアリだった

 この記事をまとめると

■BYDが「ATTO3」に続く第2弾EVとして「ドルフィン」を日本市場に導入した

日本の駐車場状況にあわせて車高を20mm下げてローカライズ化! BYDの日本発売モデル第2弾「ドルフィン」は363万円から

■4290mmというコンパクトなボディに対して2700mmのロングホイールベースで広い車内を実現

■市街地では十分な動力性能を誇るも高い速度域では操舵時の挙動の繋がりがいまひとつに感じた

 絶好調のBYDが日本市場に放つ大本命のコンパクトEV

 国内市場の相変わらずの急成長にグローバルなBEVニーズの高まりも相まって、中国のBEVとプラグインハイブリッドの電動車専業メーカーであるBYDが販売台数を急速に伸ばしている。2023年1~6月の世界販売は何と前年同期比96%増の125万台にも達したのだ。

 日本への攻勢もすでに始まっている。今年1月にミドルサイズSUVのATTO3を投入。8月の時点で国内販売累計は700台を超えたそうだ。モデル数も店舗数もまだ少ない新興勢力であることを考えれば、上々の滑り出しであることは間違いない。

 そんなBYDが、新たにそのラインアップに加えるのがドルフィン。やはりコンパクト5ドアハッチバックのBEVである。

 そのサイズは全長4290mm×全幅1770mm×全高1550mmというから、フォルクスワーゲン・ゴルフと概ね重なる。他の仕向地では全高は1570mmとされるが、日本向けはルーフアンテナの形状変更で、多くの立体駐車場に対応するサイズとしてきたわけだ。

 この全長に対してホイールベースは2700mmと長めで、タイヤはまさにボディの四隅に配置されている。エンジンを持たず、一方で前後輪の間のフロアにバッテリーを搭載するBEVならではのプロポーションと言える。

 車名のとおりイルカに着想を得たというエクステリアデザインは、ボディサイドのキャラクターラインが個性を主張しているものの、決して奇をてらったものではない。ご存じのとおり、BYDのボディの金型は群馬県にあるTMC(TATEBAYASHI MOULDING)製。実際、ボディパネルの成形や合わせのクオリティは高く、安っぽさはない。

 インテリアも、やはり“海洋生物の美しさにインスパイアされた”という曲面を多用したデザインだ。イルカのひれをモチーフにしたドアハンドルなど、ちょっとくどい感じはあるし、ボディカラーに合わせたコーディネートのおかげで試乗車は室内までピンクとなっていたから、正直自分ではこれは……と思ったが、こうした遊び心を日本車は忘れがちだなと考えると、まぁいいかなという気もする。クオリティは、まるでこちらも中国製品が席巻する家電のような雰囲気だ。

 運転席の真正面には5インチディスプレイを装備。サイズは小さいが日本語ローカライズはバッチリで、必要な情報が見やすく表示される。さらに、日本仕様はウインカーレバーが右側に移されるなど、配慮も行き届いている。

 街なかでは必要十分なパフォーマンスもクルマ好きには推しづらい

 特筆すべきは後席の広さで、とくに足もとには十分以上の余裕がある。もちろん、これは長いホイールベースの恩恵だ。

 ラインアップはスタンダードとロングレンジの2モデルがあり、試乗したスタンダードは最高出力95馬力、最大トルク180Nmの電気モーターを搭載する。容量44.9kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーにより航続距離は400kmである。

 乗るのは主に市街地だと想定するなら、動力性能は必要十分といっていい。いつでも必要なだけのトルクをすぐに得られるドライバビリティは良好で、軽快でストレスのない走りができる。

 室内はBEVらしく静かなはずだが、低速域の車両接近警報装置、ウインカー作動音、その他の電子音が常に鳴っている感じで、ちょっとうるさく感じられた。デザイン同様、もう少し落ち着きが欲しい。

 サスペンションの動きはふんわり柔らかめで、乗り心地もいい。直進性も速度を上げなければまずまず。街なかを走っている限りは、大きな不満を感じることはなかった。

 さすがに高速道路で100km/hを超える頃からは、加速がついてこない感じも出てくる。それは想定どおりではあるが、高い速度域では直進状態から操舵していったときの挙動の繋がりがいまひとつ滑らかではなく、この日チョイ濡れだった路面では旋回時の安定感も、やや心もとないものだった。

 試していないので断言はできないが、こうした領域で使うことが多いユーザーは、ロングレンジを選ぶべきかもしれない。こちらはバッテリー容量が58.56kWhとなり、航続距離が476kmに。同時に最高出力は204馬力、最大トルクは310Nmまで引き上げられている。しかも動力性能の向上に伴って、リヤサスペンションがトーションビームからマルチリンクに格上げされてもいるのである。

 このセグメントのクルマとしては装備の充実度は高く、先進運転支援装備はずらり揃っているし、インターネット接続も標準で対応している。移動のための道具として割り切って考えれば、そして価格に納得できれば、BYDドルフィンは有力な選択肢となり得るだろう。

 ただし、クルマが好き、運転が好きという人には、現時点では積極的に推すものでもないかなと思うのも正直なところだ。もっともATTO3の完成度を知っているだけに、BYDはすぐにキャッチアップしてくるだろうと思われる。

 ほぼ日本メーカー空白地帯のセグメントに投入された意欲作。BYDの勢いにブーストをかけることは間違いない。

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