モータースポーツのベース車という主旨で誕生したモデルたち
スポーツ走行で愛車を速くしたいと思ったら、一番手っ取り早いのはパワーアップだろう。パワーさえあれば少々のミスも加速で取り戻すことができるし、長い直線があるコースであれば秒単位でタイムが違ってくるはずだ。しかし、パワーを上げるには費用が掛かるし、パワーアップした分、各部にかかるストレスも増えてしまうという大きなデメリットがある(もちろん扱いにくくなるという点もあるだろう)。
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そこで効果的なのが軽量化だ。車両が軽くなれば加速もアップするしコーナリング性能も向上する。さらにタイヤへの負担も軽くなるし、燃費も向上するといいことずくめだ。自動車メーカーもそこは分かっていて、モータースポーツベース車として軽量化されたモデルや、軽量コンパクトなボディにレギュレーションに沿ったエンジンを搭載したしたモデルなどをリリースしていた。今回はそんなメーカー純正のモータースポーツベース車をご紹介しよう。
1)日産フェアレディZ 432-R
初代フェアレディZであるS30系にはハイパフォーマンス版として、同時期のスカイラインGT-Rにも搭載されていたS20型エンジンを搭載した432というグレードが存在していた。これは、「4バルブ3キャブレター2カムシャフト」を表しており、SOHCのみだった通常グレードとは一線を画すモデルだった。
その432をベースにモータースポーツベース車として、アクリルウィンドウやFRP製エンジンフードなどを装備。ヒーターすらオプションとした割り切った仕様としたのが432-Rである。ネット上には「購入者は競技のみに使用する旨の念書が取られた」などという表記も見られるが、レースでは目立った成績を挙げられず(L型エンジン搭載車のほうが活躍した)不良在庫となった個体が一般販売されていたという情報もあるようだ。
2)スバル・インプレッサ WRX STi spec C
生粋のラリーカーとして生まれたインプレッサは、初代からモータースポーツベース車としての側面も持ち合わせており、初代のSTiグレードがその役割を担っていたが、その性格をより強調させたのが、2代目モデルに設定された「spec C」だろう。
競技分野での使用を前提に運動性能を追求し、徹底した軽量化とエンジン性能の強化により動力性能を向上させるとともに、シャシーの大幅な改良などにより高い操縦安定性を実現。また、競技向け装備の充実を図るなど、競技ベース車としての潜在能力を高め、速さを極めたモデルであり、ベース車から90kgもの軽量化を実現したモデルだった。このspec Cはその後も3代目のハッチバックモデル、そして4ドアセダンにも設定されている。
3)ダイハツ・ストーリア X4
シャレードの後継車種として1998年に登場したリッターカーであるストーリア。トヨタからデュエットの名前でも販売されていたことを覚えている人もいるだろう。そんななんの変哲もないリッターカーにリッター換算168馬力というとんでもないエンジンを搭載してしまったのが、ストーリアX4だ。
モータースポーツに参戦することだけを考えられて作られた同車は、当時の1,000cc以下クラスのラリー参戦を目的としており、競技レギュレーションに合致するように713ccで120馬力を発生させるJC-DET型エンジンを搭載したフルタイム4WD車。ノーマル状態でローギヤードなクロスミッションは5速100km/h巡行で4000回転弱というものだった。
その後継車種となったブーン(初代)にも同様にX4モデルが存在していたが、その後ダイハツがモータースポーツから撤退したことによって、2代目以降には設定されなくなってしまっている。
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