この記事をまとめると
■いつまでも印象に残るほど乗り心地のいいクルマを紹介
硬すぎる「足」に家族も唖然! 走りを追求するために「やりすぎた」国産ファミリーモデル4選
■完成度が高すぎて登場から10年以上経過してもそれを超えるクルマがない車種も
■欧州車の足まわりは優秀なものが多いが国産でもそれに匹敵するモデルもある
乗り心地が本当に良かった衝撃作をプレイバック!
クルマの記事を読んでいると、よく出てくる「乗り心地」という言葉。なんとなくわかるけど、ちょっと曖昧で、乗り心地がいいというのはどういう状態なのか、よくわからないという人もいると思います。それに、人によって感じ方は違うし、同じクルマでも走る場所や天候などの条件によっても変わってくるので、最終的には自分が乗って判断するしかないという、他人の言葉を鵜呑みにするわけにはいかないような、センシティブなものでもありますよね。
それでも、これまでに莫大な数のクルマを試乗してきたなかで、これだけは胸を張ってオススメできる、本当に乗り心地がよかったクルマがあります。今回はそのトップ5をご紹介したいと思います。
まず1台目は、もう20年以上にわたって軽自動車にほぼすべて試乗してきたなかで、未だにこれを超える乗り心地の良さを持つ軽自動車には出会っていないと言い切れる、ダイハツ・ソニカ。2006年6月に登場したセダンタイプの軽自動車ですが、開発テーマが「軽のグランドツーリングカーをつくる」というものでした。
長い距離を速く快適に気持ち良く、どこまでも走っていきたくなるようなツアラーとして誕生しただけあって、全高が低く長いホイールベースが与えられたセダンボディは、デザインもメカニズムもすべて、気持ち良い走りを第一に造られています。デビュー当時は珍しかったターボエンジン+CVTの組み合わせを、全車に設定して新しい価値観を提案。ベースグレードにも前後スタビライザーを装着するなど、ソニカならではのこだわりがありました。やはりオススメはトップグレードのRSリミテッドで、このグレードのみCVTに7速アクティブシフトがついており、私は東京から西伊豆まで走ったときの感動がいまだに忘れられません。
高速道路に入った瞬間から、路面にピターっと吸い付くようにボディが一体となる、ブレッド&バターのようなとろける乗り心地。15インチタイヤ&アルミホイールのいなしも極上で、軽自動車No.1を目指したという上質なシートと相まって、ロングドライブが至福の時間となったのでした。
2台目は、日本の国民車として長い歴史を誇るカローラ。とくにカローラスポーツとカローラツーリングの乗り心地は、ドイツの硬いパンでもなく、フランスの弾力あるバゲットでもなく、まさに日本の食パンをイメージさせるような、直線ではふっくらと、カーブではミミでしっかり受け止めてくれる満足感の高い乗り心地。
剛性感を高めた新開発(当時)プラットフォームを採用し、サスペンションやパワステの制御を突き詰めたことなどで、この欧州車もビックリの乗り心地を実現しています。しかも、1.8リッターのハイブリッドは発進直後からモーターアシストが入ることでなめらかさと余裕たっぷりの加速フィールを手に入れており、加速と減速のコントロールも意のまま。これが200万円台という価格なのですから、コスパも最高です。
プレミアムブランドの足まわりは圧巻の完成度!
3台目は、マツダがフラッグシップとして力を注ぐセダンのMAZDA6。2002年に日本名アテンザとしてデビューし、現在は3代目にあたるモデルへと進化しています。その現行モデルももちろん素晴らしいのですが、とくに乗り心地に絞ってみると、感動したのは2代目モデル。最初に試乗したのがフランスのニースだったのですが、日本と違って路面の舗装が荒く、空港から試乗会場まで乗っていったバンでは常に不快な振動が続いていたほどでした。
でもMAZDA6(当時アテンザ)に乗り換えてみると、ロードノイズもゴツゴツとした振動もほぼ消え去るという、マジックカーペットさながらの乗り心地にビックリ。もちろん、運転するために必要な路面の情報はしっかりと手のひらやヒップに伝わってくるものの、たとえば工事中で小石が散らばっているような区間を通過したときにも、まるで小石の分だけ宙に浮いて走っていたかのように、不快な振動がないのです。当時新設計だったフロントサスペンションは、マウント部のフレームやダンパーが見直され、リヤのマルチリンク式サスペンションとともに熟考を重ねたセッティングがとられたといいます。
また防音・吸音対策も念入りに施してあり、床下はもちろんダッシュパネル内やルーフにまで及んでいることもあって、不快な振動やノイズを徹底的に排除したマツダのこだわりを実感したのでした。
4台目は、2006年10月に登場したシトロエン C6。当時シトロエンが久々に作ったプレミアムセダンでした。デザインはクーペのようにも感じられるリヤエンドが個性的で、長いフロントオーバーハングとなめらかなルーフラインを持つ堂々たるボディ。
インテリアは「走るラウンジ」思想に基づき、独特のこだわりによって上質でゆったりとした空間がもたらされています。たとえばインパネの横幅いっぱいと、ドアライニングの下半分に半月上に使われたウッドや、たっぷりとした質感で魅せるレザーは、品質のみならず感触や色まで吟味するこだわりよう。後席もゆったりとしていて広く、ゲストをおもてなしするかのようです。そしてエンジンは3リッターV6のみで、6速ATとのマッチングでなめらかな加速フィールを実現しつつ、その乗り心地はまるで雲の上を走っているかのよう。
もしくは、道路一面に低反発クッションを敷き詰めたというイメージでしょうか。サスペンションにはシトロエン独創の油圧式、ハイドラクティブIIIプラスが搭載されて、セルフレベリング機能によって常に一定の姿勢を保つのが、その極上の乗り心地のヒミツです。路面状況や走行状態に合わせてロードクリアランスを調整する、ハイトコントロール機能も備わっています。
5台目は、SUVで世界初のオールアルミボディを採用して2013年に登場したレンジローバー。もちろん最新の現行モデルも素晴らしい乗り心地なのですが、このときに試乗した感動はやっぱり忘れられません。パワートレインは5.9リッターのV8エンジンとなる自然吸気とスーパーチャージャーがあって、どちらも8速AT。なめらかな加速、力強いトルクが自在に操れ、カーブでのフラット感がとくに感動モノでした。
まるで、内側はふんわり、外側はガッシリとしたゆりかごに守られているような安心感と心地よさ。そしてレンジローバーのスゴいところは、オフロードの滑りやすく荒れた路面でさえも乗り心地の良さ、安定性、静粛性の高さをしっかりと実現しているということ。高度な電子制御技術でオフロードでの追従機能、一定速度走行まで可能というのは、地球上のどこでも走れそうな気がしてくるほどでした。
これはやはり、あらゆる道を知り尽くしているからこそ。「路面」という単純なものではなく、地形、地質、温度や湿度、雨や雪、障害物といった、道に影響を及ぼすすべてのものを知り、研究し、ノウハウを蓄積してきた結果としてレンジローバーの乗り心地は完成されているのだと思い知った瞬間でした。
ということで、本当に乗り心地がいいと感動したクルマ、現時点でのベスト5をご紹介しました。
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