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マラネッロからル・マンまでフェラーリスペシャル紀行「50年ぶりのワークス参戦を祝う巡礼ドライブ」

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マラネッロからル・マンまでフェラーリスペシャル紀行「50年ぶりのワークス参戦を祝う巡礼ドライブ」

1965年のル・マン24時間レースで250LMが総合優勝して以来、フェラーリはその栄誉を再び浴することはなかった。しかし今年、渾身の決意とともに挑み、最高の結果を獲得。そのチャレンジを見るべく、マラネッロからの旅は始まった。(Motor Magazine2023年8月号より)

とまどいを覚えた突然課せられた「BoP」
残り24分。トップで最後のピットインを終えたゼッケン51番が再び動かない。凍りついたように静まり返る。誰もが息を止めた。刹那、走り出した!赤い部屋のみならずサーキットに大歓声が戻ってきた・・・。100周年(100回ではない)の記念大会となったル・マン24時間レースに、50年ぶりに出場し、50年ぶりに予選1位と2位を決め、その上1965年の250LM以来となる総合優勝を飾る。これほどのシナリオを一体、誰が書けただろうか。

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今年、WECシリーズに499PというLMH(ル・マンハイパーカー)マシンでワークス参戦中のフェラーリ。メインターゲットは100周年のル・マンだった。

とはいえ、古豪であっても参戦初年度から勝てるほどル・マンは甘くない。6年ぶりにワークス参戦したポルシェの結果を見ても、それは明らかだ。

直前になって意味不明のBoP(バランスオブパフォーマンス)が課せられた。前哨戦での速い順、すなわちトヨタGR010、フェラーリ499P、キャデラックVシリーズR(LMDh[ル・マンデイトナh])、そしてポルシェ963(LMDh)にルール外の負担が課せられ、LMHマシンを送り込んだプジョー9X8(とグリッケンハウス)には課せられなかった。

さすが「歴史あるおフランスの競争大会」だ。トヨタ陣営のみならず、ル・マンでのレースを念頭にマシンを練り上げてきたフェラーリを始めとする他のチームにとっても、それは後味の悪い「政分調整」だったように思う。

それでも、ル・マンはル・マン。傍観者は最後まで走り抜いたすべてのチームを讃えるほかない。途中で破れし者たちへも精一杯の拍手を贈りたい。とりわけ、赤い陣営で戦況を見つめていた私は、「モータースポーツ」とは何ぞや?をいろんな意味で考えさせられつつ、499Pの優勝には素直に喜びを爆発させた。

なぜなら私もまた499Pと同じ文字面のパワートレーン=V6ツインターボ+ハイブリッド搭載のミッドシップカーで、遥々イタリアからフランスまで駆けつけていたから・・・。

レースの地へ向けてひた走り、跳ね馬の健闘を思い願う
ル・マン24時間レースのスタート3日前、早朝。私はマラネッロ本社工場の旧正門前にいた。門を入ると今では残り少なくなったエンツォ時代の建物に囲われたスペースに、最新のマラネッロ製ロードカーが並んでいる。プロサングエ、296シリーズ、SF90シリーズ、ローマ、ポルトフィーノM。

世界から集まったメディアやジャーナリストがこれらに分乗し、ル・マンへと向かう。名付けて「フェラーリ ロード トゥ ル・マン」、全行程1200km以上、1泊2日のドライブツアーだ。

ラダニーバを5台(うち4台は部品取り!)も所有するカナダ人ジャーナリスト、エル氏と一緒に赤メタリックの296GTBに乗り込み、いざル・マンへ。

モデナでアウトストラーダに入り、トリノ方面へ向かう。昼頃には400km離れたイタリア最西端のコムーネ(自治体)、バルドネッキアに到着した。ランチの後、フレジュストンネルを抜けるとフランス側の街モダーヌだ。

オートルートをさらに西へ。296GTBは優れたスポーツカーだが、快適なグラントゥーリズモでもある。マネッティーノ(ドライブモード)をWETにしておけば、このショートホイールベースミッドシップスポーツカーが安定感あふれるGTへと変身する。

アウトストラーダ、オートルートどちらもスピードカメラが増えたけれど、それでも追い越し車線の車速は制限速度よりはるかに高く、またとても空いている。エルは自身の最高速度記録を塗り替えたらしい。そんな隣でも居眠りできるのだから優秀だ。

ミシュランの本拠地クレルモンフェランで一泊。翌午前中にR&Dセンターでタイヤ開発の最前線を学んだ。フェラーリ製ロードカーは458イタリア以来、ビバンダムだ。午後、最後の400km、ル・マンを目指す。せめて予選くらいは勝ってくれないと記事にできないぞ、などと思いつつ。

杞憂であった。(文:西川 淳/写真:フェラーリS.p.A.)

[ アルバム : マラネッロからル・マンまでフェラーリスペシャル紀行 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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