今や希少なダイハツの4人乗りオープンカーのオーナーに直撃
日本旧軽車会の主催で2023年3月5に開催された「昭和平成クラシックカーフェスティバル」。会場となったキヤッセ羽生には、約200台もの国内外の旧車が集合し参加者・見学者ともに旧車と過ごす春の1日を楽しんだ。会場から、オーナーの愛情が伝わってくるダイハツ「コンパーノスパイダー」を紹介しよう。
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ダイハツとトヨタの業務提携後に製造された珍しい1台
大谷津明さんがこの1970年式ダイハツ・コンパーノスパイダーを購入したのは25年前のこと。若い頃にホンダ「S600」に乗っていたこともあり、「やっぱりもう一度旧いオープンに乗りたい、しかも家族4人皆で旅に出たい」と4人乗りのオープンカーを探したという。そして子どもの頃にコンパーノの4ドアセダンが近所にあったのを思い出し、「それのオープンっていうのもいいな」ということで購入したそうだ。
ダイハツ・コンパーノスパイダーは、1965年に販売が開始されたモデルで、当時としては価格が高かったことと生産中にダイハツがトヨタと業務提携を結んだことなどで、1968年に販売終了。短命に終わり生産台数も少ないモデルとなっている。
「25年前に手に入れた頃もあまり見ないクルマで、今はもっと見ないですね。トヨタとの業務提携後にも7台くらい造ったみたいで、このクルマはそのうちの1台らしいです」
部品取り車を購入し、それを仕上げるためさらにもう1台購入
購入当初、足りないパーツなどがあったそうだが、大谷津さんはこのクルマを仕上げるためにもう1台を部品取り車として購入。さらにその部品取り車を仕上げるために、もう1台購入したという。
ちなみに25年前にパーツを全て取り外してオールペンしたほか、エンジンはこれまでに3回ほど全てバラしてオーバーホールしたそうだ。またこのクルマの修理の際に、こんな出会いもあったそうだ。
「ジェコーっていう時計が付いてるんですけどそれが動かなくなって、近所の時計屋さんに相談したら、“ジェコーは俺が修行したところだから”って修理してもらったんですよ。その旦那さんが亡くなってからは、もう直せないかなと思ったら、地元のお祭りでたまたま息子さんのお嫁さんに会って、“お父さんに直してもらったんですよ”って言ったら、“悪くなったら持ってきてください、私見てみますから”って言ってもらえました」
25年も乗っていると、乗りづらさも楽しさに
部品取り車を2台購入するなど、そこまで手をかけ大谷津さんが25年間もこのクルマに乗り続けている理由とはなんなのだろうか。
「友人から言わせればカッコ悪いクルマみたいなんですけど、実際乗っていて楽しいです。2速発進でいいくらいローギアだったりとか、乗りづらいところもまた楽しいですね。25年も乗ってると愛着がわきますよね。変わったクルマだしほかの人が乗っていないから、そういうのがちょっといいかなって。全体的にこのデザインがなんとも言いがたいし、リングが付いてる4連メーターとか、今のクルマじゃ無いですからね」
ところで当初の目的だった、家族4人での旅行は実現したのだろうか。
「結局、行ってないですね。子どもが小さいころは家族でこういうイベントによく来てたんですけど、大きくなるにつれて見向きもしなくなって。今や誰も見向きもしてくれないですよ。孫がなんとか乗ってくれるくらいで(笑)」
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